スコールがここまで悪趣味だなんて思わなかったぜ。



俺と一緒にいたいだなんて、そんな悪趣味な奴・・・俺は知らない。



後悔するなよ。



絶対に。










hat is your hope ?











誰もいない飛空挺の中。一人で、本当にこれで良かったのかと自問自答を繰り返す。

これが、スコールの癖だ。自分でもわかっているが、やめることは出来ない。

とくに、今回だけは。

その時、突然ドアが開き、そこからリノアの姿が現れた。

「リノア!」

「ただいま〜!」

脱出ポッドで別れたきりだったが、元気そうな姿を見せてくれた。

「もう、大変だったんだから! 脱出ポッド、地上に着いた衝撃で私は気絶してたんだだよ。

気が付いたら、私とピエットさんだけだったの。」

「(ピエット? ああ、一緒に脱出した男か。ん? お姉ちゃんは?エルオーネは?)」

スコールの疑問を見透かしたかのように、リノアは呟いた。

「エルオーネ、いなかったんの。無事だといいけど・・・・。

それで、ピエットさんは救助隊を待つって言ったんだよ。

でも、私はチョコボ捕まえて走ってたらこの凄い船見つけて中に入ったらスコールいてびっくり!」

興奮して言うリノアに、スコールは返事をすることが出来なかった。

はもういない。そして、エルオーネもいない。

自分は、一体どうすれば良い?

「スコール・・・スコールが宇宙に飛び出した時、すっごくカッコ良かったよ!

物語のヒーローみたいって思った。あれ? は?」

そう言い、リノアは辺りをキョロキョロと見回した。

てっきり、スコールと一緒にいるものだと思っていたのに、の姿はどこにもない。

その時再びドアが開いた。今度はゼル、キスティス、セルフィ、アーヴァインの姿が。

「スコール!! 無事で良かったぜ〜〜!帰ってきてすぐで悪いけど地上は大変なんだ。報告!」

そんな気分じゃなかった。けど、スコールが口を開く前にゼルはしゃべり出す。

「何か、ルナティック・パンドラってのが突然出てきたんだ。

で、そいつのせいで大騒ぎになってママ先生が目的を果たせなくて、いや、そりゃ良かったんだ。

ママ先生は魔女じゃなくなった。ママ先生も知らないうちに誰かに

魔女の力を継承しちまったらしい。」

その魔女の力は、に継承された。

だからこそ、悔しい感情が胸に溢れる。

「ええと、それから・・・そうそう、ルナティック・パンドラをコントロールしてんのは

ガルバディア軍だ。昔、エスタが海底に捨てたのを引き上げて動かしてるらしいんだ。

で、ルナティック・パンドラの中には『だいせきちゅう』ってのが入っていて

そいつが月からモンスターを呼ぶんだ。んで、月からモンスターがジャンジャン降って来て

こっちは大騒ぎよ。おまけに降って来たのはモンスターだけじゃないんだ。

封印して宇宙に追放してあった魔女アデルが封印装置ごと地上に落ちてきた。

月から降って来るモンスターに巻き込まれて一緒に落ちてきた。

それをルナティック・パンドラが受け取ったからびっくりだぜ!

オダイン博士の推理じゃあガルバディアの目的はそれだったんじゃねえかって事だ。

要するに・・・・」

「ゼル、もういい・・・後にしてくれ。」

まくし立てる勢いでしゃべるゼルの声も、今のスコールには耳障りなだけだった。

そんなことを考えられるほど、今のスコールに余裕はない。

「大変だな。ああ、大変なのはわかった。でも、俺は何も考えられない。」

どうしようもなく、悔しくて哀しくて、辛くて、腹が立って・・・混乱しているから。

「どうしたの?スコール。」

が魔女になってしまった。ママ先生の力を受け継いだんだ。

少し前にを迎えにエスタ人が来た。はエスタに行った。」

「嘘っ!?」

「追いかけなくっちゃ〜!!」

セルフィとリノアは声を揃えると、その場を急いで出て行った。

アーヴァインもその後を慌てて追い駆け、部屋にはキスティスとゼル、スコールが残される。

静かになってしばらくしてから、キスティスが口を開いた。

「無理矢理連れて行かれたの?」

「・・・違う。が望んだんだ。自分は魔女だから・・・

皆に恐れられ・・・嫌われて・・・そんなのは嫌だと言って・・・」

「スコールは止めなかった?」

キツく問うキスティスに、スコールは項垂れながら答えた。

が自分で決めたんだ。俺にどんな権利がある?」

「もう! やめてよ! 権利ですって!? 何の話をしているの?

宇宙にまで行ってを助けたのは何のためだったの?

もう会えなくなるかもしれないのにエスタに引き渡すため?

違うでしょ? と一緒にいたいからじゃなかったの?

バカ。」

「ホントだぜ。」

怒る二人に、スコールは自嘲気味に笑った。

「(・・・バカって言われた。何やってるんだ、俺。あんなに聞きたかったの声。

・・・もう聞けないかもしれないんだぞ。何カッコつけてたんだ、俺。どうしたらいいんだ。

・・・・・・・・・・・何だ、簡単な事だ。)」

スコールの様子を見て、キスティスとゼルは微笑む。

スコールは立ち上がり、はっきりと言った。

「何とかパンドラや魔女アデルなんてどうしたらいいかわからない。

お姉ちゃんの行方も今は見当がつかない。わかってるのはの事だけだ。

を取り返しに行く!」

そう叫んだ直後、突然機体が揺れた。

驚いて前を見ると、一面に青空と流れている雲が映っている。

「あの・・・飛んでるんですけど。」

「あんまり考えたくないけど操縦席にセルフィが座ってて・・・」

「『飛んじゃったよ〜!』って楽しそうに・・・」

「(その横ではアーヴァインが嬉しそうに・・・)」

慌ててコクピットへと向かうと、案の定セルフィが楽しそうに操縦桿を握っていた。

「飛んじゃったよ〜!テキトーにやったら飛んだんだよ〜!

でも、何か、簡単だから何とかなるかなあ。でも、落ちない保証はな〜い!」

保証。その言葉に、スコールは目を閉じる。

「(未来の保証なんて誰にも出来ない、だよな?)」

それから、前をしっかりと見据えて口を開いた。

「セルフィ、エスタへ行ってくれ。多分魔女記念館だと思う。奪回作戦だ!」

「了解〜!」

スコール達は、を取り戻すべくエスタへと進路を向けた。






飛空挺はエスタ上空に差し掛かり、エスタ東部に位置する建造物・・・魔女記念館へと向かった。

魔女アデルが封印された場所、エスタ国立魔女記念館。

かつてはエスタを支配していた魔女アデルを封じた時にここに安置されていた。

その後アデルが宇宙へと飛ばされた後は、魔女の研究機関となり、

魔女を封印する技術を高めてきた場所である。

スコール達は飛空艇から降りて魔女記念館へと入った。

中では、エスタ兵が警備をしている。

「仲間の見送りか・・・」

「特別に通してやろう。」

警備員が勘違いをしてくれて助かった。

門前払いをされたらどうしようかと思ったところだ。

奥に進むと、中では研究者達が今まさにを封印しようとしていた。

突然のスコールの姿に、研究者達は驚きの色を浮かべる。

「何をする気だ!」

「・・・その時どうすればいいかなんて、後にならないとわからない・・・」

「何を言ってるんだ?」

ぶつぶつと何かを呟くスコールに、研究員は眉根を寄せた。

だが、スコールの気持ちは決まっている。

スコールは顔を上げると、はっきりと言った。

「あの時どうすれば良かったのかわかったんだ。まだ間に合う。だから来た。

後悔したくない。を返してもらうぞ!」

「今更何を言うか!?」

そこへ仲間達が武器を振りかざし、職員を牽制した。

「スコール! 早く行けッ!」

「スコール! 行けよ〜!」

スコールは仲間達に頷き、が収められている機器に駆け寄った。

はスコールを見て驚いた表情をしている。信じられないのだろう。

、すぐだからな。すぐに出してやるからな。」

声は聞こえないが、が「どうして」と叫んでいるのがわかった。

どうして?そんなの決まっている。

後悔、したくないから。



スコールは意を決したかのようにガンブレードを抜くと、その機器に向かって振り下ろした。

コードが斬れ、ガラスが割れる。そして白煙が充満する中、が飛び出してくるのが見えた。

スコールは思い切り両手を広げ、を迎える。

なだれ込むように倒れてきたを、優しく抱き締める。

スコールはの体を抱き締めたまま、囁いた。

「魔女だとか人間だとか、そんなの関係ない。俺は、“”と一緒にいたいんだ。」

「・・・俺と一緒にいたいなんて、そんな悪趣味な奴・・・お前以外にいないぜ?」

スコールの腕の中で、は呟いた。

スコールは、更に強くを抱き締める。

! スコール!」

キスティスの呼ぶ声が聞こえた。スコールとは体を離し、入り口を見つめる。

「行こう。」

スコールはを連れて魔女記念館を出ようとした。

しかし警備兵が入り口を塞ぎ、仲間達と対峙している。

とスコールが唇を噛んだとき、一人の大きな男が現れた。

その服を見ればわかる。大統領補佐官だ。だが、以前会った男とは違う。

横を見ると、が驚いた表情で男を見つめている。

「・・・・・。」

男は黙って警備兵達に指示した。警備兵達は渋々と道を明ける。

男は更に、ここを出るように身振りで示した。

「・・・ド・・・。」

「え?」

が何かを呟いた。聞き取れない言葉で、スコールは尋ね返す。

はスコールに「何でもない」と答えると、そのままスコールと仲間達の背中を押した。

「行こう。早く出よう。」

「どうしたんだ?」

「いいから。」

は入り口付近まで行き、一度だけ男を振り返った。

男が頷いたのを確認してから、も魔女記念館を出た。




飛空挺に戻ったスコール達。

飛空挺に戻ったのはいいが、はコックピットの端で縮こまって動こうとしなかった。

スコール達は顔を見合わせて首を傾げる。

見兼ねたキスティスが、声を掛けた。

、どうしたの?」

「・・・なんてーかこう・・・、妙にこそばゆいっていうか・・・恥ずかしい。」

「何でだよ?」

尋ねられ、は視線を泳がせた。

何で、と聞かれても。

「・・・だって、ものすごい決心してエスタに行ったんだぜ?

もう二度とスコールにも皆にも会わないつもりだったのに・・・

気が付けばあっさりと皆が助けに来てるんだもん。

なんてか・・・嬉しいような、恥ずかしいような。」

「恥ずかしがることないだろ〜?」

「嬉しいのはいいよね〜」

仲間達の笑顔を見て、もやっと笑みを浮かべた。

安心した、作り笑いなんかではない本当の笑み。

は仲間達の顔を見回すと、静かに言った。

「サンキュ・・・皆。」

だって、やっと戻ってこれたのだから。

自分の、“本当に在るべき場所”へ。自分の、“本当の居場所”へ。

ゼルは、ふと先程から黙り込んでいるスコールを見つめた。

「スコール、さっきから黙ってるな。何かあったのか?」

スコールはゼルを見て、考えるように眉根を寄せた。

「(何かって・・・いろいろあるだろ?)」

そんなスコールを見て、今度はキスティスが口を開く。

「スコール研究家の私の考えでは・・・・

“これから俺達は何をすればいいんだろう? あれこれあれこれ・・・”。

いろいろ先の事を思うと考えがどんどん悪い方へ行ってしまうのよね。

スコール。もっと明るい未来を想像してみない?」

「・・・悪かったな。」

顔を逸らしながらスコールは言った。図星だったらしい。

ゼルは苦笑を浮かべつつも、腕を組んで溜息をついた。

「でも、マジでこっからどうするよ?・・・よくわからねえけど。

エスタに来た『ルナティック・パンドラ』を何とかしなくちゃならねえよな?

あれはガルバディア軍が動かしてるんだ。

って事は相変わらずサイファーがゴチャゴチャ動いてるんだろ?」

「サイファーは・・・アルティミシアの言いなりだ。」

そして、サイファーが動いているということはその傍にの兄、もいる。

何故なら、もアルティミシアの騎士であり、アルティミシアのお気に入りなのだから。

ゼルは頷いて興奮したようにしゃべり出した。

「おお、そのアルティミシアだぜ!未来の魔女が俺達の時代で悪い事すんのは許さねえよな!

魔女に後悔させてやろうぜ!俺達はSeeDだからよ! 魔女をブッ倒すのが仕事だぜ!」

「ゼル!!」

スコールが怒鳴った。ゼルは今言ったことにハッと気付き、しまったというように口に手を当てる。

今はが魔女なのだ。魔女を倒すということは、それはも倒すことになるのだろうか。

ゼルは気まずそうに視線を泳がせてから、に言った。

「す、すまねぇ・・・」

「別にいーって、謝ることなんてないぜ?打倒アルティミシア!いいじゃんか。

魔女なんてロクなもんじゃねぇ。さっさとブッ倒そうぜ。それが仕事だろ?」

はニッと笑い、ゼルに親指を立てて見せた。

それを見て、ゼルは幾分か安堵した表情を浮かべる。

そう、は、自分が魔女だということは気にしないことにした。

確かに以前は辛くて、スコール達に倒されてしまうのが怖かったけれど。

でも、今は違う。

は絶対にスコール達を裏切らないし、スコール達も自分を裏切らない。

それが、しっかりわかっているから。信じているから。

は顔を上げ、スコールに言った。

「なぁ。・・・前皆が話してた、孤児院行ってみたいんだけど。」

言うと、キスティスとセルフィは顔を見合わせた。

「ボロボロよ。」

「見てもつまらないかもよ。」

「いや、そういうのは別に構わないっていうか・・・関係ないんだ。

今は、街とか・・・あんまり人が多いところ行きたくない。

俺、魔女だろ? 今アルティミシアが入ってきたら、街にいると危ないから。」

スコールは頷き、セルフィに指示した。

「行ってくれ。イデアの家へ頼む。」







飛空艇はイデアの家を目指してセントラ大陸に向かう。

イデアの家に着くと、は孤児院を見て静かに目を閉じた。

静かな波動が、に伝わってくる。

だが、ふと顔を上げるとゆっくりと歩き出した。

「どこ行くんだ?」

家の方向とは違う方向へ歩き出したを見て、ゼルが尋ねる。

「なんか、花の香りがしたんだ。・・・花畑でもあるのか?」

仲間達は、の後に続いて行く。

が足を止めたのは、一面の花畑の前だった。

真っ白い花が一面に咲き誇り、風に香りが舞っている。

「・・・綺麗だな・・・。」

は目を細めて、呟いた。

そして、静かにその場に腰を下ろす。

そんなを見て、仲間達はこそこそとスコールを囲んだ。

「な、何だよ・・・。」

戸惑うスコールに、仲間達は言い聞かせる。

「(押すなら今よ、スコールッ)」

「(行っちゃえ行っちゃえ!落とし作戦だよ〜!)」

「(頭の中はでいっぱいでしょ?テスト前じゃなくて良かったわね)」

「(はこういう雰囲気って結構好きだったりするんだよ〜。今がチャンス!)」

「(結果、絶対に報告しろよ!)」

仲間達はそう言うと、含み笑いを浮かべてその場をそっと去って行った。

スコールはぽかんとその様子を見つめていたが、やがて溜息をついて頭を振る。

静寂がその場を支配し、スコールはを見た。

花畑を見つめ、ぼんやりとしている。一体、何を考えているのだろうか。

スコールはそっとの隣に歩み寄ると、ゆっくりと腰を下ろした。

「あれ?皆は?」

ふといない仲間達を見て、は尋ねた。スコールは肩を竦める。

「・・・どっか行った。」

「ふぅん。」

よくわからなかったが、なんだかそれでも良かった。

スコールと二人きりの空間が、心地良いからかもしれない。

「どうなっちゃうんだろうな、俺。」

ぽつりと呟く。スコールはを一瞥し、花畑に視線を戻した。

「・・・気にするな。昔から良い魔女はたくさんいた。

イデアもそうだった。もそうなればいい。」

「でも、イデアは・・・俺だってアルティミシアが中に入ってきたらどうなるかわからない。

宇宙では操られてアデルの封印を解いちまったし・・・今度は・・・どうなるんだろう。

今度は・・・何をしちゃうんだろう。世界中を敵に回して戦うのか? 嫌だな・・・。

・・・俺、独りで戦うんだろうな。」

スコールは目を閉じ、静かにの言葉を聞いていた。

独りで戦う。そんなことさせない。

「(・・・世界中を敵に回しても大丈夫だ。

俺が・・・俺は・・・そう、魔女の騎士。)」

とはいえ、が黙って守られているような奴ではないことくらい、わかっているのだが。

スコールは苦笑し、目を開けた。

「俺がアルティミシアに操られて暴れても・・・

・・・スコール達は、ちゃんと俺を“殺して”くれるよな?」

スコールはハッとしてを見た。

「アルティミシアに操られてるのなんて、もう俺じゃない。

そうなったときは、アルティミシアと見なして俺のことを倒して欲しい。」

そう。スコール達は、絶対に自分を裏切らない。

アルティミシアに操られたときは、“自分の姿をしたアルティミシア”を倒してくれると信じている。

けれど、スコールは叫んだ。

「やめろ! 俺はそんな事しない。俺が倒す魔女はじゃない。

に取り付く未来の魔女アルティミシアだ。」

「アルティミシアは未来の世界にいて俺に入ってくるんだ。

俺の身体がアルティミシアに使われるんだぞ。どうやって?

どうやって、俺を助けてくれるんだ?」

スコールはその言葉に押し黙り、目を閉じた。

それはわからない。まだ、今の時点では何もわからない。

けれど。

「・・・・考える。方法は・・・きっと見つかるはずだ。」

「・・・スコールが言うと、“見つかりそう”って気になるのは、不思議だよな。」

はそう言って、笑った。

それから、花畑を見つめて、ふと呟く。

「・・・・ひとつ・・・しゃべってもいいか?夢、見たんだ。」

ぽつり、と。は、口を開いた。

「怖い夢・・・だったんだ。スコールと約束する夢。

一緒に流れ星を見る約束。何でこんなロマンチックなこと約束したのかはわからないけど・・・。

でも、さぁ待ち合わせの時間ってときになって・・・

どうしても、待ち合わせの場所が思い出せないんだ。

約束の場所がどこかもわからないのに、俺・・・夢の中で走ってた。

山、砂漠、草原やティンバー、バラムもガルバディアも・・・全部見て走った。

でもスコールはどこにもいなくて・・・息が切れて、もう走れないって思ったら

会いたい気持ちはどんどん膨らんでさ。

スコール、どこにいるんだよ!って叫んだら、目が覚めた。

・・・ガラじゃねぇよな。俺、泣いてたんだぜ?

以前はこんな夢なんて見なかったのに・・・どうしちまったのかな、俺は。」

話し終わったを見て、スコールは沈黙していた。

何を言おうか、言葉を選んでいるように、何かを考えていた。

やがて、スコールはそっと口を開く。

「会えなかったのは・・・が待ち合わせの場所わからなかったのは・・・

・・・・ちゃんと約束しなかったからだ。」

「そっか。・・・そうかもな。」

苦笑するに、スコールは続ける。

「ここにしよう。俺・・・ここにいるから。」



この、白い花畑にいるから。



「いるから、何?」

「俺はここで待ってるから・・・」



ここで、待っているから。



「誰を待つんだ?」

「俺、ここでを待ってるから・・・・来てくれ。」

スコールは、この花畑で待っていてくれる。

は微笑んで頷き、花畑を見つめた。

「わかった。俺もここに来る。これで今度は会えるな。・・・絶対。」

この美しい花畑。ここが、待ち合わせの場所。約束の場所。

もう泣いたり、迷子になったりはしない。

ちゃんと、約束を憶えていられるから。



そこに、ゼルが走ってきた。

ゼルはとスコールの雰囲気を感じてか、少々気まずそうな表情をしている。

だが、急を要するのかしゃべり出した。

「す、すまない! でも、緊急事態なんだ。

飛空艇に無線が入った。エスタの大統領官邸からだ。

魔女アルティミシアを倒す作戦がある。実行部隊としてSeeDを雇いたいって。」

「・・・エスタの大統領官邸、だって?」

はゼルに問い返した。スコールは頭を振る。

「・・・を取り戻すための罠かもしれない。」

「スコール、もし本当にエスタの大統領官邸が連絡してきたのなら、大丈夫だ。

まさかあいつらが俺を封印したり、殺したり、“魔女”だと騒ぎ立てるはずもない。」

「・・・・?」

スコールは首を傾げた。

はゼルに言う。

「どうせ連絡して来たの、キロス辺りだろ?」

「な、なんでわかるんだ!?」

「やっぱりな。」

苦笑気味に頷くと、はスコールを見た。

「平気だよ。きっと本当にアルティミシアを倒す方法があるんだ。」

「・・・行ってみるか。」

がここまで言うのなら、恐らく何か宛てがあるのだろう。

スコールは頷き、大統領官邸に行くことを決めた。







再会まで、あと少し。










<続く>

=コメント=
最近FF8の筆の乗りがかなりいいです。
スラスラ書ける!この勢いでEDまで突っ走りたいです。
行けるかな?突っ掛からずに突っ走ろう!(笑

早く次回が書きたいです。
とうとうラグナとの再会です!
とラグナのじゃれ合いに注目して欲しいです〜。

・・・今回コメント短いな・・・(笑 [PR]動画