さてさて、こんなドンちゃん騒ぎになっちゃったのは。





一体誰の所為でしょう??









地獄の歌姫









年明けすぐの1月1日。そう、元旦である。

始めクラウド達5人は、ジタンの家に集まっていた。

いわゆる新年おめでとう会、みたいなもので、お雑煮やおせちも用意してある。

ジタンの祖父は仕事の関係で今家にはいない。

なので、1人で寂しいというジタンの頼みでもあったのだ。

「皆お餅いくつ食べる?」

が台所から顔を出して、こたつで寝ているジタン達に尋ねた。

ジタンとティーダが挙手して言う。

「「俺3個!!」」

見事重なる2人の声。はクスリと笑い、スコールにも尋ねる。

「スコールは?」

「・・・俺は2つ。」

眠そうなスコール。もしかしたら彼は低血圧なのかもしれない。

3人は餅の数を答えると、再びこたつでテレビを見始めた。

約1名、夢の中に入りつつある者もいるが。

「おい、お前ら少しは手伝えよ。台所係りが俺との2人ってのはどういうことだ?」

クラウドが菜箸を持ったまま、台所から顔を出した。

その顔には、不満さがありありと浮かんでいる。

「だって、料理って言ったらとクラウドだろ?」

「クラウドだけでもいいんだけど、俺はのも食いたいッスから。」

そう。現在クラウドとは、ジタンの家の台所で正月の料理を作っている最中なのだ。

がお雑煮を担当し、クラウドはおせちを担当している。

やはりお雑煮は女性が作る方が優しい味になるからだろうか。

お雑煮の担当にを指名したのは、ジタンとティーダである。

「あは、クラウドのエプロン姿、可愛いよ。」

が笑って言うと、クラウドは小さく溜息をついた。

「・・・どうでもいいが、なんで俺のエプロンは

が持ってきたレースフリフリのエプロンなんだ?」

ちなみに色はピンクである。

は、さも当たり前というように答えた。

「だって、可愛いじゃない。良く似合ってるよ、クラウドちゃん♪」

「わーいクラウドちゃんだってさ〜!」

「いやいや、ホント良く似合ってるッスよ、クラウドちゃん!」

スコールを除く全員の冷やかしの声に、クラウドは頭を抱えたくなった。

よりにもよって、「クラウドちゃん」とは。

「もうちょっとでお雑煮出来るから待っててね。」

は笑顔でそう告げると、台所の奥に引っ込んでいった。

それを見送り、クラウドはもう一度溜息をつく。

それから菜箸を持ったまま、こたつの中に入った。

「おい、おせちは〜?」

「もう出来てる。後はの雑煮を待つだけだ。」

「・・・ならその菜箸置いてこいよ、クラウドちゃん・・・。」

呆れるティーダなどお構いなしに、クラウドはテレビを見つめた。






その後、の作ったお雑煮とクラウドの作ったおせちがテーブルの上に並び、

5人は楽しく正月料理を味わった。

のお雑煮は優しい味がしたし、クラウドのおせちは色が鮮やかだった。

大人顔負けの正月料理だったと思う。

ジタンもティーダもスコールも、皆満足だった。



そして、全てが狂い始める・・・。







「さて!正月といえばやっぱ酒!!てなもんで、日本酒を3本用意しました〜!」

ジタンはニヤリと笑うと、テーブルの上に日本酒を3本並べた。

それを見て、ティーダは喜びクラウドとスコールは眉をしかめる。

に至っては目を点にして、大きな日本酒を見つめている。

「おい・・・俺達まだ高校生だろ?」

「正月くらい羽目はずしたって平気だって〜。ほらほら、飲もうぜ!」

叱るように言うクラウドの言葉をスルーしながら、ジタンがお猪口に日本酒を注ぐ。

それを慌てて止めながら、が言った。

「ま、待って。私お酒駄目なの。すぐ酔っ払っちゃうの。」

「俺もパス。今まで酒なんて飲んだことないぞ。」

スコールもに同意するように言った。

だが、ジタンとティーダの暴走は止まらない。

「良いから良いから。こんなん遊びだろ?ほら、まずはな。」

ジタンがの前に、酒の入ったお猪口を置いた。

は困ったようにそれを見つめている。

「ほら、せーのっ!」

こんなに迫られては飲まないわけにもいかない。

は不安そうな表情をしていたが、そっとお猪口を手に取ると、仕方なしに飲んだ。

辛い酒の味が口の中に広がる。

そして、それとともに視界がグラリとよろめいた。

「よっしゃー!良くやった。」

やけにテンションの高いジタン。そして、顔を赤くしてフラフラしている

クラウドは眉根を寄せ、を見つめた。

「・・・?」

「・・・ふえ?」

明らかに視点が定まっていない様子の

だが、ジタンはそんなこと気も止めずに、スコールにお猪口を進めた。

「・・・俺も飲めってのか?」

「ああ。」

きっぱりと言い張るジタンに、スコールは眉をしかめる。

お猪口とジタンを見比べ、それから溜息をついた。

「・・・どうなっても知らないからな。」

スコールは溜息とともに、お猪口をあおった。

男らしいぞスコール。だが、そんなスコールを急に突き飛ばした者がいた。



ドンッ



「な・・・なななな、!?」

スコールは引っくり返って呆然としている。

そう。スコールを突き飛ばしたのは、何を隠そうだったのだ。

の顔は赤い。

完璧に酔っていることが窺える。

「スコール・・・。」

は呟くと、スコールの顔に自分の顔を近付けた。

そして。

「・・・ね、歌おう?

いきなりのことに呆然とするスコール。

かと思いきや。

「・・・ああ

「テメェも出来上がってんのかスコールっ!!!」

ジタンの突っ込みに反応する者はなく。

ティーダは呆然としているし、クラウドは目を転にしている。





そして。







「「どんな〜ぁとぉきだぁってぇ〜 ずっと〜ぉふぅたりぃで〜

どんな〜ぁとぉきだってぇ そばにいるからぁ〜

キ〜ミとい〜う ひか〜りが私ぃ見つぅけるぅ〜 真〜夜なぁかぁに〜〜♪
」」

しばらくして出て来た2人は青い衣装に身を包んでいる。

そして歌い出したのは、宇○田ヒカルの曲だ。

そんな2人に。



「「「いいいいいい異議あり!!(逆転○判)」」」



納得できるはずもない。

はともかく、何やってるんだよスコーウぅぅー!!」

「しかもちゃっかり歌姫のドレスも着てるッスー!!」

ジタンとティーダが喚くのも無理はない。

何しろ、とスコールはユウナ&レンの歌姫ドレスを着込み、

『明らかに酔ってます』という赤い顔でフラフラしながら歌っているのだから。

そんな4人を横目にクラウドは何をしているかというと。


プルルル・・・プルルル・・・プツ、


「・・・あ、もしもし、病院ですか?精神科の医者を・・・

病院に電話をかけていた。

「いや待てクラウド!世間にこの姿をさらすのは、スコールがあまりにも可哀想だ!」

ジタンが大声で言う間にも、とスコールはバックで熱唱中だ。

ティーダは何かを決意したように言う。

「この時間・・!俺達が今を耐え抜けば良いんだ・・・っ!!」

「・・・・・!!(ンな無茶なー!)」

クラウドが心の中で叫んだというのは誰も知らない。






そして数十分後・・・。





まだまだとスコールの暴走は続く。

「「素敵ぃ〜だ〜ねぇ〜 キぃミと手を取りあぁるぅけぇたならぁ〜〜♪」」

「あは、俺の主題歌っスーーー・・・」

ティーダが遠い目をして言った。

もうとスコールを止めることを諦めているようだ。

気力的に疲れたのだろう(爆

ジタンも遠い目をしながら言った。

「]は感動したよなー・・200万人が涙したってさー・・・

「ジタン、本気にしてるっスかー・・・?」

「してないしてない。つーか羨ましい むしろ恨めしい。

「どういう意味ッスか。」

「\だってラストは超超超感動なんだからなっ!!

俺とダガーの熱烈な抱擁を見れば誰だって涙するさ!!」

へぇー・・・。

「テメ、ティーダ信じてねぇだろ!!本当なんだぞっ!!」

言い合う2人。

そんな2人を横目にクラウドは。







「目を覚ませ2人とも・・・っ!!」











俺を独りにするな・・・!











その言葉が、ジタンとティーダに向けられたものだったのか。

はたまたとスコールに向けられたものだったのか。

それは、クラウドのみぞ知る。





ちなみに、とスコールが正気を取り戻したのは、それから3時間後だったそうな。











<完・・・なのか!?>


=コメント=
うわわわってなモンで、どうしましょうな作品です(爆笑
壊れちゃったとスコール!!Oh〜No!
もうちょっと長くしたかったんですが、これ以上長くしちゃうと
本当に壊れて妄想の彼方へ飛んでいきそうな勢いだったんでやめました(笑
だからかなり短めになってしまいましたね・・・。
どんなもんでしょう猫さん!(笑
ステキな挿絵を描いてくださって、ありがとうございました!! [PR]動画