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あの時より一歩強くなれた?第八章




、もう立ち上がって大丈夫なのか?」

ルーファウスのヘリコプターを前にして、クラウドが聞いてきた。

本当は立つのもフラフラだったが、彼に心配をかける訳にはいかない。

はいつもの笑顔で、「大丈夫」と答えた。

「ふん・・・やはりセフィロスは生きていたか・・・。」

ルーファウスがヘリコプターから降りながら言った。

ルーファウスが降りてくると同時に、クラウド達は身構える。

「ところで、お前達は何だ?」

さも面倒臭そうにルーファウスが聞く。

「元ソルジャー・クラス1ST!クラウド・ストライフだ!」

「アバランチ!バレット・ウォーレスだ!」

「同じくアバランチ!ティファ・ロックハート!」

「・・・スラムの花売り、エアリス・ゲインズブール」

「・・・実験サンプル、レッド13」

「・・・元タークス、隠れソルジャー・クラス1ST。。」

六人は名乗った。もっとも、最後の三人はあまり自信がないようだったが。

「おかしな組み合わせだ。そして、久し振りだな、。」

ルーファウスはを見ながら言った。は顔を背ける。

「さて、私はルーファウス。この神羅の社長だ。」

胸を張って言うルーファウス。それなりに威厳がある。

「オヤジが死んだらさっそく社長か!」

バレットが吠える。ルーファウスは臆した様子も見せずに続けた。

「そうだ。社長就任の挨拶でも聞かせてやろうか。

・・・オヤジは金の力で世界を支配しようとした。なるほどうまくいっていたようだ。

民衆は神羅に保護されていると思っているからな。

神羅で働き、給料をもらい、テロリストが現れれば神羅の軍隊が助けてくれる。

一見完璧だ。だが私のやりかたは違う。オヤジよりも優れている私のやり方。

私は世界を恐怖で支配する。オヤジのやり方では金がかかりすぎるからな。

恐怖はほんの少しで人の心を支配する。愚かな民衆のために金を使う必要はない。

私はオヤジとは違うのだ。」

ルーファウスは髪をかき上げた。

「演説好きなところはそッッッくりね。」

ティファがわざと「そっくり」の部分を強調して言う。

「・・・エアリスを連れてビルから出てくれ。」

ふいにクラウドが言った。声にいつもの元気はない。

「・・・え?」

が頭に疑問符を浮かべる。

「説明は後だ。・・・バレット・・・本当の星の危機だ・・・。」

「なんだそりゃ?」

「後で話すっ・・・。今は俺を信じてくれ。俺はこいつを倒してから行く。」

本当はまだ聞きたいことがあったのだろうが、バレットは一つ頷いた。

「わかったぜ、クラウド!」

バレットはエアリス、ティファ、、レッド13を連れ、ヘリポートから出て行った。




「・・・クラウド、なんだか思い詰めてた・・・。」

階段を降りたとき、エアリスが言った。その言葉で全員が立ち止まる。

「・・・私、クラウドのところに戻る。ルーファウスと決着を着けなくちゃならない。

でないと・・・私自身が・・・壊れちゃう気がする。」

が言った。皆複雑な瞳でを見つめている。

だが、ティファはしっかりと頷いてくれた。

「うん。の気持ちはわかってるつもり。私はここで待つわ。皆は先にエレベーターで下へ向かって!!」

さすがは幼馴染だ、とは思った。

「・・・わかったわ、、ティファ。くれぐれも気を付けて。」

とティファは頷いた。

エアリスとバレット、そしてレッド13は、「絶対に下で会おう」と言って、エレベーターに向かって駆け出した。

はそれを見届けると、ティファを一回見つめて頷き、ヘリポートに向かって駆け出した。




「クラウド!!」

彼の後姿に向かって叫ぶ。クラウドは驚いて振り返った。

っ・・・どうして戻って来たんだ!」

「私もルーファウスと決着を着けなきゃならないの。加勢するわ、クラウド。」

クラウドは戸惑っている。ルーファウスが口を開いた。

、本気でこの私を裏切ろうと言うのか?お前を神羅に入れてやったのはこの私だぞ?忘れたのか。」

「忘れる訳ないでしょ・・・。でも、神羅に入れてとアンタに頼んだ覚えはないわっ!」

ルーファウスは肩をすくめた。

「つくづく可愛くないヤツだ。」

クラウドとは剣を構えた。

「何故私と戦う?」

ルーファウスは言った。クラウドももルーファウスから視線をそらさない。

「お前は約束の地を求めてセフィロスを追う。」

「ふむ、その通り。・・・ん?お前、セフィロスが古代種だと知っているのか?」

「・・・色々あったの。とにかく、セフィロスが約束の地に向かっている限り、

アンタにもセフィロスにも約束の地は渡せないわっ!!」

ルーファウスはニヤリと笑う。

「なるほど、友達にはなれないようだな。そしては神羅を裏切るのだな・・・。」

ルーファウスはピィーっと口笛を吹き、愛犬のダークネイションを呼んだ。

ダークネイションは「バリア」や「マバリア」などの呪文を唱える事が出来る狂暴な犬だ。

いきなりダークネイションがに襲いかかって来た。

は攻撃を剣で防ぎ、一回飛び退いて再び剣を構え直した。

「クックック・・・・。」

ルーファウスの嫌味な笑いが耳に届く。

クラウドは唇を噛み締め、剣を思い切りルーファウスに振り下ろした。

「だあぁぁぁぁぁぁっ!!」

ルーファウスは反射的によけようとしたが、そんな簡単にクラウドが当て損ねるはずがない。

クラウドの攻撃はルーファウスのスーツを引き裂いていた。

赤い鮮血が散る。ルーファウスはよろめいた。

その隙をが狙う。助走をつけ、剣でルーファウスを突いた・・・つもりでいた。

ダークネイションがルーファウスを庇い、の剣はダークネイションを貫いていたのだ。

「くっ・・・今日の相手はここまで・・・だ・・・。」

ルーファウスはよろめきながらヘリコプターの縄梯子に掴まり、そのまま飛び去って行った。

「あいつ・・・自分の愛犬が刺されたのに・・・興味も示さずに行っちゃうなんて・・・・。」

目の前には血に塗れたダークネイションの姿。息はしていない。

「・・・ごめんね・・・。」

はダークネイションに近寄り、一回顔を撫でて立ち上がった。

「行こう、クラウド。エアリス達が心配だわ。」

クラウドは頷いた。





「クラウド!!」

ティファが安心したように大声で言った。階段の下にティファの姿があった。

「ルーファウスは?」

ティファが聞いた。クラウドとは首を横に振る。

「トドメはさせなかった。面倒なことになりそうだ。」

クラウドはそれだけを言うと、急げ、と先頭に立って走り出した。





「チッ・・・すっかり囲まれてるぜ。俺一人ならともかく、このメンツじゃ・・・。」

バレットが神羅ビルの入り口で呟いた。

入り口の外は何千という神羅兵が待ち構えている。ここを出たら間違いなく殺されるだろう。

「・・・やっぱり、あなた達だけ逃げて。あの人達が狙ってるのは私。あなた達だけなら・・・」

「そうはいかねぇな。」

バレットがエアリスの言葉の語尾を奪った。

「あんたはマリンを助けてくれたんだ。今度は俺があんたを守る番だ。

もう、神羅の好き勝手にはさせねぇさ。」

意外に男らしいバレットを見て、ほんの少しエアリスは微笑んだ。

「ありがとう・・・バレットさん・・・。」

「ヘヘ、よしてくれよ。『バレットさん』なんて俺のガラじゃねぇや。」

照れ臭そうにバレットが言った。

「・・・さて、君達の話が終わったらそろそろここから逃げ出す方法を考えてみないか?」

レッド13がボソっと言った。

せっかくいいところに水を差されてバレットは舌打ちした。

恐らくレッド13の言葉を聞いて、バレットもエアリスも同じ人物を思い浮かべただろう。

金髪でチョコボ頭の・・・・。

「ちぇっ、どこかの誰かさんみたいだぜ・・・。まぁいいか、さて、どうするか・・・。」

バレットが腕組みをして考え込む。

その時だった。

「バレット!皆!!」

仲間の声だ。三人は声のした方へ目を向けた。

「ティファ!・・・あれ?クラウドとは?」

「皆、こっち!」

エアリスの問いには答えずにティファは言った。

「えぇ!?どうしたんだよ?あの二人は?」

理解しないバレットを見て、ティファは、ああもう、と髪をかき上げた。

「話は後!いいから早く!!!」

ティファに導かれて1階フロアの奥へと駆け出す。

そこには青い小型トラックが用意してあった。

ティファが運転席に乗り込み、エアリスが助手席に滑り込んだ。

バレットとレッド13は後ろの荷台に飛び乗る。

ティファがエンジンをかけしばらくすると、四人の目に眩しいライトが飛び込んだ。

一瞬神羅兵かと思ったが、即座にその考えは否定される事となる。

聞こえてくるのはバイクのエンジン音。

「クラウド!!!!!」

エアリスが歓喜の声を上げた。

バイクに乗っていたのはクラウド。そしてその後ろにはクラウドに腕を回したの姿があった。

クラウドの左手には『一刀両断』と書かれた大鉾が握られている。それと対照的に、の右手には鉄パイプが握られていた。

バレットとレッド13はため息をつく。

「なんだ・・・。そういう事かよ・・・。」

「クラウド達の意図が理解しにくいな・・・。」

その声が聞こえたのか、ティファは苦笑いを浮かべた。

「皆!行くぞ!!」

クラウドが大声を上げた。

エンジンをふかし、クラウドのバイクがものすごいスピードで走り出した。

ティファ達のトラックがその後に続く。

階段を駆け上がり、二階のガラスの窓を突き破って外のハイウェイに飛び降りる。

ガシャン、とすごい衝撃がした。だが、そこで止まるわけにはいかない。

クラウドはティファ達が乗ったトラックを先に行かせ、後方の追っ手を気にしながらトラックの後ろにぴったりとついた。

ライトの光がいくつも追いかけて来る。神羅の追っ手だ。

「くそっ・・・。!追っ手はいくつくらいだ!?」

風の音に声がかき消されそうになりながらクラウドが叫んだ。は後方を見てライトの数を数える。

「いち・・・・に・・・さん、し、ご・・・ろく・・・なな・・・はち・・・・。

少なくとも八つは追いかけて来てる!恐らくこの後まだまだ追いかけて来るわ!!」

「もうそんなに追いかけて来てるのかっ・・・。情報が早すぎる!」

「恐らくルーファウスがヘリコプターで私達の姿を見つけて神羅兵に知らせたのよ!

あいつはいつもそうだわっ!!」

が叫んだとき、一人の神羅兵がトラックを狙ってやって来た。

トラックの横につき、トラックを横転させようと狙っている。

「っこの!!」

クラウドが鉾で神羅兵のバイクのタイヤを打つ。神羅兵のバイクは大きく横転し、粉々になって道路に散らばった。

「これじゃキリがないわっ!!クラウド、私に任せて!」

クラウドは一瞬戸惑った。だが、キリがないのだから仕方がない。

「・・・よし!だが、無茶するなよ!」

「了解!!」

はクラウドから手を離す。そのままバイクの上に立ち上がった。バランスを崩せば御陀仏だ。

後方にはもう30以上の神羅兵のバイクが追って来ている。

神羅兵達に向かって、は出来る限りの大声で叫んだ。

「よーくお聞き、神羅のしたっぱども!!!あたし達はね、お前らが敵う相手じゃないんだよ!!

この先まだ追いかけて来るようだったら、殺す気でやるから覚悟しとけ!!!

てめぇらがあたし達を追跡して倒すなんて100年早いんだよっ!!!

せめて昇格してソルジャーになってからあたし達を相手しなっ!!

命が惜しいやつは今すぐ引き返せ!!でないとお前ら全員!!

皆殺しだっ!!」


神羅兵のバイクがだんだん速度を落としてゆくのがわかった。

よく見れば全員冷や汗をかいている。

・・・と言うより、さすがにクラウドやティファ達もこのには驚いた。

クラウド達まで冷や汗をかいている。

「よっし!これでオッケー!クラウド、もう追っ手は来ないわ!」

「・・・いや、、さっきのお前は一体どうしたんだ?」

「どうしたってどうもしないわよ。タークスの時はいつもあんなカンジだったわよ?

今ごろあの神羅兵達、ルーファウスのところに戻って泣きついてるに決まってるわ。」

恐るべし。

クラウド達は思った。

特にクラウドは、「絶対には怒らせないようにしよう」と思っていたらしい。

「クラウド、気をつけて。あの先はハイウェイの最終地点よ。」

に言われてクラウドはブレーキを踏んだ。ティファ達も同様にブレーキで止まる。

全員がその場で止まり、各々の乗り物から降りる。

ふと地平線の向こうを見ると、朝日が昇りかけていた。

「さて、どうするよ?」

バレットが言った。クラウドは真剣な顔で話した。

「セフィロスは生きている。俺は・・・あの時の決着を着けなければならない。」

「あの時?」

が聞き返した。

「・・・いずれ皆には話す。いや、話したい。」

は頷いた。

「どうでもいい。それが星を救う事になるんだな?」

「・・・恐らく、な。」

「おっし!そうと決まれば俺は行くぜ!!」

バレットが伸びをしながら言った。

「私も、行く。・・・知りたい事、あるから。」

エアリスが静かに言った。クラウドが聞き返す。

「古代種のことか?」

「・・・いろいろ、たくさん。」

いつものエアリスだ。笑顔でペロリと舌を出した。

「さらばミッドガル、ね。」

ティファが少し名残惜しそうに呟く。

「私は故郷に帰るつもりだ。それまでは一緒に行ってやる。」

レッド13は相変わらず憮然として行った。それはそれで頼もしそうでいい。

「・・・旅が始まるのね。」

少し不安なのだろうか。ティファがそんな事を口にする。

「危険だぞ、いいのか?」

「・・・う〜ん。でもほら、クラウドが約束を守ってくれれば大丈夫ね、きっと。」

悪戯に言うティファ。は首を傾げた。

「・・・約束?なになに?何を約束したの?」

がティファに言う。ティファは舌を出して「秘密〜」と言った。

「私、ミッドガル出るの初めて・・・。」

エアリスが呟く。

「そうか・・・怖いか?」

「ちょっと、う〜ん・・・かなり、かな。でも何でも屋さんが二人も一緒にいてくれるし、ね?」

とクラウドは顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。

は・・・いいのか?俺達の旅に付き合わせてしまって・・・・。怖くないか?」

いつもの優しいクラウドの声。はかすかに微笑む。

「・・・大丈夫。それに私、この旅に一切無関係って訳じゃないの。

セフィロスのこと・・・ジェノバのこと・・・星の危機のこと・・・。

全てセフィロスを通して繋がってるでしょ?

そして私とセフィロスは繋がってる・・・。だから、私も見届けないといけない。

この旅の終わりを・・・ね。」

「・・・そうか。怖くはないか?」

「そりゃ怖いよ・・・。死んだはずのセフィロスが生きているなんて。

セフィロスに会ったら、私自身が壊れてしまいそうで・・・・。

本当はすごく嫌だよ。こんな旅。こういう目的の旅なんて無い方が平和って意味だもん。

でもさ・・・クラウドも皆も頑張ってるのに、私一人逃げてるなんて不公平じゃない?

・・・きっと大丈夫。皆と戦う。クラウドも傍にいてくれるし・・・ね。」

少し微笑むクラウド。クラウドはの額にデコピンを一つ打ち込んで言った。

「大丈夫だ。皆ついてるし・・・は俺が守るよ。」

「・・・・痛かったけど・・・・。・・・・ありがと。」

はデコピンされた部分を触って、クラウドにデコピンを返した。

両者共に笑いが漏れる。

「・・・お熱いことで・・・・。」

バレットがニヤけながら言った。はバレットに向かってアッカンベーをする。

「さて・・・行こうか!」

全員がしっかりと頷く。

「ここから先、団体行動にはリーダーが必要だ。リーダーと言ったら俺しかいねぇ!」

バレットがやけに興奮して言う。だが。

「何言ってるの。私クラウドに一票〜。」

が水を差す。それに続くようにティファとエアリスも言った。

「そうよ。の言う通りだわ。」

「どう考えてもクラウドよ。」

女三人から言われ、バレットは少しへこんだようだ。小さく舌打ちをしたのがわかった。

「チッ・・・わかったよ。ここから北東にカームって町があるんだ。何かあったらそこを集合場所にしよう。

それにしたって野原を5人でゾロゾロ歩くなんて危なくてしょうがねえ。クラウド、パーティーを2組に分けてみろ。」

バレットに言われ、クラウドは少し考え込んだ。そして出した答えは・・・。

「・・・それじゃ、俺と、レッド13で行こう。」

少し予想外の展開だったらしい。特にエアリスとティファは驚愕の表情を浮かべている。

「なんだかちょっと驚きね・・・。」

「ま、仕方ないか。」

「・・・お前も大胆だな。旅の道中うまくやれよ。」

バレット達がそれぞれに口を開く。

「じゃあ、カームでな!」

そう言い残し、バレット達は駆け出した。

残されたクラウド、、レッド13は顔を見合わせて笑顔になる。

「それじゃ・・・私達も行くとしますか!」

の声に、クラウドとレッド13は頷いた。





三人の向かう先はカームの町。



<続く>


=コメント=
ふぃ〜!やっとミッドガル脱出です。
かなり長くなると思われたミッドガル編ですが、
大分省略した所為か第八章でミッドガル脱出出来ました。
次回から旅が始まります。
ジュノンでのさんが楽しみですね
ジュノンではシリアス一直線ですので!
さて、何が起こるんでしょう?
管理人自身すごく楽しみです!