俺は、あいつが大好きだった。





優しくて、おちゃらけてて、すっげぇドジで。





でも、そんなアイツがいたからこそ、俺はここまで来れたんだ。







hat is your hope ?








「おーい!早く行こうぜ〜!!」

前方からが呼び掛けて来る。

片手でモンスターの相手をしながら呼び掛けているに、ゼルは目を点にしている。

何せ、モンスターに視線を向けずに対峙しているのだから

有り得ない。常人に出来ることではない。ゼルは面食らっていた。

「うわぁ〜!、強いね〜!よぉーし、アタシも負けないぞ〜!」

セルフィもヌンチャクを振り回し、モンスターを次々と倒している。

スコールは黙々とモンスターにダメージを与えているし、

『やはりSeeDはバケモンだ・・・』とゼルは考えていた。

だが、そんなSeeDに自分が選ばれたというのも事実で。

嬉しいのか怖いのかわからない、複雑な心境だった。

「俺に勝とうなんて、100億年早いんだよ、雑魚モンスターが。」

自慢げな笑みを浮かべながらは言う。

威張っている

「・・・雑魚モンスターに強気になるお前もおかしいと思うが。」

スコールなんか言ったか?

にっこりと笑いながらがスコールに振り向く。

キラキラと効果音がしそうな勢いだ。傍から見れば、さぞかし怖い笑顔だろう。

けれどスコールは気にした様子も見せずに、軽く肩を竦めて見せた。

はつまらなそうに小さく舌打ちをし、ガンブレードを肩に担いだ。




現在三人はバラムへと向かっている。

任務のため、ティンバーへと向かわなくてはならない。

任務は小さなテロ組織の手伝いをしろとのこと。

まぁ、初任務ならこれくらいが普通なのだろう。

少々スリルに欠ける気もするが、それもSeeDの第一歩。

何事も第一歩がなければ先には進めない。

SeeDになれたからといって安心してはいけない。

これからは、今まで以上に気を引き締めて任務に取り組まねば。

もう遊びではないのだ。

これは、大事な仕事なのだから。

けれど、楽しいというのは紛れもない事実で。

これから、どういうことが巻き起こるのかが楽しみで仕方なかった。





バラムに到着したスコール達は、とりあえず自由に過ごす事になった。

列車の発射時刻まで、まだ時間があるからだ。

セルフィは早く列車に乗りたくて仕方がないようだが、スコール達が思い思いに

歩き出すのを見て、少々膨れながらもその後に続いた。


ゼルは久し振りに家族に会いに行った。残された三人はあちこちの店を見て周っている。

「ポーション、買っておいた方がいいか?」

「とりあえずケアルのストックはあるけど・・・まぁ、そうだな。」

道具屋を覗きながらスコールとは話している。

事前の準備もSeeDの心得だ。

しっかりと準備をしておかないと、後で困る事になるだろう。

「アタシもケアルのストックあるよ〜ん。」

「セルフィもストックしてあるのか?なら、あんまり多くは買わなくて良さそうだな。

スコール、10個程度でやめとけよ。列車に乗る金がなくなるから。」

からかうようにが言う。スコールは眉間にシワを寄せてを睨み、

「・・・お前ほど俺は金遣い荒くないぞ。」

「さて、それはどうかな?」

やはり、はスコールをからかって遊んでいるようだ。

スコールもそれを知ってか知らずか、上手く流すように努力しているようだが

つい突っ込んでしまっている。

この二人なら、漫才が出来そうだ。セルフィは、クスクスと笑いながらそんなことを考えていた。




列車の発射時刻が近付いている。

スコール達はゼルと合流し、駅へと向かった。

列車のチケットを買い、ティンバー行きの列車へと乗り込む。

乗ってしばらくすると、ガタガタと列車が動き出した。

セルフィはいち早く廊下の窓に食い付き、外の風景を眺めている。

高速で過ぎて行く風景は、見ていて楽しいのだろう。

「アタシ、こういうの好きなんだ。乗り物とか、大好きなの。」

呟くようにセルフィが言う。

なんだかそれが彼女らしくて、はふっと微笑んだ。

スコールとゼルは用意された部屋へと入って行った。

もしばらくセルフィと一緒に外の風景を眺めていたが、やがて

セルフィと一緒に部屋へと入った。



「さっすが。SeeD様は違うねえー!」

ゼルがソファの上で飛び跳ねながら言う。

まるで子供のようだ。けれど、ゼルの言う事ももっともだった。

広い部屋。ふかふかなソファ。心和む観葉植物。

なんと贅沢な部屋だろう。これだからSeeDはやめられない。

「給料もいいし、SeeDって贅沢な仕事だよなぁー・・・。」

がソファに腰掛けながら言う。

「・・・その分危険な任務も多いだろう。」

「そりゃそうだ。けどさ、俺はそんな危険な任務が大好きなんだよ。だからSeeDになった。」

いつもと違う笑みを浮かべながら言うに、スコール達は少々眉をひそめた。

いつものとぼけた笑みではなく、どこか遠い過去を想っているような笑み。

懐かしがっているような笑みだ。

「俺ん家さ、実は金持ちなんだよ。だから本当なら俺もそこで小奇麗なドレスとか着てさ、

玲嬢として育てられる予定だったらしい。」

意外だった。なんとなくが金持ちな家の出ではないのかと思っていたが、

玲嬢として育てられる予定だったというのは驚きモノだ。

今のと玲嬢という言葉があまりにかけ離れているため、ゼルは目を丸くしている。

笑い話だよな、と語る

「けど俺は縛られるのが嫌だった。一人だけいる兄貴は自由に生きてSeeDになって。

なのになんで俺は自由がもらえないんだろう?って思った。

・・・まぁそれは俺が女だったからなんだけどさ。」

スコール達は黙っての話を聞いている。

彼女が自分の過去を話すなんて、今までになかったことだ。

女だということで、自由がもらえなかった

いつもそうだ。世界は、女を男よりも下にして見ている。

生まれたくて女に生まれたわけじゃないのに。

「・・・俺が気付いた時には、もう兄貴は俺の手の届かないところにいた。

世界一のSeeD・・・。俺もそうなりたくて頑張ってたのに、気付かないうちに兄貴は

そうなっていた。・・・だから腹が立ったんだ。

女ってだけで自由を剥奪されるなんて、こちとら最初から御免なんだっての。

自分らしく、自分が思うように生きてみたかった。・・・そんな直後のことだ。

俺の住んでた村がモンスターに襲われて、両親は呆気なく他界。

外の世界のことなんてこれっぽっちも知らない俺が、そんな世界に一人放り出されたわけだ。」

外に出たことなんてなかった。けれど、ずっと憧れてた外の世界。

そんな世界は、思っていたよりもずっとずっと厳しいもので。

自分の甘さを、思い知らされた。

「でもさ、そんな世界で途方に暮れてた俺に、声をかけてくれた人がいた。

・・・スコールに、顔はちょっと似てるかな。そいつがまたすっげぇドジでさ。

食事とか全然作れねぇし、戦闘能力だけは長けてたけどその他は全然駄目。

呆れるくらいになんにも出来なかったヤツだけど・・・」

は目を細め、微笑んだ。

「でも・・・その時は、そのドジさに救われた。

・・・だって何にも無い所でコケたりするんだぜ?笑わずにいられねぇよ。

・・・そいつがいたから、今の俺がいる。・・・俺の、命の恩人だ。」

沈黙が降りた。スコールやゼル、セルフィは目を閉じ、の言葉を噛み締めているように見えた。



辛い道を歩んできた

その過去の大半はまだ謎に包まれているけれど、

それでも。

少し、“”に近付けたような気がした。




「なーんて、くだらねぇ話しちまったよな。」

はケタケタと笑いながら頭をかいた。

けれどセルフィは首を横に振り、目一杯の笑顔で言う。

「そんなことない。とっても素敵なお話だったよ。」

本当に、素敵な話だと思った。だから、素直にそう言った。

「・・・サンキュ。」

は呟くように、そう言った。





「ねぇ・・・なんかさ、すっごく眠いよ〜?」

セルフィが言い出した。確かにセルフィの目は宙を泳いでおり、焦点が定まらないようだ。

ふと見ると、ゼルやスコールの様子もおかしい。

セルフィはその場に倒れ、ゼルはソファに仰け反り、スコールは必死に立ち上がろうとして床に倒れた。

「お、おいっ。どうした!?」

は慌てて立ち上がる。

だが、グラリと景色が歪み、自身も床へと倒れた。

「・・・ク・・・クソッ・・・。何が・・・どうなってんだ・・・・。」

意識が遠のいて行く。




そして、その後に見た光景。

三人の兵士の姿。

その中に、見知った顔があるのに気付いて、は唖然とした。





「・・・ラグナ・・・!?」









<続く>


=コメント=
あぁー・・・ラグナ出せなかった(笑
とりあえず、さんの過去!ってことで!(笑
それにしても・・・何故FF8って資料が少ないんだ!?(汗
誰か良いセリフ集とかがあるHP知りません?(汗
おしえてよぉ〜!!(ぇ [PR]動画