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あの時より一歩強くなれた?第九章




「到着〜v」

可愛らしい声が町の入り口で響いた。

町の入り口には、クラウド、、レッド13の姿がある。

そう、彼らはカームの町に辿り着いたのだ。

「もうきっとバレットやティファ達来てるよ。早く宿屋に行こう?」

の可愛らしいお願い事を断れる男達ではない。

いや、お願い事と言っても、本当に宿屋に行かねばならないのだが。

は既に歩き出している。クラウドとレッド13は慌ててを追いかけた。






「クラウド達おそ〜い!」

宿屋の二階に上がった途端に聞こえてきたのはエアリスの声だった。

クラウド達三人以外の仲間達は大分前からここで待っていたようだ。

「すまない。待たせたようだな。」

クラウドが言った。エアリスもティファも少しばかりむくれていたようだったが、そこはが上手く納めた。

「とにかく、これで全員集合ね。」

エアリスが仕切るように言った。バレットが頷く。

皆それぞれベットに腰掛けている。クラウドとは一番近くのベットに一緒に腰掛けた。

「さて・・・聞かせてもらおうじゃねぇか。セフィロス・・・星の危機。お前達二人が知ってる全てのことを。」

バレットの言葉で、その場は沈黙に包まれた。

誰も言葉を発しようとはせず、ただただクラウドとの口から出る言葉を待った。

クラウドは大きく息を吸い、そのままゆっくりと吐いた。

「・・・俺はセフィロスに憧れてソルジャーになったんだ。いくつかの作戦をセフィロスと一緒にこなすうち、

俺達は親しくなった。ただ、セフィロスと俺は年も離れていたし、セフィロスはほとんど自分のことを話さなかった・・・

・・・親友ではない。・・・戦友・・・かな。とにかく俺達は信頼し合っていた。

・・・あの時までは。」

「・・・あの時?」

ふとエアリスが聞き返す。クラウドは静かに頷いた。

「戦争終結後のソルジャーの任務は神羅の反対する人々を・・・。

・・・憂鬱な仕事が多かったな。あれは5年前。

・・・俺はまだ16歳だった・・・・。」






「すごい雨だな・・・。」

トラックが揺れる中、俺は呟いた。

傍には三人の神羅兵とセフィロスが座っている。

「おい、お前達、気分はどうだ?」

俺は二人の神羅兵に声をかけた。

この二人の神羅兵は乗り物酔いが酷い。神羅兵の一人が答えた。

「ん・・・大丈夫。」





「待って。」

がクラウドの声を遮った。全員の視線がに集まる。

「どうした?」

「・・・・私の記憶が正しければの話だけど・・・。

クラウドがその時に声をかけて、返事をしたのは私よ。」

「「えぇっ!?」」

全員の声が重なった。は身と縮ませた。

「私その時乗り物が本当にダメで・・・。本気でどうしようって思ってたの。」

少し照れながら言う。その可愛さといったら・・・・。

・・・・話を戻そう。

「そうだったのか・・・。どうりで高い声だとは思っていたが・・・。」

「ごめんなさいね、話を中断させちゃって。どうぞ続けて。」

クラウドは少し微笑むと再び話出した。




「俺は乗り物酔いになったことがないからな。よくわからないんだ。」

俺は胸を張って言った。それが自慢だったんだ。

神羅兵の兜は口元しか見えないようになっている。

俺に返事をしてくれた神羅兵が少し微笑んだのがわかった。

今思えば、あれはの優しさだったんだなって思う。

「準備はOK?」

俺は再び別の神羅兵に聞いた。

胸がワクワクしてたまらなかった。

「おいお前。」

その場に似合わない低い声がして、俺は振り返った。

セフィロスが怪訝そうな顔をしていたのを憶えてる。

「もう少し落ちつけ。」

落ちつけと言われても、俺は落ちついてはいられなかった。

「新しいマテリア、支給されたんだっ!早く使いたくって落ちつかなくてさ〜。」

「子供か、お前は。」

セフィロスが苦笑いを浮かべた。

そう、俺はまだまだ幼かった。本当のソルジャーを知らなかったんだ。

「なぁなぁ、そろそろ今回の仕事をおしえてくれよ!」

俺は本当に楽しみでたまらなかったんだ。

「・・・今回の任務はいつもと違う。」

「それは嬉しいねっ!」

「どうしてだ?」

セフィロスが間をあけずに聞き返した。

「俺はあんたみたいになりたくてソルジャーになったんだ。

それなのにクラス1STに昇格したのと同時に戦争が終わってしまった。

俺がヒーローになるチャンスが減ってしまった訳さ。

だから、そういうチャンスがあるなら俺は絶対にモノにしてみせる。

な、どんな気分だ? 英雄セフィロスさん?」

セフィロスは本当に呆れたようだった。

一つ大きなため息をつき、「やれやれ」と肩をすくめる。

「・・・お前、今回の任務が知りたかったんじゃないのか?

今回の任務は 老朽化した魔晄炉の調査だ。異常動作を起こしているうえに凶暴な動物が発生している。

そいつらを始末しつつ原因を見つけだし、排除する。それが今回の任務だ。」

老朽化した魔晄炉・・・。ふと俺の頭に一つの場所が浮かんだ。

「・・・場所はどこだ?」

「ニブルヘイムの魔晄炉だ。」

やっぱり。

俺は少し懐かしい気分になった。

「ニブルヘイム・・・?」

ふと声が聞こえ、隣を見ると、気分を悪くしてうなっていた一人の神羅兵だった。

そう、だ。

「お前、ニブルヘイムを知ってるのか?ニブルヘイムは俺の生まれ故郷なんだ。」

俺がそう言うと、神羅兵は何と言ったらいいのかわからない、という顔をした。

「そう・・・なんだ・・・。ボクはニブルヘイムに・・・何度か行ったことがあるんだ・・・。」

はその時そう言った。今思えば、「ニブルヘイムに住んでいた」と言いたかったに違いない。

「そうか。いい村だろ?俺、ニブルヘイムが大好きなんだ。やティファは元気かな・・・。」

俺がそう言うと、神羅兵()はビクッと体を震わせた。

・・・・。その子は多分・・・もう村にいないはずだよ。」

「え?」

「・・・・ボクがニブルヘイムに行った時にはもういなかった。・・・・一年以上前の話・・・だよ。」

その時、かなりショックを受けたのを憶えてる。俺は「そうか・・・」と答えるしか出来なかったんだ。

・・・でもはいつも俺と一緒に行動していた。なんだか今考えるとすごく不思議な気分になる。

「故郷・・・・か。」

セフィロスが小さな声で呟いた。窓の外を眺めていたその顔は、すごく寂しげに見えた。

その時だった。

急ブレーキがかかり、トラックに乗っている全員が横転した。

特に俺は立っていた所為もあり、思いっきり神羅兵にぶつかってしまった。

俺はこの時からに迷惑をかけっぱなしだった・・・。

「ご、ごめんっ。大丈夫か!?」

「ああ・・・ボクは大丈夫。君は?思いっきり転んだみたいだけど・・・。」

「あ、俺は大丈夫。っていうかどうしたんだ?急にブレーキかけやがって・・・。」

思いきり打ってしまった肘を押さえながら俺は運転席に目をやった。

運転手が慌てて車から降り、俺達の所に乗り込んで来る。

「へ、へ、変な動物が!!トラックに突っ込んで来ましたっ!!」

俺ともう一人の神羅兵はハッとして立ち上がった。隣ではセフィロスがため息をついた。

「モンスターのお出ましか。」

そのセリフを聞いた途端、俺と神羅兵はトラックから飛び出していた。

剣を構えて前を見据えると、そこには一般に言われるドラゴンが待ち構えていた。

ものすごい大きさだった。初めて見たドラゴンに恐れを感じ、俺は動けずにいたんだ。

「まったく面倒なことをしてくれたもんだな・・・。このドラゴンも。」

セフィロスがトラックから降りて来た。

「どうします?このドラゴン。撃破するんですか?」

神羅兵が言った。セフィロスは頷く。

「当たり前だろう。そのために来たようなもんだからな。」

セフィロスは刃渡り1メートル50センチ以上ある独自の剣を構えた。この剣はセフィロスにしか扱えない。

「行くぞ・・・。このトカゲ野郎が。」

セフィロスがそう呟いたのとほぼ同時。ドラゴンは死骸と化していた。

セフィロスの強さは普通じゃない。世間で知られているどんな話よりも・・・すごかった。




「あれぇ?クラウドとの活躍は??

そのトラックから飛び出した神羅兵ってのことなんでしょ?もクラウドもどうしてたのよ?」

エアリスが言った。クラウドとは苦笑いを浮かべる。

「俺達か?俺達は・・・セフィロスの戦いぶりに見とれていたな。」

「一瞬にしてドラゴンを倒しちゃうんだもの。私達の活躍なんてないわよ。」

仲間達全員が苦笑いを浮かべた。だが、ティファだけは浮かない顔をしている。

クラウドはそれに気付く様子はない。話を続けた。

「そして、俺達はニブルヘイムに着いたんだ。」





「どんな気分なんだ?」

ニブルヘイムの入り口でセフィロスが呟いた。

「久し振りの故郷なんだろう?」

セフィロスはニブルヘイムの入り口で空を見上げた。

「どんな気分がするものなんだ?俺には故郷がないからわからないんだ・・・」

正直驚いた。確かにセフィロスと会話をしていて故郷の話が出た事はなかった。

けれど故郷がないはずがない。俺はそう思った。

「ええと・・・両親は?」

結局俺に聞けたのはそれくらいだった。

「母の名はジェノバ。俺を生んですぐに死んだ。父は・・・」

ハッとしたようにセフィロスが黙り込む。

「俺は何を話してるんだ・・・。さあ、行こうか。」

それ以上は聞けなかった。




「ちょっと待った!!」

バレットの声が響いた。全員何事かとバレットを見る。

「な、あれじゃねえか?セフィロスが言ってた母親の名前・・・

ジェノバ・・・覚えてるぞ!神羅ビルにいた首ナシのバケモノだな!」

「その通りだ。」

クラウドが頷く。は何かに気付いたような顔をする。

「ジェノバ・・・そうか・・・。神羅ビルに運んであったわね。」

「ちょっとバレット。クラウドの話、ちゃんと聞かせて。質問は後よ。」

ティファが怒ったように言った。バレットはタジタジになる。

「で、でもよぉ、ティファ・・・」

「さあクラウド、続けて。」

バレットを無視し、ティファがクラウドに言った。エアリスが嬉しそうに微笑む。

「幼なじみの再会ね!」

クラウドは再び苦笑いを浮かべた。

「・・・ティファには驚かされたな。

・・・村はひっそりとしていた。皆、モンスターを恐れて家に閉じこもっていたのかな?

俺はそう思った。けど・・・いや、俺たちを 恐れていたのか・・・。」





「魔晄炉への出発は明朝。今日は早めに眠っておけ。見張りは一人でいいからお前達も休んでおけよ。

ああ、そうだ。家族や知り合いと会ってきても構わないぞ。」

まず俺の頭に浮かんだのは母さんの顔だった。

けど、なんだか照れ臭かった・・・。だから、ティファの家に向かったんだ。 

「あ、ボクも行くよ。宿で寝てても面白くないからね。」
 
はそう言って俺について来たんだ。

「ここはティファっていう俺の幼馴染の家なんだ。」




「ねえ、クラウド・・・私の家に入ったの?」

ティファに聞かれてクラウドは頷いた。

「ティファ、いるかなと思って。」



俺とはティファの家に入り、家の中を見渡した。

人影ひとつなかった。

俺達は二階へ上がり、ティファの部屋のドアを開けたんだ。




「クラウド・・・私の部屋にも入ったの?」

「うん、入ったわ。私が一緒だったんだから間違いないわね。」

「えっと・・・」

が何だか怒り気味に言う。クラウドは少し冷や汗をかいているようだ。




そして俺達は・・・・

「ちょ、ちょっと、クラウド・・・さん!女の子のタンスを勝手に開けるなんてっ・・・

って、ちょっと待ったっ!!それに触っちゃっ・・・誰も見てないからって・・・・!」

が思いっきり慌ててたのを憶えてる。何故なら・・・

俺とは、ティファの「ちょっと背伸びパンツ」を見つけたから・・・・。

俺はすかさずそれをポケットに・・・




「クラウド・・・それ、本当なの?」

ティファが怒っている。クラウドは冷や汗だらだらだ。

「冗談だ、怒るな・・・」

「でも、パンツを見つけたことは事実よね。クラウド、ティファのタンスを勝手に開けたんだから。」

女性陣の視線が痛い。

「・・・クラウド。今はすごく真面目な話をしているんでしょ?」

かなり怒りを押さえてティファが言った。クラウドはコクコクと頷くことしか出来なかった。



 
「ティファのピアノ・・・。」

俺とはティファのピアノを見つめた。




「私のピアノも弾いたの?」

「俺はちょっとだけ・・・。は一曲全て弾いてたぞ。」




「俺だって、楽譜くらい読める・・・えっと・・・・

ド・・・レ・・・ミ・・・シー・・・ラー・・・ド・・・レ・・・ミ・・・ソ・・・ファ・・・ド・・・レ・・・ド・・・ いいや、もう」

俺は面倒になってピアノから手を離した。でもは楽譜を見つめている。

「どうしたんだ?」

「ボク、この曲聞いたことある・・・。弾いてみようか。君も聞いたことがあるかもしれない。」

そういうなり、はピアノの椅子に腰掛け、ピアノに手を置いた。

〜ドー・・・レーミーシー・・・ラー・・・・・・ドーレーミーソーファードーレー

ドー・・・レーミーシー・・・ラー・・・・・・ドーレーミーソーファードーレーミー・・・・ 

ミーソーミーレー・・・ミーファーレー・・・・・

ドー・・・レーミーシー・・・ラー・・・・・・ドーレーミーソーファードーレー

ドー・・・レーミーシー・・・ラー・・・・・・ドーレーミーソーファードーレードー・・・・・・・〜

俺は度肝を抜かれた。初見で左手と合わせて一回も間違わずに弾けるなんて・・・・。

「どうかな?聞いたことがあるんじゃないかい?」

確かに聞いたことがある気がした。どこで、いつ聞いたのかはわからなかったけれど、でも聞いたことがあることは確かだと思った。

それから俺達は・・・俺の家へ向かった。




「俺の家は・・・5年前の事件とは関係ないな。」

「でもよ、興味あるぜ。」

「私も! 久し振り、だったんでしょ?」

エアリスとバレットが口を揃えて言った。

「聞かせろよ!家族と会ったんだろ?」

クラウドはため息をつく。

「やれやれ・・・・。」




家族っていっても・・・父さんは・・・俺がまだ子供のころに死んでしまった。

だから母さんが・・・この家には母さんが一人で住んでいた。ああ、俺、母さんに会ったよ。

母さんは・・・元気な人だった。全然変わってなかった。その何日か後には死んでしまったけど・・・。

あの時は・・・本当に元気だった。

「あの・・・」

俺とは家に踏み込んだ。

「は〜い?」

奥から母さんの声がした。そして母さんは俺を見て、息を飲んだんだ。

「クラウド!?おかえりなさい、クラウド!」

「ただいま、母さん。」

母さんは俺に抱きついてきた。鬱陶しかったけど、でもやっぱり久し振りに会えて嬉しかった。

「あら・・・?そちらの方は・・・・。」

母さんはを見て、再び息を飲んだ。

「あっ・・・クラウドさん、お母さんと水入らずのところにボクがお邪魔しちゃいけないから・・・。

ボク、セフィロスさんのところに戻ってるよ・・・。お邪魔しました。」

はそそくさと行ってしまった。母さんは何か言いたげにの後姿を見送っていた。

・・・そう、母さんはに気付いていたんだ。さすがだな、って今でも思う。

 
「どれどれ・・・晴れ姿、母さんにもよ〜く見せておくれ。・・・ふ〜ん。

ほれぼれしちゃうわねえ。これ、ソルジャーさんの制服かい?」

「・・・母さん、俺・・・。」

「本当に立派になってぇ。そんなんじゃ、あれだね。女の子もほっとかないだろ?」

「・・・別に。」

「心配なんだよ。都会にはいろいろ誘惑が多いんだろ?

ちゃんとした彼女がいれば母さん、すこしは安心できるってもんだ。」

「・・・俺は大丈夫だよ。」

「あんたにはねぇ・・・ちょっとお姉さんであんたをグイグイ引っ張っていく・・・

そんな女の子がぴったりだと思うんだけどね。例えるなら・・・そう、ちゃんみたいな子かな!」

「・・・興味ないな」



「ちゃんとゴハンは 食べてるのかい?」

「大丈夫。会社が面倒見てくれてる。」

「そうなのかい。一体どうしてるのかと思ってたんだよ。」


≪「ねえ、クラウド」

「でもねぇ、クラウド」

「そうだろ、クラウド?」

「母さんはね、いつだって、あんたの」≫

 


「・・・・・・・・・・もう、やめよう・・・」

 



俺は宿屋に戻った。はベットで休んでいて、セフィロスは窓の外を見ていた。

「何を見ている?」

俺は窓の外を見ているセフィロスに聞いた。

「・・・この風景オレは知ってるような気がする。」

不思議なことをいう人だと思った。

「・・・・・・・明日は早いぞ。そろそろ眠ったほうがいいな。」

セフィロスが振り向いて言った。

俺も長旅で大分疲れてたから、その意見に同意した。

「魔晄炉へのガイドは手配しておいた。若い娘らしいが頼りにしていいものか・・・」

 




「写真とらせてくれるかなぁ」

野次馬が来ている。英雄セフィロスの写真を狙っているらしい。

「ガイドが来たら出発だ」

セフィロスは気にしていないように言った。

そのセフィロスに話しかける男がいる。・・・・ティファのお父さんだった。

「セフィロス、聞いてくれ。もしものことがあったら・・・」

その時、見覚えのある女が来た。そう、ティファだ。

「・・・安心してくれ」

「大丈夫だから、パパ!つよ〜いソルジャーが二人もいるのよ。・・・ティファです。よろしくお願いします。」

俺はまた度肝を抜かれた。まさかティファがガイドだと思わなかったんだ。

「ティファ! あんたがガイド!?」

「そういうこと。この村で一番のガイドといえば私のことでしょうね。

ティファが自慢げに言う。

「でも、危険すぎるよ。君、大丈夫なの?こんな危ないことに巻き込んでしまって・・・どう言ったらいいか。」

神羅兵が言った。ももちろんのこと不安だったんだろう。

「お前達が守ってやれば 問題はなかろう。・・・では、行こうか。」

セフィロスがそう言ったのに、そこに水を差したヤツがいた。

野次馬だ。カメラを手にこちらに近付いてくる。

「あの・・・あの、セフィロスさん! 記念に1枚お願いします!

ティファちゃんからも頼んでくれないかな・・・・。」

クラウドとティファが隣り合わせで並ぶ。すると、セフィロスも仕方なしに隣に並んだ。

「おい、そこの神羅兵。お前も並べ。」

「ボク、ですか?ボクはいいですよ。ボクが邪魔しちゃ悪いですし。」

セフィロスがため息をつく。

「邪魔じゃないから言っているんだ。いいから並べ。」

神羅兵()は苦笑いを浮かべ、セフィロスの隣に立った。

セフィロスはさりげなく神羅兵の肩を抱いた。あの時は男同士で変だな、と思ったものだが、

今考えると腹が立って仕方ない。も満更ではなかったようだし・・・。

「いきますよ〜!」

シャッターを切った音がした。

「はい、どうも!写真出来たら、皆さんにあげますからね!」

男は嬉しそうに駆けて行った。

 


「魔晄炉はニブル山の中に造られていた。ニブル山の寒々とした空気、変わっていなかったな・・・」

 


つり橋の前で、ティファが言った。

「さ、ここからが大変よ! ついて来て!」

ティファが走り出す。俺ともその後を追った。セフィロス、他の神羅兵もついて来る。だが。

「は、橋が!!」

つり橋を支えていたロープが切れた。全員バランスを崩し、そのまま谷底へ落ちて行った。

 
「イタタタ・・・。皆、大丈夫?」

「俺は大丈夫だ。ティファもお前も大丈夫のようだな。」

俺とティファ、は立ち上がった。岩陰からセフィロスと神羅兵が出てくる。

「無事のようだな。元の場所まで戻れるのか?」

ティファは考えながら言う。

「このへんの洞窟はアリの巣みたいに入り組んでいるから・・・。

それにセフィロスさん、1人、姿が見えないけど・・・」

辺りを見まわすと、神羅兵はを含めて二人しかいない。最初は三人いたはずだ。

「冷たいようだが、探している時間はない。さあ、戻れないなら先へ進むぞ。これからは一緒に行動する。」


「着いたわ。ずいぶん遠回りしちゃったけどね。」

入り組んだ道を歩き、やっと魔晄炉前までやって来た。全員がため息をついた。

「ティファはここで待っていてくれ。」

「私も中へ行く! 見たい!」

セフィロスはかぶりを振った。

「この中は一般人立入禁止だ。神羅の企業秘密でいっぱいだからな」

「でも!」

「お嬢さんを守ってやりな。」

セフィロスと俺、そして一人の神羅兵は魔晄炉の中へ入って行った。

外から、ティファの拗ねた声が聞こえたときは、本当に面白かった。



俺達は一番奥に辿り着いた。奥に辿り着いたというのに、その先にまだ扉があった。

「JENOVA・・・・なんだろう。ロックは・・・開かないか・・・。」

部屋の中にあるたくさんの機械を見て回り、セフィロスが呟いた。

「動作異常の原因はこれだな。この部分が壊れているんだ。クラウド、バルブを閉じてくれ。」

俺は言われた通りバルブを閉じた。

「でも、どうして壊れたんだろう・・・。」

が呟いた。セフィロスは背伸びをし、機械の窓ガラスから中を覗いた。

「・・・わかったよ、宝条・・・。でもな、こんなことしたってあんたはガスト博士には敵わないのさ。」

セフィロスが言い出した。俺とはセフィロスの元へ寄る。

「これは魔晄エネルギーを凝縮してさらに冷やすシステムだ・・・。本来はな。

さて・・・更に凝縮すると魔晄エネルギーはどうなる?」

質問され、俺は考え込んだ。

「えっと・・・確か、マテリアが出来るんだよね。」

が答えた。

「そう、普通ならばな。でも宝条はこの中にあるものを入れた。・・・見ろ。窓から中を覗くんだ。」

神羅兵をチラと見ると、神羅兵は「お先にどうぞ」と俺を促した。俺は窓から中を覗いた。

中にいたのは、モンスターだった。

「こ、これは!?」

俺は腰を抜かしてしまった。も窓から覗き、驚愕の表情を浮かべている。

「お前達普通のソルジャーは魔晄を浴びた人間だ。一般人とは違うが、それでも人間なんだ。

しかし、こいつらは何だ?お前達とは比べものにならないほど高密度の魔晄に浸されている。」

俺は心底驚いた。

「・・・これがモンスター?」

セフィロスは語り続けた。

「そうだ。モンスターを生み出したのは神羅カンパニーの宝条だ。

魔晄のエネルギーが創り出す異形の生物。それがモンスターの正体。」

俺にはセフィロスの言っている意味がよくわからなかった。

「普通のソルジャーって?あんたは違うのか?お、おい、セフィロス!」

急にセフィロスの表情が変わった。

「ま、まさか・・・俺も?」

セフィロスは震える手で刀を抜き、何度も何度も・・・機械に斬り付けた。

「・・・俺はこうして生み出されたのか?俺はモンスターと同じだというのか・・・」

セフィロスの悲痛な叫びだった。神羅兵が慌ててセフィロスに駆け寄る。

「セフィロスっ!やめてっ!!」

「お前達も見ただろう!こいつらの中にいるのは・・・まさしく人間だ・・・」

俺は再び驚いた。

「人間!?まさか!」

セフィロスの声が震えていた。

「・・・子供の頃から俺は感じていた・・・。俺は他のやつらとは違う。俺は特別な存在だと思っていた・・・

しかし、それは・・・・それはこんな意味じゃないッ!!」

「セフィロスっ・・・セフィロスっ!!セフィロスッ!!!!!」

 


【俺は・・・・人間なのか・・・・・?】




セフィロスが何を言っているのかその時の俺にはよくわからなかった。

俺は何よりも神羅カンパニーがモンスターを創っていたということにショックを受けていた。







「くっ・・・神羅めっ! ますます許さねえ!」

バレットが言った。

「・・・あの魔晄炉にはそんな秘密があったのね。」

ティファも辛そうだった。

「ここ数年来のモンスターの増加にはそういった理由があったのか。

これからのクラウドの話はじっくり聞く必要があるな。そうではないか、バレット?」

レッド13がいつもの口調で言った。

バレットはほんの少しショックを受けたようだ。

「(な、なんで俺に話をふるんだ!?)」

「・・・・皆、一息いれよう。」

クラウドが言った。全員しっかりと頷き、一回その場は解散となった。




<続く>



=コメント=
長ッ!!(おい
スッゲェ長ッ!!(おい
でも私結構この回想シーン好きなんだよね。
可哀相なセフィロスが・・・。
私涙もろいんですけど、この回想の時は結構泣いた。
もしも自分がセフィロスだったらどう思うだろうって考えたり。
クラウドも好きだけどセフィロスも好きだから(笑)
さんにはセフィロスにも愛されてもらいたくてっ・・・vv(おいおい
この後の回想シーンは次回に続きます。
本当は1話に納めたかったんだけど・・・
あまりに長くなりすぎるので(汗
一回ここで切ります!
次回もよろしく〜vv
ではv