何回でも




何万回でも




あなたが望むなら、口にするよ








君の隣で








「気持ち良いね〜。」

は言った。

さわさわと吹く風は冷たくなく、心地良くて。青空を流れ行く雲は真っ白で。

太陽はぽかぽか暖かくて。新しい芽吹きの音が、自分が今座っている地面から聞こえてくるようだった。

今のところモンスターの気配もなく、それでも傍に武器を置いておかないといけないのが少し悲しいけれど。

「ね、クラウド?気持ち良いよね。」

そう言いながら隣に視線を向けると、彼はぶっきらぼうに「ああ」と返して来た。

そんな彼の反応がつまらなくて。

「んもう!ねぇ、こんなに気持ち良い天気なんだから、もう少し嬉しそうにしてもいいんじゃないの?」

「別に・・・嫌とは言ってないだろ。」

今度は少し怒ったように言うクラウド。は思い切り溜息をつきながら、手をパタパタと振った。

呆れているようだ。

「だぁかぁらぁ・・・そうじゃなくて・・・。そりゃ、クラウドと

アハハウフフの寒いピクニックを演じたいわけじゃないよ?」

そう言いながら、は想像してみた。






『アハハッ!』

『ウフフッ!』

『待てよ、〜v』

『ほらっ、クラウド見て!お花が咲いてるよ〜v』





「・・・・寒い。」

「は?」

クラウドは首を傾げた。は鳥肌を立てて、青い顔をしている。

違う。根本的に違う。

第一クラウドが『待てよ、〜v』なんて言うとでも!?

有り得ない。絶対に有り得ない。

「あー!だからそうじゃなくて、もう少し楽しそうにして欲しいんだってば!

大体、どうしてついて来たの?あたし一人でピクニックするつもりだったのに。」

そう。本来ならば、一人のはずだった。

良い天気。気持ちの良い気候。日向ぼっこしながらサンドイッチでも食べたいな、なんて思って。

手作りのサンドイッチをバスケットに詰めて町を出ようとした時、何故かクラウドと鉢合わせして。

どこに行くんだと聞かれ、ピクニックと答えたのに。

「・・・俺も行く。」

クラウドにそう言われた時には、心底驚いた。

驚き半分、嬉しさ半分で、はクラウドと一緒に行くことに決めたのだが。

「つまらな〜い。」

「は?」

はぼやいた。

せっかくのピクニックなのに、傍に仏頂面のクラウドがいればそのムードもぶち壊しである。

は溜息をつき、バスケットに手を伸ばした。

なんだかお腹がすいてしまった。バスケットの中のサンドイッチをひとつ手に取り、口へと運ぶ。

タマゴサンド。我ながら上手く出来たと思う。

「俺にも頂戴。」

寝転がったクラウドが言う。

足を組んで寝転がっていても、絵になるんだから反則だ。

は少し顔を赤らめ、バスケットの中のサンドイッチを取ろうとした。

「いいよ。今手に持ってるやつで。」

はい?と聞き返しそうになった。

今手に持ってるやつ、というのは、が一口食べたタマゴサンドであって。

「え?」

は戸惑ったが、クラウドは寝転がったまま手を伸ばしている。

どうしようか困っていると、クラウドは上半身を起こした。

そしての持っているサンドイッチに顔を近付け、一口、食べた。

「はっ!?」

は慌てた。まさかクラウドが自分の食べかけを食べるなんて。

クラウドは特に気にした様子も見せず、もぐもぐと口を動かしている。

「・・・コレ、お前が作ったのか?」

「そ、そうだけど・・・。」

が答えると、クラウドはフッと笑った。

「いいな。上手く出来てる。・・・美味しいよ。」

なんだか知らんが褒められた。

はかぁっと顔が赤くなったのがわかった。





キザなセリフ。そんなセリフでもかっこよく見えてしまう。

リーダーらしく振舞う彼。慌てる彼。怒った彼。

心地の良いテノールヴォイス。クールなくせに、ときどき見せる優しい笑顔。

自分を見つめる青い瞳。整った目鼻立ち。

そんなクラウドが。

「・・・好き・・・。」





「えっ?」

言ってしまってから、は慌てて口を押さえた。

クラウドはきょとんとした顔で自分を覗き込んでいる。

顔が、近い。

「だっ・・・だからっ!!」

は慌ててクラウドの体を押し退けようと彼の肩に手を置いて力を込めた。

「かっ、顔が近いってば!!あ、あたしはタマゴサンドが好きなのっ!なのにクラウドが、た、食べちゃうからっ・・・」

から?

自分でもその先何を言えばいいのかわからなくなっている。

手に力を込めてるのに、クラウドとの距離は一向に遠くならない。

何故?

押し退けようとしてるのに、クラウドとの距離が遠ざからないのは何故?

「ク、クラウド・・・?」

クラウドが、力を入れている?

と距離を取らないように、力を入れている?

クラウドはの手を握ると、そのままぐいっと自分の方へ引き寄せた。

「わっ・・・!」

咄嗟に目を瞑る。

緑の芝生に投げ出されると思った。

目を開けたら、緑色の芝生が見えるのだと思った。

なのに、いつまでたっても衝撃は来なくて、何故か優しい体温を感じていて。

目を開けると、そこには紫色が見えた。

クラウドのソルジャースーツの色。







は、クラウドに抱き締められていた。







自分の状況を理解するのに、しばし時間がかかった。

背中には彼の腕の感触。優しく抱き締めてくれている、彼。

「ちょっ・・・!クラウドっ!?」

慌てて離れようと暴れてみるが、クラウドはを放そうとはしなかった。

そこで初めては首を傾げる。

クラウドらしくない。は暴れるのをやめ、クラウドを見上げた。

「・・・クラウド?」

「もう一度言って。」

「へっ?」

悪戯な笑みを浮かべるクラウド。は顔を赤く染めた。

「も、もう一度って・・・?」

「今、俺のこと好きって言っただろ?」

「違ッ!!あれはタマゴサンドが好きって言ったのっ!!」

嘘。多分クラウドにはわかっているのだろう。

その証拠に、クラウドは楽しそうな笑みを浮かべてを見つめている。




キザなセリフ。そんなセリフでもかっこよく見えてしまう。

リーダーらしく振舞う彼。慌てる彼。怒った彼。

心地の良いテノールヴォイス。クールなくせに、ときどき見せる優しい笑顔。

自分を見つめる青い瞳。整った目鼻立ち。

そんなクラウドが。






「・・・好き・・・・。」





「もっと。」

「・・・好き。」

「まだ足りない。」

「好き。」

「まだまだ。」

「好きっ!」

「まだ駄目。」

「っ・・・・。」






「・・・私は、クラウドがっ・・・好きっ!!!」






ヤケクソ気味に言ったのに、クラウドは満足そうな笑みを浮かべている。

そして、の額に優しく口付けた。

「・・・俺も。」

は真っ赤な顔をして、クラウドを見つめた。




七つも年上の彼。

こんなに離れた年齢なのに。

彼は、本気で言ってくれたのだろうか?



「・・・本当?」

「本当。」

「からかってない?」

「からかうわけないだろ?」

「・・・私のこと、好きでいてくれるの?」

「ずっと好きでいるよ。」


優しいクラウドの声。




「・・・なんか、ずるいなぁ。」

あたしに先に言わせて、後から楽して告白するなんて。






でも、そんなクラウドが・・・益々好きになりそう。






クラウドになら、何万回でも口にするから。




好き・・・。










=コメント=
HP開設おめでとうv
ってなわけで、ぶしつけながらも贈らせて貰いました!
西風サマ、こんなものでよければ強奪してください(表現悪)
というより、こんな作品で申し訳ない(汗)
いいのかな、こんなんで(爆)
いつかリベンジさせてください・・・(汗
西風サマのみお持ち帰りOKです。 [PR]動画