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あの時より一歩強くなれた?第六章




「くそっ・・・少してこずった。皆大丈夫か?」

コルネオに落とし穴に落とされたクラウド達は、地下の下水道に辿り着いた。

いや、落とされた先が地下道だったのだ。

最悪の事態からは逃れられたと思ったのもつかの間で、

コルネオのペットらしき大きなモンスターが現れたのだ。

そいつがなかなか手強い奴で、倒すのに少々時間がかかった。

「もうだめだわ・・・・。マリン・・・バレット・・・スラムの人たち・・・。」

ティファは頭を抱え込んでいる。は言った。

「諦めないで。あの巨大な柱を壊すなんて簡単な事じゃないわ。きっとかなりの時間がいる。

それまでに皆を避難させれば大丈夫よ。頑張ろう?」

ティファはの顔を見て、コクンと頷いた。

「そうよね・・・。きっとまだ時間はあるわよね。」

「うん。急ごう。」

四人はそれぞれの顔を見て頷き、クラウドを先頭にして地下道を歩いて行った。


地下道をしばらく歩き、行き止まりのところまで着いた。

この先には行けない。辺りを見まわすと、上へと伸びるハシゴを見つけた。

四人はハシゴを上って行った。

「・・・うわぁ・・・・。」

が静かに声を上げた。

ハシゴが伸びる先には、列車の墓場があった。

古くなったり、もしくは壊れて動かなくなった列車達の溜まり場。

そこは少しひんやりとしていて、静まり返った空間だった。

「ここが・・・いつか列車の来る所・・・・。」

は辺りを見まわして言う。

「エアリス・・・。すっかり巻きこんでしまって・・・。」

クラウドがすまなそうに言った。エアリスはクスクスと笑っている。

「ここから帰れ! な〜んて言わないでね。」

いかにもエアリスらしい。

ティファは列車を一つ一つ見比べ、言った。

「え〜と・・・明かりのついている車両を抜けて行けば出られそうね。」

四人は再び歩き出した。列車の上に乗ったり、列車の中を通ったり。

時にはまだ動く列車を少し移動させ、列車の位置を変えたりしながら。

「やった!抜けたよ!」

ティファが言った。全員が前方を見ると、七番街の駅が見えている。

四人の足は自然と駆け出していた。駅員の前を駆け抜け、七番街へ出る。

柱の真下まで来て、ティファが歓喜の声を上げた。

「間に合った!柱が立ってる!」

「待て!何か・・・聞こえないか?」

クラウドの問いに、全員が耳をすませた。

「銃声・・・?」

エアリスの言った通り、上からは銃声が聞こえていた。

かなり高い所で発砲しているのか、音はかすかにしか聞こえない。

「っ!?危ないっ!!!」

が叫ぶ。ドスン、と鈍い音がした。上から人が落ちてきたのだ。

ずいぶんと上の方から落ちたのか、流血の量が多すぎる。

「大丈夫か?・・・・ウェッジ!?」

落ちた人の顔を見て、クラウドが驚きの声を上げた。

落ちてきたのは、なんと仲間の一人のウェッジだった。ウェッジはかすかな声で話す。

「・・・クラウドさん・・・・。俺の名前・・・覚えてくれたっすね・・・・。

バレットさんが・・・上で戦ってるっす・・・・。手を貸してやって・・・・。

クラウドさん・・・迷惑かけて・・・すいません・・っす・・・・。」

それだけを告げると、ウェッジは気を失った。クラウドは唇を噛み締める。

「登るぞ!エアリス、ウェッジを頼む!」

エアリスはしっかりと頷いた。

「エアリスお願い。この近くに私達の店、『セブンスヘブン』があるの。そこにマリンって言う小さな女の子がいるから・・・。」

「わかった。安全な場所へ、ね。」

エアリスは笑顔で言った。

は大声で辺りにいる野次馬達に叫んだ。

「ここは危険です!!皆早く柱から離れて!!七番街から離れるの!!」

野次馬達は慌てて八方に散って行った。それを確かめてからクラウド達三人は柱の螺旋階段を登る。

神羅の回し者に幾度となく行く手を阻まれ、それでも三人は必死に上に登って行った。

もうすぐ最上階という所で、仲間のジェシーが倒れているのを見つけた。三人は駆け寄る。

「あ・・・・クラウド・・・・・・ティファ・・・。最後に・・・話せてよかった・・・。」

「そんなっ・・・。最後なんて言わないで!大丈夫よ!柱なんて、私達が壊させはしないからっ!」

が目に涙をためて叫ぶ。けれどジェシーは首を横に振った。

「もう、いい・・・・いいの・・・。」

「どうしてっ・・・。」

「私達・・・私達の作戦でたくさん・・・人、死んじゃったし・・・、きっと、そのむくい・・・ね・・・。」

「ジェシー・・・。」

は唇を噛み締めた。強く噛んだ所為で、唇が切れて血が滲み出す。

クラウドは迷いを振り切って立ち上がり、言った。

、ティファ、行こう。ここで迷ってたら、もっとたくさんの人が死ぬぞ!」

ティファは頷いた。はしばらくジェシーを見つめていたが、やがて頷くと共に立ち上がった。

「よし・・・。行こう。」

クラウドの声と共に、三人は再び駆け出した。

最上階のフロアに上がると、バレットが神羅のヘリコプターに向かって発砲していた。

バレットは三人に気付き、歓喜の声を上げる。

「お前らっ!来てくれたか!気を付けろ、やつら、ヘリで襲ってきやがる!」

舌打ちをし、バレットは一回銃を引っ込めた。

「さっそく来たわ!!」

ティファが叫ぶ。ヘリコプターがフロアに接近し、一人の男が出てきた。

見覚えのある男の顔を見て、が言う。

「あ、あんたっ!いつぞやのキザなお兄さんっ!!!(第三章参照)」

キザなお兄さんと呼ばれたレノはチラリとの方を見たが、

何事もなかったように柱のメインコンピューターの前に歩いて行った。

「残念だったな、と。このスイッチを押すと・・・。」

レノはスイッチを押した。

「はい、おしまい!作業終了。」

柱の爆弾のスイッチだったらしい。ティファが大声で言った。

「解除しなくちゃ!!クラウド!!お願い!!」

「そういう訳にはいかないぞ、と。タークスのレノさまの邪魔は誰にもさせないぞっ・・・と。」

レノは武器を構えて立ちはだかった。クラウドとも剣を抜く。

「一つだけプレジデントに言伝をお願いしてもいいかしら、キザなお兄さん。」

「・・・俺のことを、「キザなお兄さん」と呼ぶのが面倒だから、俺の名前を聞いたんじゃなかったのか、と。」

「もーいいわよ。あんたなんかキザなお兄さん、で充分だわっ!帰ったらプレジデントに伝えなさい!

『人の命を簡単に踏みにじるあんたは絶対に許せないから。いつか同じ目に合わせてやるから覚悟していろ。』ってね!」

はレノの向かって思いっきり“アッカンベー”をした。レノはニヤリと笑う。

「・・・お前、いつかタークスもしくはソルジャーに欲しい資質だな、と。」

「お生憎さま!私はもう神羅なんかに戻りませんよーっだっ!!」

ふとを除いた三人は顔をしかめる。クラウドはとくに不思議な顔をしていた。

『神羅に戻らない』というの発言からして、は元々神羅にいたような感じだ。

神羅を憎んでいるが、元々は神羅の人間だったというのか。

は過去に神羅との関わりを持っている。クラウドは、そう思わずにはいられなかった。

「おっと、そろそろ時間だぞ、と。」

レノはに少し悪戯に笑いかけると、フロアに接近してきたヘリコプターに走って行った。

その隙をクラウドが見逃すはずがない。

「待て!!!」

クラウドは高く跳び上がり、レノの背中に斬り付けた。レノは呻き声を発し、少しよろめきながらヘリコプターに乗り込んだ。

「クラウド!止め方がわからないの!やってみて!!」

ティファがメインコンピュータの前で叫ぶ。クラウドはすぐにメインコンピュータの前にやってくると、装置を見て息を飲んだ。

「・・・ただの時限爆弾じゃない。」

クラウドがそう言った直後、再びヘリコプターがフロアに接近した。

黒髪で長髪の男がヘリコプターの入り口付近に立っている。

「その通り。それを操作するのは難しい。どこかのバカが勝手に触れると困るからな。」

男が言った。

「・・・神羅っていつもの事だけど、礼儀知らずよね。名前くらい名乗ったらどうなの?」

男の顔が引き攣る。

「・・・ツォンだ。」

「お願い!止めて!!」

ティファが叫ぶ。ツォンは笑い出した。

「クックック・・・。緊急用プレート解除システムの設定と解除は、神羅役員会の決定なしでは出来ないのだ。」

「くっ・・・・。」

は唇を噛み締め、メインコンピューターに跳び付いた。

!?」

反射的にメインコンピューターの前にいたクラウドは避けた。

はメインコンピューターを見つめて何やらブツブツ言っている。

「えっと・・・コレとコレが同じコードで・・・コレを切ったら爆発する・・・。どれなの・・・時限装置を止めるコードはっ・・・。」

・・・。」

クラウド達は必死になっているの姿を見守った。ツォンはニヤニヤと笑っている。

「クックック・・・無駄だ!どこぞのバカの運が良かったとして、もし解除されてしまったらどうする?

神羅の面目が丸つぶれではないか。神羅はそんなヘマしない。意味がおわかりだろうか?」

「まさか・・・。」

が顔を上げて振り向く。

「そうとも。元々このメインコンピューターに解除システムなどプログラムされていないのだ!」

クラウド達の顔がだんだんと怒りに満ちていくのがはっきりとわかった。

ツォンはニヤニヤと笑っている。

「さっきからゴチャゴチャうるせぇっ!!!」

バレットがヘリコプターに向かって発砲する。だが、ツォンは涼しい顔だ。

「おいおい、そんなことされると、大事なゲストが怪我をするじゃないか。」

ツォンがそう言った途端、ヘリコプターの入り口付近にもう一人の影が出来た。

「エアリス!?」

ヘリコプターに乗っていたのは、間違いなくエアリスだった。

「おや、知り合いなのか?最後に会えてよかったな。私に感謝してくれ。」

「エアリスをどうする気だ・・・。」

クラウドが静かに、しかし怒りに満ちた声で言った。

「さあな。我々タークスに与えられた命令は『古代種』の生き残りを捕まえろ、ということだけだ。

ずいぶんと長い時間がかかったがやっとプレジデントに報告できる。」

エアリスが叫んだ。

「ティファ!大丈夫だから!あの子、大丈夫だから!!」

その場に、甲高い音が響いた。ツォンがエアリスを叩いたのだ。

「エアリス!!」

「早く・・・早く逃げて!!」

エアリスの悲痛な叫びを嘲笑いながら、ツォンが言った。

「クックック!そろそろ始まるぞ。逃げ切れるかな?」

ものすごい爆発音が聞こえ、フロアがガタガタと激しく揺れた。

上の方を見ると、柱が爆発して崩れてきている。

ヘリコプターはクラウド達を残し、その場を去って行った。

「上のプレートが落ちて来たらひとたまりもないわ!急がなくちゃ!」

「おい!このワイヤーを使って脱出出来るぜ!!」

バレットが一本のワイヤーを見て言った。ティファ、クラウド、はバレットに掴まる。

思い切って飛び降り、ワイヤーに掴まった四人は七番街から脱出した。

だがその直後、無残にも七番街はものすごい爆発と共に瓦礫に埋まって行った。













「う・・・。」

はそっと目を開けた。見覚えのある風景だ。

「ここは・・・」

以前エアリス、クラウドと一緒に来た公園だった。七番街の瓦礫がいくつかここまで飛んで来ていて、公園という雰囲気ではなかったが。

辺りを見回すと、クラウドやティファ、バレットが倒れている。

「クラウドっ・・・・。ティファ、バレット・・・!」

三人の体を軽く揺すると、三人ともゆっくりと目を開けた。

・・・。怪我はないか?」

「うん、大丈夫。クラウドこそ平気?」

「ああ・・・。酷い爆発だったな・・・・。」

四人は立ち上がり、七番街ゲートの前まで来た。ゲートは酷く変形していて、瓦礫で七番街入り口が塞がっている。

「マリン!マリン!!マリ――――ンっ!!」

堪らなくなって、バレットが叫んだ。

「ビッグス!ウェッジ!!ジェシーっ!!!こんちくしょう!!こんちくしょう―――っ!!!

なんだ!こんなものっ!!うおぉぉ―――――――――っ!!!」

バレットは瓦礫を持ち上げようとした。

「おい!バレット!!」

「バレット!」

「やめてっ!」

三人がバレットを止める。だが、バレットは三人の声を聞こうとしなかった。

「うおぉぉ―――――っ!!」

「おい!」

「バレット!もうやめて・・・。お願い、バレット・・・。」

「うわぁぁぁ――――――――っ!!!」

バレットは銃を七番街の瓦礫に向かって撃ち続けた。

「・・・・・ちくしょうっ・・・・。」






「ねぇ、バレット。マリンって・・・、あの小さな女の子の事よね?」

が言った。バレットは俯いたままだ。

「・・・あぁ・・・。そうか・・・は一回しか会った事なかったな・・・・。」

「うん。でも、私にすぐなついてくれて、すごく可愛い女の子だった。

・・・私思うんだけど、マリンちゃんは大丈夫よ。エアリスに避難させるように頼んだの。」

バレットは顔を上げた。その顔は少し喜んでいるような顔だ。

「え・・・!?」

「恐らくは無事よ。エアリスは小さな女の子を見殺しにするような人じゃない。

それにヘリコプターで言ってたじゃない?『あの子大丈夫だから』って。きっとマリンちゃんのことだわ。」

「ほ、本当かっ!?」

「でも・・・。」

の一言で、再びその場は重くなる。

柱の中にいたビッグス、ウェッジ、ジェシーはどうなったのだろう。

あの重傷の体では逃げる事は100%と言っていいほど不可能だ。

「わかってる・・・。でも、でもよ!一緒に戦ってきた仲間だ!!死んじまったなんて思いたくねぇ!」

ビッグス達だけではない。七番街の人達だって、何人死んだかわからない。

「・・・私達の所為?アバランチがいたから?関係ない人達まで・・・。」

「違う!違うぜティファ!何もかも神羅のやつらがやった事じゃねぇか!自分達の金や権力のために星の命を吸い取る悪党ども!

その神羅を潰さない限りこの星は死んじまうんだ!!!神羅を倒すまで俺達の戦いはおわらねえ!!」

ティファは黙っている。

「わからない・・・。」

「俺が言ってることがわからねぇのか!?」

「違う・・・わからないのは・・・自分の気持ち・・・。」

バレットは黙る。クラウドとを見て、再び口を開いた。

「お前達はどうなんだ?」

「・・・・・。」

二人共黙っている。だが、意を決したように顔を上げると、一言も発さないまま二人は歩いて行ってしまった。

「あ、おい!!・・・あいつら、どこへ?」

「あっ!!エアリスのこと・・・。」

「ああ、あの嬢ちゃんか。何者なんだ?」

ティファは首を横に振る。

「私もよく知らない・・・。でも、マリンのことをエアリスに頼んだから・・・。」

「そうだ!マリン!!・・・・ティファ、もう後戻りは出来ないんだ・・・。」






クラウドとは六番街を歩いていた。足はエアリスの家に向いている。

「クラウド!!!!」

後ろから声をかけられ、二人は振り向いた。バレットとティファが走ってくる。

「マリンの所へ連れて行ってくれ!!」

「エアリスを助けにに行くのね?」

二人は頷く。

「うん・・・。でも、その前に確かめたいことがあるの。」

バレットとティファは顔を見合わせる。

「何?」

「・・・・古代種のこと・・・・。」

急にクラウドがうずくまった。クラウドの頭の中には、誰かの声が響いてくる。

『我こそ古代種の血をひきし者。この星の正統なる後継者!!』

「セフィロス・・・?」

クラウドが呟いた。がクラウドの肩に触れている。

「大丈夫?」

「・・・ああ、大丈夫だ。急いでエアリスの家に行こう。」

クラウド達は立ち上がり、エアリスの家に向かって歩き出した。






エアリスの家に入る。エアリスの母、エルミナは背を向けて立っていた。

「・・・・クラウドと・・・だったね。エアリスのこと、だろ?」

クラウドは声を潜めて言った。

「・・・すまない、神羅に攫われた。」

「知っているよ。ここから連れて行かれたからね。」

エルミナが言うには、エアリスがマリンをかばって神羅について行ったらしい。

「エアリスは古代種。古代種の生き残りなんだとさ。その所為で神羅にも狙われる・・・。」

バレットが不思議そうな顔をする。

「なんだとさ、だって?あんた母親なんだろ?」

エルミナは首を横に振る。

「・・・本当の母親じゃないんだよ。あれは・・・そう、15年前・・・。

・・・戦争中でね。私の夫は戦地に行ってた。ウータイという遠い国さ。

ある日、休暇で帰ってくるって手紙をもらったから私は駅まで迎えに行ったのさ。」

けれど夫は帰ってこなかった。夫の身に何かあったのだろうか?

いや、休暇が取り消しになっただけかもしれない。

その日以来、エルミナは毎日駅に行った。

ある日駅に行くと、普段は見慣れない風景を見た。

女性が酷い怪我をしていて、ホームに横たわっていた。その隣には幼い少女もいた。

戦争中はよくある風景だった。

【エアリスを安全な所へ・・・・。】

そう言い残して女性は死んだ。エルミナに子供はいない。夫も帰らない。

エルミナはエアリスを家に連れて帰ることにした。

「エアリスはすぐ私になついてくれた。よく喋る子でねぇ。色々話してくれたよ。

どこかの研究所みたいなところから母親と逃げ出したこと。お母さんは星に帰っただけだから寂しくなんかない・・・色々ね。」

星に帰った?バレットはエルミナに聞き返した。

エルミナにも意味がよくわからなかったらしい。夜空の星のことではなく、この星だと言われたそうだ。

「とにかく、色んな意味で不思議な子供だったね。」



ある日突然エアリスが言い出した。

「お母さん、泣かないでね。」

何かあったのだろうか。エルミナはエアリスに聞いた。

「お母さんの大切な人が死んじゃったよ。心だけになってお母さんに会いに来たけど、でも・・・星に帰ってしまったの。」

エルミナは信じなかった。けれど何日かして、夫の戦死を告げる知らせが届いたのだ。



「・・・とまぁ、こんな具合でね。色々あったけど私達は幸せだった。ところがある日・・・。」




「エアリスを返して欲しいのです。ずいぶん探しました。」

タークスのツォンが家にやって来た。ツォンが言うには、エアリスは古代種という特別な血をひいていると言う事だった。

エルミナには『古代種』が何なのかわからなかった。ツォンに古代種について聞いたのだ。

「古代種は至上の幸福が約束された土地へ我々を導いてくれるのです。

エアリスはこの貧しいスラムの人々に幸福を与えることが出来るのです。

ですから我々神羅カンパニーは是非ともエアリスの協力を・・・。」

エアリスは必死で断った。自分は古代種なんかじゃない、自分は特別な能力なんか持っていない、そう言って。



「・・・よく何年も神羅から逃げ続けることが出来たな。」

「神羅はエアリスの協力が必要だったから手荒なマネは出来なかったんだろうね。」

「じゃあ、今回はどうして・・・。」

ティファが聞いた。

「小さな女の子を連れてここに帰って来たんだ。

その途中でツォンのやつに見つかってしまったらしくてね。逃げ切れなかったんだろ、きっと。

女の子の無事と引き替えに自分が神羅に行くことになったんだ。」

間違いない。その小さな女の子とはマリンのことだ。

「それはマリンだ!!マリンのためにエアリスは捕まったのか!

すまねえ。マリンは俺の娘だ。すまねえ・・・本当に・・・。」

バレットの言葉を聞いた途端、エルミナは激怒した。

「あんたが父親かい!?あんた、娘をほったらかして何をやってるんだい!?」

「・・・その話はやめてくれ。俺だって何度も考えたさ。オレが死んじまったらマリンは・・・ってな。

でもよ、答えは出ないんだ。マリンといつも一緒にいたい。でも、それじゃあ戦えない。

戦わなければ星が死ぬ。おう! オレは戦うぜ!でも、マリンが心配だ。いつでも傍にいてやりたい。

な? グルグルまわっちまうんだ。」

エルミナはふっと笑った。

「・・・わからないでもないけどね。ま、とにかく二階で眠ってるから会っておやりよ。」

バレットは二階に上がって行った。

「・・・私の所為・・・。私がエアリスを巻き込んだから・・・。」

今にも泣き出しそうな声でティファが言った。エルミナは優しく微笑む。

「あんた、気にするんじゃないよ。エアリスだってそんなふうに思っちゃいないよ。」

はそんなやり取りを笑顔で見ていた。だが、ふと顔を真剣な表情にするとそっと家の扉を開けて出て行こうとした。

。」

「エアリスのところへ行くのね。」

は振り返る。

「うん。」

「俺も行く。」

「私も行くわ。」

は微笑んだ。

「・・・ありがとう。」

「なんか今は思いっきり体を動かしたい気分なの。じっとしてると・・・なんかダメ。」

とティファはクスクスと笑い合った。

急にドタドタと音がして、階段からバレットが姿を現した。

「すまねぇが、マリンをもうしばらく預かってくれねぇか?」

エルミナは頷く。

「ああ、構わないよ。」

「それから、ここは危険だ。どこかへ移った方がいい。」

エルミナは頷いた。

「・・・そうだねぇ。でも、必ず迎えに来るんだよ。死んじゃいけないよ。」






「神羅ビルへはどうやって行くの?」

ティファが言った。

「もう上へ行く列車は使えねぇ・・・。」

「とりあえずウォールマーケットに行ってみましょう。あそこなら何かいい手があるかもしれないわ。」

の答えに、全員がしっかりと頷いた。



<続く>


=コメント=
うーわー・・・これ、意味なく長くね?(おい
いや、七番街破壊後のバレットのセリフが長すぎたんだよ(笑)
あとエルミナの回想シーンが・・・(汗
次回からまた面白く書けそうですけどね〜。
では、ここで失礼します〜v