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あの時より一歩強くなれた?第七章




「ねぇ、。そろそろおしえて欲しいんだけど・・・。」

ウォールマーケットに向かう途中、ティファが言い出した。

は意味がわかっておらず、キョトンとしている。

「・・・。もしかしてお前、元神羅の人間なんじゃ・・・・ないのか?」

ティファと同じ事を思っていたクラウドが言う。

クラウドの言葉を聞き、は俯いた。


今自分の過去を話すべきか。

仲間との間に秘密は作りたくない。

秘密を作ったままでいると、仲間を裏切っている気分になってしまう。

もうこれ以上隠す事は出来ない。


「・・・あのね、黙って聞いて欲しいんだけど・・・いい?」

全員が頷いた。

はゆっくりと口を開く。

「・・・もう皆わかってると思うけど、その通りよ。私は元神羅の人間。元タークスなの。」

「「「タークスっ!?」」」

クラウド、ティファ、バレットの声が重なった。

「そう。タークスよ。元々はツォンと一緒に行動してたの。

レノがタークスに入る直前、私は神羅を抜け出した。嫌気が刺したのもあるけど、

それ以上に、ジュノンの皆に迷惑をかけたくなかった・・・・。

私はニブルヘイムから引っ越した後、ジュノンに行ったから・・・。」

「ちょっと待ってくれ。話の途中だが・・・お前の瞳の輝きは、魔晄を浴びたソルジャーの証じゃないか?」

クラウドが言う。それに続けてティファが言った。

「そうよ・・・。タークスだったのなら、その瞳の輝きはないはずよ。」

は苦笑いを浮かべる。

「だから、聞いてたらわかるってば。それで・・・。

クラウドは知ってるはずよ。神羅の科学部門の責任者、宝条博士を。」

「宝条・・・。ああ、知っている。」

クラウドは頷いた。

「宝条博士は人間を改造するのが大好きなの。普通の人間に魔晄を浴びせたり、その変化を見たり・・・。

私のこの瞳は、宝条博士に魔晄を浴びせかけられたからよ。

私はタークスだったけれど、ソルジャーになれる資質は充分持っていた。

だから、職業はタークスだけど・・・ソルジャーの手伝いもよくしていたの。

つまり、隠れソルジャーと言ってもいいかもしれないわね。」

「「「隠れソルジャーっ!?!?」」」

またもや三人の声が重なった。

「クラウドは知らなかったかもしれないけど・・・。

私、神羅兵に紛れて、クラウドやセフィロス達と一緒に行動したこともあったのよ。

セフィロスは私のことを知っていた。セフィロスと私は、かなり仲良くなっていたの。」

「・・・・そう言えば、いつもは神羅兵に話しかけもしないセフィロスが、

一日に何十回も同じ神羅兵に話しかけることがあった。あの神羅兵はだったのか?」

は頷く。

「恐らくは・・・。」

しばらく沈黙が流れた。

すると、ティファが思い出したように口を開いた。

「ねぇ、ツォンとかいうやつと一緒に行動してたのなら、

どうして柱でに気付かなかったの?それっておかしくない?」

ああ、とは思い出す。

「恐らくツォンは気付いていたわ。ツォンが私に何か言おうとしたから、

その言葉を遮って『名前くらい名乗ったら』って言ったのよ。

自分を知っているはずの人物に『名乗れ』なんて言われたら、怒るに決まってるけどね。」

全員が納得したような表情をした。

「・・・、今まで何故そんなことを隠そうとしていたんだ?」

「いや、別に・・・。話してもよかったんだけど、話すほどのことでもないかな・・・って。」

クラウドは顔をしかめる。

エアリスに、ソルジャーなのか、と聞かれたとき弁解したの顔は、

とてもじゃないがそんな簡単な理由には見えなかったのだ。

「さ、急ぎましょ。急いでエアリスを助けないと、エアリスがどんな目に合うかわからないもの。」

三人はの言葉に頷いた。






「さてと。」

ウォールマーケットの入り口で、ティファはため息をついた。

これからどうすればよいのかが問題なのだ。

「・・・・とりあえず武器屋に行きたいわ。」

が言った。クラウド達は首を傾げる。

「・・・どうしてだ?」

「私、剣を柱に落として来ちゃったのよ。

エアリスの家に向かう時何度かモンスターと戦闘したけど、私ずっと呪文で攻めてたの。気付かなかった?

マテリアは柱にいた時武器からはずしておいたから、マテリアをブレスレットに付けて呪文使ってたの。」

なるほど、と全員が頷いた。

一行はウォールマーケットの武器やに直行した。




「・・・これでよし。」

新しい相棒を腰に付け、は満足げに笑った。

マテリアも武器にきちんと付け直して、今までと変わらない姿となった。

「・・・とは言っても、これからどうやって神羅の本社に行くの?」

ティファの問いに、その場がズーンと暗くなるのがわかった。

「お前達、上のプレートに行くのか?」

振り向くと、武器屋の男がスパナを持って立っていた。

「ああ。俺達は上のプレートに向かおうと思ってる。」

「ほんなら、ウォールマーケットの空き地から上に伸びるワイヤーがあるぜ。

ガキどもはそのワイヤーを使って高い所まで登って、壊れた七番街を見下ろしてる。

だがなぁ・・・上のプレートまで辿り着くにはこのジンクバッテリーが必要だからなぁ・・・。」

クラウド達は、いかにも怪しい、とでも言いたげな瞳で男を見つめた。

「・・・拾ったものを売り付けるのか?」

男はニカッと笑う。

「お、よく知ってるな。修理してあるから大丈夫さ。」

まだ怪しいと思っているクラウド達。目が「じとぉ〜」っとしている。

「・・・上のプレートに行くのに、どうしてバッテリーが必要になるのよ?」

が言った。男は再びニカッと笑う。

「登ってみりゃわかるよ。三つで300ギルだ。買うかい?」

まだ何となく納得していないクラウド達だったが、登るのに必要なら仕方がない。

買わずに登ってみて、もし本当にバッテリーが必要で、ここに再び戻るなんて事は絶対に御免だ。

「・・・わかった、買おう。」

「まいど!」

クラウドは男に300ギルを手渡し、ジンクバッテリーを受け取った。





「ねぇねぇお兄ちゃん達!!」

空き地の入り口で、いかにもヤンチャそうな子供達が立っていた。

「すっげぇの見れるんだぜ!ついて来いよ!!」

クラウド達は顔を見合わせ、子供達と共に空き地に入った。

「ここは・・・」

「プレートの断面、ね。」

上には一本のワイヤーが伸びていて、子供達はそれを登って行く。

下で一人の子供が脅えながらその様子を見ている。

「ねぇ坊や。これ、登れるの?」

が子供に聞く。子供はコクンと頷いた。

「うん。上の世界につながってるんだよ!」

「よぉし!!このワイヤー、登ろうぜ!!」

子供の答えた直後にバレットが言う。クラウドは「阿呆か?こいつは」という視線を向けながら言った。

「それは無理な話だな。何百メートルあると思ってるんだ?」

バレットはふん、と仰け反る。

「無理じゃねぇ!見ろ!これは何に見える?」

ワイヤーを指差して言うバレット。クラウドは顔をしかめる。

「・・・何の変哲もないワイヤーだ。」

バレットはかぶりを振る。

「そうかよ?俺には金色に輝く希望の糸に見えるぜ。」

なんて表現なのだろう。せめて、「希望へ向かう最後の道」とか言えないのだろうか。

「そうね、エアリスを救うために残された道はこれだけだもんね。」

ティファがバレットに続いて言う。

「・・・そうね。二人の言う通りだわ。そりゃ確かに・・・よくわからない例えだったけど。バレットの言い方は。」

が苦笑いを浮かべながら言う。

「・・・そうだな。皆の気持ちはよくわかった。覚悟はいいな?行くぞ!!」

当たり前だがクラウドの声に異議を持つ者はなかった。

全員は決意を固めた瞳で、しっかりと頷いた。



クラウドを先頭に、、ティファ、バレットとなった。

一本のワイヤーに四人全員の体重がかかるのは少し不安なため、

一人がキリのいい所まで登り、そこで下の一人が出発し、一人ずつ待機をしながら登る事にした。

「よし、、登れ。」

「了解!」

クラウドに指示され、はワイヤーを登り始めた。

バレットが顔を赤くして顔を背けているのは何故だろうか・・・?

何度か滑りそうになったものの、なんとかクラウドのいる地点まで登り切った。

「掴まれ。」

クラウドが差し出してくれた手を掴む。クラウドの優しさが伝わり、はありがとう、と言った。

ぐいっと引っ張られ、足場のあるところに立たされる。

「ティファ!登っていいよ!!」

「オーケー!」

が下に向かって叫ぶと、ティファがそれに応答した。

ティファがワイヤーを登り始める。すると、再びバレットは顔を赤くして顔を背けてしまった。

それに気付いたクラウドとは顔を見合わせる。

「よいしょ・・・っと。」

ティファは自力で足場に立ち上がった。

「バレット!登って!」

「・・・・おう。」

ティファが叫ぶと、バレットはバツが悪そうに返事をした。

様子が変だ。三人は顔を見合わせて首を傾げた。


バレットが足場に辿り着く。すると、バレットは言った。

「おい・・・とティファ・・・。下に男がいて、ワイヤーを登るんだからよ・・・、

お願いだからスカートの裾くらい気にしてくれよ・・・・。」

理解するのにしばし時間がかかった。だが理解した途端、とティファの顔はみるみるうちに赤く染まって行った。

「ちょ、ちょっと・・・。バレット、アンタ、見た訳っ!?」

ティファの罵声が飛んだ。バレットは声を詰まらせる。

「・・・見たのね?」

が続いて言う。

「い、いやっ!そうじゃなくって・・・。」

バレットはどもっている。

「イエスかノーで答えて下さるっ!?見たの!?」

今度はの罵声が飛んだ。さすがのクラウドも、今は口を挟めない。

「み、見てねぇよ!!」

「アンタねぇっ!気付いてたならさっさと言いなさいよっ!!」

ティファが叫ぶ。

「だ、だってよ!まさか『、パンダのパンツが見えてるぞ』なんて言えねぇだろっ!!・・・・あ゛。」

しまった。墓穴を掘ってしまった。

恐る恐るを見ると、俯いてカタカタと震えている。

「・・・・・・?」

クラウドが恐る恐る声をかける。

「・・・・・・・・・許せないわ・・・・。」

ぽつりと小さな声では言った。けれど、確かにバレットの耳には届いていた。

「バレットのスケベ!!変態!!チカン!!セクハラ―――――――――――――!!」

ばしーんっ!

けたたましい音が響いた。バレットの頬には、美しい楓の葉がペイントされていた。

「なぁにがパンダのパンツよ!!悪かったわねっ!!どうせ私は色気なんて持ち合わせていませんよーっだ!!

だいたい、『パンダのパンツ』の部分を強調しなくたっていいじゃないっ!!パンツが見えてる事を知らせるのに、

いちいちパンツの柄まで言わないと気が済まない訳っ!?絶対にワイセツ行為で訴えてやる――――!!!」

の言う事はごもっともである。クラウドとティファは驚いていたが、今はどうすることも出来ない。


結局、バレットが必死の思いで土下座をして謝り、の怒りを納めたのだった。




「ここにもバッテリーが必要ね。」

が言った。今までに何箇所かバッテリーが必要な部分があり、武器屋の言う事は確かに正しかった。

クラウドがバッテリーをはめる。すると、プレートに上がるのを邪魔していたプロペラが回り、見事通れるようになった。

「よし!皆、行くぞ!!」

この先は神羅ビル・・・。神羅の本社だ。

全員は頷き合い、我先にと駆け出した。




「おい、このビルには詳しいんだろ?」

バレットがとクラウドに聞いた。クラウドは首を振る。

「・・・知らない。そう言えば本社に来るのは初めてだ。」

「私は何度か来た事があるわ。と言うより、ここで働いてたって言った方が正しいかもしれないわ。」

四人は高く空まで伸びるビルを見上げた。バレットが言う。

「前に聞いた事があるぜ。このビルの60階から上は特別ブロックとかで社員でも簡単には入れないってな。」

は頷く。

「そうよ。60階から上はカードキーがないと入れないの。でも心配しないで。

何かの役に立つと思って、60階から最上階までどこでも出入り出来るカードキーをとっておいたの。これを使えばいいわ。」

バレットは頷く。

「エアリスが連れていかれたのもそこに違いねえ。今なら警備にスキがある。おおし、いくぜっ!!」

意気込んで突っ込みかけないバレットを、慌ててが引き止める。

「ちょっと待って!ねぇ、正面から乗り込むの?」

バレットは腰に手を当てて自慢げにポーズを取った。

「決まってるだろ!神羅のやつらを蹴散らして・・・。」

「そんなの無茶よ!もっと見つかりにくい方法を・・・。」

バレットの作戦をティファが拒否する。

「そんなコトやってられるか!グズグズしてたらエアリスだってどうなるかわかったもんじゃねぇぞ!」

確かにバレットの言う事も一理ある。

「それはそうだけど・・・。でも、ここで私達まで捕まっちゃったら?

ねぇクラウド・・・どうすればいいかな?」

クラウドはしばし悩んでいたが、決心したように顔を上げると言った。

「突っ込むぞ!」





「おりゃおりゃおりゃ〜〜〜!!アバランチ様のお通りだ!!さっさと道を開けやがれ!!!」

バレットがでたらめに発砲しながら叫ぶ。

クラウドとティファは神羅兵を攻撃し、は先頭を行って他の三人を導いた。

「急いで!!エレベーターに乗るの!!」

がエレベーターの前で叫ぶ。クラウドとティファは神羅兵の攻撃を振り切り、エレベーターに乗り込んだ。

「バレット!!早く!!」

バレットもエレベーターに駆け込んだ。最後にが乗り込み、エレベーターの扉を閉じた。


「大丈夫?皆。」

が聞くと、他の三人は笑顔で頷いた。

「恐らくエアリスは宝条博士の実験サンプルとして扱われてるはず。急いだ方がいいわ。」

が言ったその時だった。


ビーッ!ビーッ!ビーッ!


エレベーターの中が赤いライトで照らされ、エレベーターがでたらめな動きを始めた。

「ちょ・・・どう言う事!?」

ティファが驚きながら言う。

「・・・神羅の防犯システムよ。絶対に来るとは思ってたけど、こんなに早く発動すると思わなかった・・・。

クラウド!エレベーターを好きなところで止めて!!一応エレベーターは上に向かっているから、

何回か止めれば間違いなく60階に辿り着くわ!」

クラウドは頷き、の言った通りエレベーターを止めた。

戦闘待機の構えを取り、扉が開くのを待つ。

扉が開いた。

「げ」

の声が虚しく響いた。

「お、お前っ!!」

扉の向こうにいた男はクラウド達を指差して驚いている。

「レ、レノ―――――――――――っ!!!???」

はいち早くエレベーターから扉の外のレノに飛びかかった。

「!?!!」

「大丈夫!!こいつ、絶対に上官に知らせるつもりよ!!私が押さえとくから先に行って!!」

がレノの口を押さえながら叫ぶ。

本当は真剣な場面なのだが、がレノの口を押さえながら言っても、漫才をやっているようにしか見えない。

当のレノは、「モガーっ!フモーー!!」と、必死で抵抗している。

「早く行って!!」

クラウド達はしばらく迷っていたが、一つを見て頷くと、エレベーターの扉を閉じた。



「お願いだから静かにしてっ!!」

レノの口を押さえながらが言う。レノはコクコクと頭をたてに振る。

はそっと手を離した。

「お、お前、どうしてこんなところにいるんだ?っと。まさか、古代種の娘を取り戻しに来たのか?っと。」

「そうよ。クラウド達が助けに来ないとでも思ってたの?」

レノは腕組みをした。

「いや、来るとは思ってたけど、こんなに早く来るとは思ってなかったぞ、と。」

「あっそう・・・。」

はため息をつく。

「あ、いいこと?ツォンには知らせないでよっ。絶対にツォンには言わないで。

・・・ってか、多分ツォンだったらもう私達が来てることくらい知ってると思うけどね・・・。」

は再びため息をついた。

「・・・お前も何だか大変そうだな、と。」

「大変よ・・・・。ツォンなんてツォンなんてツォンなんてっ!!」

いつの間にやら仲良くなっているとレノだった。

その時、レノの携帯が鳴った。

「もしもし?」

『レノか?』

電話越しから聞こえてくるのはツォンの声だ。レノがチラリとを見ると、は両手を揃えている。

いわゆる、「お願いします〜!」とか、「ごめんなさい〜!」というポーズだ。

「ああ、レノだ、と。」

『アバランチの残党が60階より上に侵入したらしい。お前はまだクラウドにやられた傷が治りきっていない。

自分の部屋で応答を待て。いいな。』

「了解・・・っと。」

それだけを言うと、レノは携帯を切った。

「ありがと〜!黙っててくれて〜。」

「別にいいさ、と。それにしてもクラウド達はすごいな、と。もう60階より上のフロアに侵入してるらしいぞ、と。」

は自分のポケットにカードキーが入りっぱなしになってる事に気付いた。

「あーあ・・・クラウド達にカードキー渡してなかったんだった・・・。どうやってカードキーを手に入れたんだろう?」

は三度目のため息をついた。

「・・・・今回は見逃してやる、早くクラウド達のところへ行け、と。」

は顔を上げる。レノは「絶対に秘密だぞ、と」と付け加えた。

「・・・ありがとvいつか必ずこの借りは返すわ!」

はレノにニッコリと笑って見せると、上へと続く階段に駆けて行った。

一人残されたレノは一つため息をつく。

「・・・借りは返す・・・か。ならばタークスに入って欲しいものだな、と。」






「クラウド達・・・エアリスを助け出したかな・・・?」

神羅兵が走り回る中、は物陰に身を隠しながら階段を登って行った。

現在66階まで来ている。もし捕まってしまったとしたら、牢屋に連れていかれるはずだ。

牢屋は67階。は67階へ伸びる階段を駆け上がった。

「!?何・・・これ・・・。」

67階へ登ると、そこは血の海だった。

たくさんの神羅兵の死体が転がっている。

は早足に牢屋に向かった。

「・・・この人、相当マヌケなのね。」

は呆れ顔で呟いた。

こんな死体と血の海の真っ只中。牢屋の前で、コックリコックリと居眠りをしている神羅兵。

恐らく牢屋の看守だろう。だが、こんなヤツは看守失格である。

「・・・・普通、居眠りなんてしないわよ・・・。」

はため息をつき、やれやれと首を振った。

「ん・・・?んっ!?な、何だお前はっ!!」

やっと看守が目を覚ました。看守は鉄砲を構えるが、はひらりと看守の後ろに回り込み、手刀で彼の首筋を強く打った。

小さな呻き声を出し、看守はバタリと倒れる。

は再びやれやれと首を振り、看守の懐からカードキーを取り出した。牢屋のカギだ。

牢屋の奥へと進む。

『どうしたら出られるかな・・・。』

『わからない。ドアをぶち壊したいところだが・・・・。』

ティファとクラウドの声だ。やっぱり捕まってしまっていた。

「クラウド・・・?」

恐る恐る声を出してみる。

『・・・・誰だっ!?』

「ああ、よかった!クラウド、無事なのねっ!!ティファは?エアリスは?バレットは?皆そこにいる?」

『・・・かっ!?』

クラウドの緊張していた声が、あっという間に歓喜の声に変わる。

こそ無事だったのか!』

「私は全然大丈夫よ!どこにいるの!?」

コンコンとドアを叩く音がした。内側からクラウドが叩いたのだ。

『ここだ。開けられるか?』

はドアの前までやって来た。

「大丈夫。任せて。」

先ほど看守から盗んだ(いや、不可抗力ではあったが)カードキーを、差し込み口に通す。

すると、中からクラウドとティファが出て来た。

〜!」

ティファがに抱き付く。

「よかった〜。が無事で〜!」

「私は全然大丈夫だったの。レノが黙って逃がしてくれたわ。」

ニッコリと微笑むティファと。本当はまだ感動を噛み締めていたかったが、今はそれどころではない。

エアリスが捕まっている牢のカギを開ける。エアリスは無傷で無事だった。

エアリスもティファと同様にの無事を喜んでくれた。

今度はバレットが捕まっている牢のカギを開ける。中からバレットと・・・・

「・・・あの、そちらさまはどなた?」

がレッド13を指差して聞く。レッド13は頭を下げた。

「私はレッド13だ。本当は宝条が名付けた名だが、今は仕方あるまい。お前はだな?」

はコクンと頷く。

「クラウドから話は聞いている。ここは一つよろしく頼むぞ。」

「こちらこそ。」

はニッコリと笑って言った。

「クラウド、皆。何だか様子が変なの。」

「変・・・?」

は頷く。

「恐らくこの階から上の人間はほとんど死んでるわ。皆何者かに殺されてる。」

全員は顔を見合わす。到底信じられる話ではなかったが、の目は真実を語っていた。

「わかった。私が先に行こう。」

レッド13が言う。その後にクラウド達が続き、最後はバレットが追った。





「ジェノバサンプル・・・。察するに上の階へ向かったようだ。奥のサンプル用のエレベーターを使ってな。」

今までクラウド達と別行動を取っていたには意味がわからない。

クラウドは言った。

「ここには首なしのジェノバという・・・人間・・・がいた。いや、実際は人間とは程遠いものかもしれないが。

ジェノバは上の階へ向かっているらしい。行くぞ。」

は頷いた。


ジェノバは何かを目的に上に向かっているようだった。

クラウド達はジェノバの血痕を辿り、上の階へと向かって行った。



「ここは・・・神羅ビル70階の社長室だわ・・・。」

が口を開いた。

「死んでる・・・。神羅カンパニーのボスが死んだ・・・。」

バレットが呆然としながら言った。プレジデントには、人間が扱うものとは思えないほど長い刀が突き刺さっていた。

はそっとプレジデントの死体に近寄る。

「この刀は・・・・、セフィロス・・・のものだわ・・・。」

はその場に座り込んでしまった。クラウドが慌てて駆け寄る。

「大丈夫か・・・?」

「・・・セフィロスは・・・生きているの・・・?」

の震える唇から、小さな言葉が漏れた。

「・・・多分な。この刀を使えるのはセフィロスしかいないはずだ・・・。」

「誰がやったっていいじゃねぇか!これで神羅も終わりだ!」

バレットが大声を出すと同時に、人影が飛び出した。

神羅カンパニーで働く一人、パルマーだった。

「うひょっ!!」

クラウドとバレットは逃げようとするパルマーを捕まえる。

「こここここここ殺さないでくれっ!」

「何があったんだ?」

「セ、セフィロスが来た!」

「見たのか?セフィロスを見たのか?」

「ああ、見た!この目で見た!」

「本当に見たんだな?」

念を押すようにクラウドが何度も聞き返す。

パルマーはイラついたように言った。

「うひょっ! こんな時にウソなんか言わない!それに声も聞いたんだ、うひょっ!

えっと『約束の地は渡さない』ってブツブツ言ってた!」

全員は顔を見合わせる。

「それじゃぁ、何?約束の地っていうのは本当にあって、セフィロスは約束の地を神羅から守るためにこんなことを?」

ティファが言った。それに続いてバレットも口を開く。

「いいやつじゃねぇのか?」

「約束の地を守る? いいやつ? 違う!!

そんな単純な話じゃない!俺は知ってるんだ!セフィロスの目的は違う!」

クラウドが叫んだ。自分を追い詰めているような、どこか辛そうな叫び。

パルマーはクラウドとバレットの手を振り解き、その場から逃げ出した。


ヘリコプターのような音がする。

窓の外を見ると、ヘリコプターが70階ヘリポートに降り立つのが見えた。

がビクッと顔を上げる。

「ルーファウス!しまった!あいつがいたか!」

バレットが悔し紛れに言った。

「誰なの?」

「副社長ルーファウス。プレジデントの息子だ。」

「どんな人なのかしら・・・。」

「あいつには血も涙もない・・・。あいつが戻って来たなんて・・・。」

今まで黙っていたが口を開いた。

「長期出張中だって聞いたぜ・・・。」

を除く全員は、ヘリポートに向かって駆け出した。

残されたは立ち上がり、セフィロスの刀を見つめて呟いた。

「・・・セフィロス・・・。あなたは本当に生きているの?・・・なら・・・どうしてこんなことを・・・。」

は辛そうに唇を噛み締めたが、やがてヘリポートに向かって駆け出した。




<続く>



=コメント=
FFばっかり長くなっちゃう(涙
どうしてだぁぁぁっ!!
無駄に長いこの話、なんとかならんのかねっ!!(おい

さんが牢屋にクラウド達を助けにいくシーンですが、
実は初期設定はさんにも捕まって頂く予定でした。
クラウド達とはぐれてしまい、でも神羅兵に捕まってしまって
結果的にクラウド・ティファと同じ牢屋にぶち込まれる・・・
そんなカンジでした。
でもなんかそれだと面白みに欠けると思い、
こういう結果に仕上げてみましたけど・・・
どうでしたでしょうか?
では、次回はどうなるんでしょうか!!(おい
それは、管理人のみぞ知る・・・(おいおいおい