朦朧とした意識の中で見たのは






現実か、それとも幻か。










hat is your hope ?










「やばいぞまずいぞ何とかするぞ!を助けに行くだろ?」

「まだパレードが始まらない。門が開かない。」

「マジかよ!?」

が気を失うところを、スコールとアーヴァインは下から見ていた。

リノアを助けてくれ。そう叫んだに向かって、魔女が何かをしたのだ。

見えないけれどとても強力な力で、の意識をねじ伏せた。

しかもその直後に何かを念じ、凱旋門の外壁に飾られている2体の大蜥蜴の彫像を動かして

意識を失っているに襲いかからせたのだ。

蜥蜴に突き飛ばされたのか、もうの姿は見えない。だがそれだけ危険だということだ。

が簡単に意識を失うはずがない。しかもこんな緊張した場面で。

なのに、魔女はいとも簡単にの意識をなくしてしまった。

助けに行きたいけれど、官邸内に行くための門が閉まっている。

その門はパレードが始まらないと開くことはない。

つまり、パレードが始まらなければ助けに行くことも出来ないのだ。

もどかしい、歯痒い、早く助けに行きたい。



と、その時門が開かれた。

パレードカーに座った魔女がゆっくりと現れ、その脇では2人の若者が護衛をしている。

巨大な花火が打ち上げられ、観衆はそれに歓喜の声で応えた。

「さ、行こう!助けに。悩むなよっ!!、死んじゃうぞ!」

スコール達は観衆がパレードに釘付けになっている隙に官邸へと走った。

たくさんのダンサーが蠢く道をくぐり抜け、官邸目指して一直線に走る。

ふとスコールは魔女のパレードカーを見つめ、そして目を見開いた。

魔女の護衛についている若者2人のうちの1人に目が釘付けになる。



サイファー・・・・!?



そこにいたのは、あのサイファーだったのだ。

しかしスコールはそのことについて考えている暇はない。

疑問は絶えなかったが、サイファーから視線をはがして官邸を目指す。

を助けるために。リノアを保護するために。





スコールとアーヴァインは官邸に忍び込み、大統領の亡骸を一瞥しての姿を探した。

テラスにはいない。となると、部屋の中だろうか。

スコール達は部屋の扉を蹴り開け、中の様子を見つめた。

を守ろうとしているリノアが蜥蜴2匹に囲まれている。

の意識は未だ失われたままだ。

!!リノア!」

スコールとアーヴァインはそれぞれ武器を構え、蜥蜴のモンスターに立ち向かっていった。

とは言え、スコールにはわかっていた。この蜥蜴はほぼ雑魚であると。

スコールは連続剣の準備をし、打撃はアーヴァインに任せた。

危機に陥ったときでないと発揮出来ない連続剣。

今発揮出来れば、こんなモンスター一撃なのに。

スコールは心で思う。とリノアが危ない。今は聞きなのだ、と。

「どけ!アーヴァイン!!」

「はいよっ!!」

ガンブレードを構え、一気に蜥蜴に向かって行く。

全て急所に命中させ、更にラフディバイドまで発動させることが出来た。

かなり力を込めて戦ったからだろうか。

蜥蜴のモンスターは呆気なく倒れ、残ったのはリノアと意識のない2人。

スコールは2人に駆け寄り、無事を確かめた。

幸いリノアもも外傷は見られず、の意識がないだけで無事だった。

スコールとアーヴァインは溜息をつく。

「恐かった・・・恐かったの、私、恐かったの。」

リノアがスコールの服の裾を掴んで言う。

「もう終わった。」

「恐かったんだよ・・・ほんとに、恐かったんだよ。」

「バトルはいつもの事だろ?」

そんなことより、が心配だ。スコールはリノアの言葉を聞いてる余裕はなかった。

けれど。

『俺のことはいいから、リノアを保護してくれ!!』

の言ったあの言葉。は自分の無事よりも、リノアの無事を望むだろう。

スコールは仕方なくリノアに向き直った。

「駄目だったの、1人じゃ駄目だったの。私、1人じゃ戦えなかったの。

がいてくれなかったら・・・私・・・」

「・・・・俺達の雇い主はあんただ。が例え命を落とそうと、あんたには関係ない。」

これは事実だ。もし命を落としたとしても、それは当人のミスだということになってしまう。

だから今回が意識を失って危機に陥ったのも、のミスだと・・・

「違うのっ!!私のわがままで・・・!私のせいなの・・・!」

スコールはを見つめた。目を覚ます気配はない。

一体あの時、魔女はに何をしたのだろう?

肉眼では何も見えなかった。けれど、強いプレッシャーを感じた。

スコールはに近寄り、その首筋に手を当てる。

トクトクと鼓動の音がする。死んではいないようだ。

死んでいたらいたで困るのだが。

スコールはの体を軽く揺さぶり、声をかけた。

・・・しっかりしろ、!」

「・・・・。」

反応はない。スコールは目を細め、首を傾げた。

このぐったりとした体の具合が、何かの魔法にかかったときに似ているのだ。

スコールはひとつの可能性を思い付き、にストックしてあったエスナをかけた。

もしかすると、これはスリプルの強いバージョンなのではないか。

それが、スコールの思った可能性だった。

エスナをかけてしばらくすると、の指先がピクリと動いた。

やはり。思った通りだったようだ。

「・・・ぅ・・・・っ・・・」

っ。」

呼ぶと、はゆっくりと目を開けた。そして、驚いた顔でスコールを凝視している。

「スコー・・・ル・・・?」

まだ少し頭がはっきりしないのか、少し視線がフラフラしている。

スコールは安堵の溜息を漏らし、の頬をペシリと叩いた。

それで視界がはっきりしたのか、それとも驚いたのか、は目を丸くしている。

「ってーなっ!何すんだよ!!」

「お前がいつまでもグースカ寝ているからだ。」

「ざけんな畜生。あー・・・頭いてぇ・・・。」

は目を閉じて額に手を当てた。酷い頭痛がするようだ。

だが、ふと目を開けると慌てたように身を起こして叫んだ。

「リノアはっ!?」

「焦るなって〜。リノアはちゃんとここにいるだろ〜?」

アーヴァインがリノアの背中をポンポンと叩いてニッと笑った。

はリノアの無事な姿を見て、心底安心したようにへなへなと座り込んだ。

「変な夢見た・・・。あークソッ、目覚め悪ィなぁ。」

「どんな夢なの?」

リノアが尋ねると、は悔しそうに唇を噛み締める。

「兄貴が・・・俺の前に立っててさ。ニヤニヤ笑いながら俺のこと見下ろして・・・

んで言うんだぜ?『お前は俺に追いつけない。一生弱い負け犬のままだ』ってよ!!」

は憎々しげに吐き捨てる。リノアは心配そうにを見つめていたが、

は唐突に立ち上がると天井に向かって大声で叫んだ。


「畜生だからどうしたってんだ!!

一生ガルバディアの犬のままニヤニヤしてやがれ!!

てかその気味悪い笑みを俺に向けるんじゃねぇ!!

クソ兄貴ィ―――――――――っ!!!」



よっぽど嫌な夢だったようだ。

スコール達は黙ってを見つめたまま、硬直していた。

は叫んだためか荒くなった息を整え、ひとつ溜息をついてスコール達を見た。

「俺のせいで大分タイムロスしちまったな。さぁ、作戦再開しようぜ!」

スコールは頷いた。

いつものに戻ったようで、安心した。

何故安心したのだろう。が目を覚まさなかったとき、酷く動揺した。

もしこのままが目を覚まさなかったら、と考えたら。

胸がざわつくような、酷い不安感を感じた。何故だろう。

「行こう。急がないとパレードが凱旋門に入ってしまう。」

自分の思考を自分の言葉で遮り、スコールは言った。

それに恐怖を感じたかのように、リノアがの洋服の裾を掴む。

スコール達はそれに振り向き、は苦笑を浮かべた。

スコールは言う。

「あんたの命令は覚えている。俺達の側から離れるな。」

置いてきぼりにしないで。

そう言ったリノアの言葉は、ちゃんと覚えている。

リノアは小さく頷き、立ち上がった。

スコール達は部屋の先にある通路に向かう。スコール達が聞いた作戦では、

通路の床に隠し扉があり、中に入るとギミック時計の部屋になっているという話だった。

「隠し扉・・・コレのことか。」

スコールは床に屈み込む。床にある窪みに手を入れ、力を込めて開けるとひとつの部屋に続いていた。

ギミック時計の部屋だ。

スコール達はギミック時計の部屋に入り、辺りを見回した。

床にはライフルが置いてある。これで狙撃を行えということだろう。

スコールはライフルを取り、アーヴァインに渡した。

「アーヴァイン・キニアス。後はお前に任せる。」

アーヴァインは神妙な様子で頷くと、狙撃位置に行って静かに座り込んだ。

スコールは首を傾げる。はどことなく頬を引きつらせているように見える。

「(何だ・・・急に大人しくなって。ああ、集中力を高めるのか。

狙撃手の孤独・・・確かにそうかもな。)」

スコールは列車の中でアーヴァインが言ったことを思い出し、ふと思いに耽った。

「(ここじゃ何も聞こえないな。・・・パレードはどうなった?

それから・・・サイファー・・・生きていたんだな。)」

処刑されたはずの彼が、生きていたとは思わなかった。

雷神や風神が言った通り、嘘だったというわけか。

スコールは言った。

「リノア。サイファーは生きてるぞ。あいつ、魔女とパレードしてる。」

「・・・・どういう事?」

「知るか。」

サイファーが生きている。それは事実だが、何がどうなって魔女の傍にいるのかはわからない。

気にはなるが、今自分達が持っている情報では全然足りないのだ。

もし自分達が魔女と直接バトルをすることになったら、サイファーとも戦うことになるのだろうか。

それも、敵を選べないSeeDの宿命だ。

「俺の手でサイファーを死なせる事になるかもしれない。」

リノアに告げると、リノアは少し寂しそうな顔になって笑った。

「覚悟、してるんだよね、お互い。そういう事、あっても普通の事。

そういう世界で生きてるんだもんね。心のトレーニング、たくさんしたんだよね。

でも、でも、もちろん・・・避けられたらなって思うよ。」

そう、避けたい。けれど、避けられるかわからない。

「キニアス次第だ。」

スコールはアーヴァインを見つめ、そう告げた。

だが、ふとスコールは眉根を寄せる。

はアーヴァインの様子を見て、「あちゃー」と頭を抱えている。

まさか。いや、信じたくないのだが。

「(まさか・・・こいつ、ビビってるのか!?)」

思いたくない真実。頼むから嘘であってくれ。

「まさか、怖じ気付いたんじゃ・・・」

「や、やっぱり、だめみたいだ。」

尋ねたスコールに返って来た返事は、なんとも情けないものだった。

は深い溜息をつき、状況説明をする。

「こいつ、昔から強いプレッシャーに弱いんだよ。ガーデンの実地試験とかでも

足がフラフラになって、仕方ないから俺と一緒に行動してたんだぜ。

ま、あの頃に比べりゃまだまだ精神力も強くなった方だけどさ。」

スコールは頭を抱えずにはいられなかった。

は自分の腕時計を見て、告げる。

「あと10秒で20時。9、8、7、6・・・」

早くこの状況をなんとかしなければ、本当にマズい。

「3、2、1・・・!20時だ!」

が言ったとともに、官邸のギミック時計がスコール達を乗せたまませり上がった。

ギミック時計に明るく電気が灯り、凱旋門がしっかりと見える。

凱旋門は鉄格子で閉められており、キスティス達の方は成功したことがわかる。

鉄格子の中には魔女のパレードカーが。向こうはちゃんと成功しているのに。

「アーヴァイン・キニアス!!」

スコールは叫んだ。けれどアーヴァインは首を振る。

「だ、ダメだ、すまない、撃てない。僕、本番に弱いんだ。

ふざけたり、カッコつけたりして何とかしようとしたけどダメだった。」

「アーヴァイン、いいから撃てよ。」

もいつもよりキツい口調でアーヴァインを促す。

けれどアーヴァインは震えているだけだ。

「僕の銃弾が魔女を倒すんだ。歴史に残る大事件だ。

このガルバディアの、世界の未来を変えてしまうような事件だ。そう考えたら僕は・・・」

「もうしゃべるな! 撃て!」

「撃てないんだッ!」

ヒステリーに叫ぶアーヴァイン。はアーヴァインに歩み寄り、その肩を抱いた。

アーヴァインはピクリと震えてを見つめる。

「アーヴァイン、落ち着けよ。皆お前を待ってるんだぜ?

はずしたって構わねぇよ。その後のことは俺達がなんとかするし、合図だと思えば楽勝だろ?

俺達だって何かのサインがないと行動を起こせない。

俺達に行動を起こさせるサインだと思って撃ってくれよ。」

「ただの合図・・・」

アーヴァインは顔を上げる。スコールは小さく頷いて言った。

「(そうだ、アーヴァイン・キニアス。) 頼む。」

「・・・・ただのサイン。」

アーヴァインは何度か深呼吸をし、自分を落ち着かせた。

まだ手は震えているが、その手で魔女に狙いを定める。

はそっとその手を支え、アーヴァインと一緒に魔女を狙った。

そして、一発の銃弾が発射された。

遠目でもわかった。魔女の前で光が煌いたのだ。

銃弾は魔女の結界で跳ね返され、狙撃は失敗に終わった。

SeeD達の間に深い溜息が流れる。

「・・・すまない。」

「気にするな、狙いは正確だった。後は俺に任せればいい。

俺は今から魔女に突っ込む。アーヴァインとリノア、も念のため装備をしておけ。」

「スコール待て、俺も行く。」

は腰からガンブレードを抜き放ち、スコールに言った。

スコールはしばしを見つめて黙っていたが、身を翻すと言った。

「行くぞ。」

「了解。」

2人はギミック時計から飛び降り、今の騒ぎで混乱している観衆の中へと降り立った。

そして近くに止めてあった車に飛び乗る。運転席にはスコールだ。

スコールは一気にスピードを上げると、上手くハンドルを操って凱旋門へと一直線に走った。

そして、凱旋門へと突っ込み魔女のパレードカーに飛び乗る。

そこでは、2人の男が笑みを浮かべて待ち構えていた。

「(サイファーと・・・もう1人は誰だ?白銀の髪に細く鋭い瞳。黒い服・・・。)」

は白銀の髪の青年を見つめて固まっている。

スコールはを一瞥してからサイファーに話し掛けた。

「魔女のペットになったのか?」

「魔女の騎士と言ってくれないか? これが俺の夢だった。勝負だ、スコール!」

白銀の髪の青年がサイファーに言った。

「任せていいのか?サイファー。」

「もちろん。これは俺の戦いだ。お前は手を出すな。。」

「(・・・ガルバディアにいる最強のSeeDか・・・?名前だけは聞いたことがあるが・・・。)」

スコールは青年を見て思う。

はサイファーの言った名前に目を見開いた。

信じられないとでもいうように頭を振り、青年を見つめている。

スコールはに言った。

。お前も手を出すな。俺とサイファーの戦いだ。」

「え?あ・・・ああ、わかった・・・。」

様子がおかしい。そうは思いつつも、スコールはサイファーに向き直ってガンブレードを構えた。

サイファーとの戦いは避けられない。相手が望んでいるのだから。

サイファーが唸り声を上げながら向かってくる。スコールはそれを剣ではじき返した。

「俺が死んだと思っていたようだな。俺は死なねぇよ、夢を叶えるまではな!」

スコールはガンブレードを振り上げ、サイファーに向かって行った。

2人の剣技が交錯し、真っ赤な火花が飛ぶ。

鉄のぶつかる音と走る足音、そしてスコールとサイファーの荒い息の音が響く。

はその様子を呆然と見つめていたが、あの青年・・・と目が合って身を竦ませた。

はニヤリと笑い、すぐに視線をそらす。

その時、スコールのガンブレードがサイファーのコートを引き裂いた。

「クッ、やるな・・・スコール、ケリをつけるぜ!」

「俺はSeeDだ。・・・負けられない。」

2人は両手で剣を構えて、それを一気にぶつけた。

ギリギリと絡み合う刃と刃。はじき返されたのはサイファーだった。

サイファーは地面に倒れ、驚愕した表情で言う。

「この俺が負けただと!?」

「腕が落ちたな、サイファー。」

スコールはそう吐き捨てると、を見つめた。

「次はお前か。」

「俺の相手をしてくれるのか?SeeDのスコールさん。」

は貼り付けたような笑みを浮かべたまま、一歩前に出た。

スコールもと対峙するため前に出ようとしたが、それを止めたのはだった。

静かな動きでスコールを制し、緊張した面差しでを見つめている。

?」

「悪い、スコール・・・。ここは俺にやらせてくれ。」

何故、と問い返そうとしたスコールは、その言葉を飲み込んだ。

の横顔が、いつものような気丈な顔ではなく、余裕のない焦った顔だったから。

は震える手でガンブレードを構え、を見据えた。

は心底嬉しそうに笑うと、自分も腰の剣をすらりと抜き放つ。

「嬉しいなぁ、。お前から俺に向かってきてくれるなんて。」

「うるさい。・・・その歪んだ性格、なんとかしやがれ。」

「下っ端の兵士からお前の伝言聞いたぞ。『テメェの命も後少しだぜ』ってな。

果たして・・・本当に俺の命を奪うことが出来るか?お前に。」

「うるさい。」

「昔からお前は、」

「うるさいって言ってんだよ!!聞こえねぇのか!!」

叫ぶ。スコールは眉根を寄せた。

やはりいつものではない。いつもの彼女ならもっと余裕があるはずだ。

何故こんなにも追い詰められている?わからない。

「始めようか?・イオザム。」

「・・・ああ。・・・。」

2人の足が地を蹴った。

細身の剣と太いガンブレード。その二つがぶつかり合えば、間違いなくガンブレードの方が有利なはず。

しかし、スコールは2人の戦いを見て驚愕の表情を浮かべた。

が押されている。

素人の目から見てもすぐわかるくらい、力の差は明らかだった。

も負けじと対応しているが、負けるのは時間の問題とさえ思える。

余裕の笑みを浮かべて剣を振るう。それに焦りながら対応している

「くっ・・・!!」

「ほらほら、どうした!?そんなんで俺の命を狙おうなんて甘いな!!」

は一回飛び退き、それからもう一度地を蹴った。

剣とガンブレードがぶつかり合う。火花が散る。

「なあ。俺のことを、“兄貴”とは呼んでくれないのか?」

「黙れ!!!」

スコールは自分の耳を疑った。

が言った言葉。それがやけにリアル過ぎて信じられなくて、目を見開いた。

はなんと言った?に対し、なんと言った?

今確かに、“兄”と。

「お前なんて、俺の兄だってつもりはないんだろ!?」

「心外だな。大切な妹にそんなこと思うわけないだろ?」

のガンブレードをはじき飛ばし、ニヤリと笑った。

ガンブレードがの手から離れ、回転しながら地面を滑った。

は青褪めてを見つめる。

だが、その時の後ろから魔女の声がした。

「もういい、・・・。・・・私の愛しい・・・。」

「あなたの思うままに。イデア。」

イデアが言うとすぐには剣を腰の鞘におさめた。

魔女イデアが口を開く。

「・・・SeeDだな。・・・腐った庭に蒔かれた種か。」

その時、リノアとアーヴァインが駆け付けた。

2人とも強い意思を秘めた光を目に宿している。

「一緒なら戦えるから! だから来たの! 私も戦うから。」

「あのままじゃカッコ悪過ぎだよな。」

魔女イデアは忌々しそうに眉を寄せる。

「・・・SeeD。呪われし、種。」

スコール達は武器を構え、イデアに立ち向かっていった。

スコールとが切り付け、リノアが回復魔法を唱え、アーヴァインはG.Fを召喚する。

「小癪なSeeDめ!」

しかし全然イデアにダメージを与えられているようには見えない。

見えない魔力で防御しているのだろうか。それとも、これが魔女イデアの力なのか。

4人の体力はものすごいスピードで削られ、あっという間に立ち上がれなくなってしまった。

しかしスコールはそれでも立ち上がる。

ふらつく足に力を込め、ガンブレードを構えながらイデアを睨み付けた。

「・・・SeeD、この程度か。つまらぬ・・・ここまでだな、SeeDよ。」

「スコール・・・!」

も体を起こそうと力を込めるが、残された力はもうほとんどない。

かすかに体が動いただけで、起き上がるにはほど遠かった。

魔女イデアは次の瞬間、大きな氷の槍を出現させた。

は目を見開く。

イデアはそれを思い切り振り上げると、スコールに向かってそれを投げ付けた。

今のスコールにそれを避けるだけの体力は残っていない。

ドスッと肉が裂ける嫌な音が響いた。

は見開いた目を更に見開き、スコールを見つめたまま硬直した。

スコールの肩に刺さった痛々しい氷の槍。

スコールは一瞬目を大きく見開き、それからすぐに後ろに倒れていった。

後ろは崖だ。パレードカーは高い。そこから落ちたら、無事ではすまない。

「スコール!!」

は動かない体を必死に動かし、倒れるスコールの手を掴もうとした。

落ちてはいけない。彼を救わなくてはならない。

「スコール!!!」

はもう一度叫び、スコールに手を伸ばした。

だが、後ろから声がして

「お前も少しおねんねしな。」

首筋に衝撃が走り、意識が遠のくのが感じた。

最後に見たのはイデアの冷酷な目。そして、の冷笑。

悔しくて、は唇を噛み締めた。

けれどもう何も聞こえず、スコールを救うことも出来ず、

の意識は暗転した。






闇に深く堕ちていく意識と体。

これは眠気か、それとも死の直前か。











<続く>


=コメント=
はい、DISC1終了です(笑
次回からDISC2のエピソードに入っていきます。
やっと出てきましたね、主人公のお兄さん!!(笑
白銀の髪、とありますが、私のイメージ的にはキングダムハーツのリク的なイメージがあります。
リクをもっともっとスコールっぽい顔立ちにして、髪を少し短めにしたカンジ(笑
服はACのクラウドっぽくて(笑
サイファーとタメ口きいてますが、一応の方が立場は上です。
イデア(っつーかアルティミシア)の超お気に入りです(笑
冷たい兄ちゃんですが、今後の展開で大分変わってきますよ。
そして最後はが・・・。
まぁそこはネタバレになるので口を噤むということで(笑
次回をご期待ください! [PR]動画