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あの時より一歩強くなれた?第三章




目が開けられない。

体が動かない。

意識があるのかないのか、自分でもわからない。

話し声が聞こえる。青年の声と、女性の声。

青年の声は聞き覚えがある。クラウドの声だ。

女性の声は聞いた事がない。は目を開けようと試みた。

「あっ、動いたっ。」

女性の声が響いた。

・・・?」

クラウドの心配そうな声が聞こえる。

「ん・・・・・。」

目を開けようとした。・・・眩しい。

「あ、眩しいのかな。大丈夫?ゆっくり慣れればいいわ。」

女性に言われて、一旦は目を閉じた。しばらくしてからゆっくりと開けてみる。

一番最初に目に入ってきたのは、クラウドと女性の心配そうな顔だった。

次に、花の香りがした。はゆっくりと体を起こす。

「体は大丈夫?さん。ここ、スラムの教会。五番街よ。びっくりしちゃった。

だって急に二人の人が空から降ってきたんですもの。

屋根とお花、クッション代わりになったみたい。運、いいね。」

神秘的な印象を持つ女性。女性はにっこりと微笑んだ。

「えっと・・・降ってきたって・・・・?」

、覚えていないのか?」

クラウドに言われて、は記憶の糸を手繰り寄せてみる。

「あっ。」

確かエアバスターとかいう神羅の機動兵と戦ったのだ。

勝ったところまでは順調だったのだが、エアバスターが予想外の爆発を起こし、

クラウドとは壊れた橋の谷間に落ちてしまった。

鉄骨を掴んだのもつかの間で、その直後に起こった魔晄炉の爆発によって

二人は下へ落下したのだった。

落下して意識を失う前に、クラウドが自分を抱き寄せてくれた事も覚えている。

恐らくクラウドが自分の下敷になってくれたのだろう。

体のあちこちが少し痛むだけで、他はどこも怪我をしていない。

「そっか・・・。ありがとう、クラウド。」

クラウドは少し頬を赤く染めて、ふいっと顔を背けた。

「自己紹介がまだだったね。私、花売りのエアリス。

あなたはさんよね?クラウドから聞いたの。

クラウドと一緒に、「何でも屋」をやっているんですって?」

「クラウドから?そう・・・。私が知らない間に、大分話が進んじゃったみたいね。」

は困ったように笑いながら髪をかき上げた。

は「何でも屋」をやっているつもりはないし、はっきり言うと「何でも屋」が一体何なのかすら理解できない。

恐らくクラウドが「変に説明するより・・・」と、も何でも屋だということにしたのだろう。

その証拠にクラウドをちらりと見ると、クラウドが口元に人差し指を立てて持っていき、合図をした。

「とりあえず今は黙っておけ」という合図だろう。

はクラウドと同じように指で「OK」と合図をした。




ドアが開く音が響いた。

三人はバッと入り口に目をやる。男が立っている。

短く赤い髪を一つに束ね、キザなサングラスをつけている。

「・・・誰?」

は緊張した瞳で男を見つめた。

、かまっちゃだめっ。」

そうは言われたものの、好奇心旺盛なにとってはその言葉は追い討ちでしかない。

「だーいじょうぶっ。あーゆーキザ男はほっとけないもんね。」

悪戯な笑みを見せると、は男に近づいて行った。

男は黙っている。は言った。

「あなただーれ?キザなお兄さんv」

「・・・俺にかまうな、だと。」

「いーじゃない。名前聞くくらいなら。いつまでも「キザなお兄さん」じゃ私も言い辛いわ。」

男は睨みつけるような目でを見ている。

「・・・レノだ、と。」

「ふぅん・・・レノ、ね。」

はレノを下から上までじっくりと眺めた。

っ!」

エアリスの焦った声が聞こえて、はエアリスの元へ戻った。

これ以上エアリスに心配をかけることは許されないと思ったのだろう。

「ねぇ、お二人さん。ボディーガードも仕事のうち?何でも屋なんでしょ?」

クラウドとは顔を見合わせる。

「・・・確かに」

「そうだけどな」

今のセリフは上から、クラウドの順だ。

「ここから連れ出して。家まで、連れてって。」

「うん、いいよ。」

「しかし、安くない。」

二人は意地悪そうに笑った。

「ん〜・・・それじゃ、何か二人の役に立ってあげる!」

とクラウドはレノの前に立った。

レノは動かない。

「どこの誰だか知らないが・・・・・・・・知らない・・・?」

クラウドが何かを言いかけた時、クラウドは自分自身に疑問を投げ掛けた。

は不思議そうにクラウドを見た。

「いや・・・俺は知っている・・・。その制服は・・・。」

「クラウド?どうしたの?」

「お姉ちゃん、こいつなんだか変だぞ、と。」

とレノに同時に突っ込まれ、クラウドはハッと正気に戻る。

「黙れ!神羅のイヌめ!」

レノの後ろに待機していた神羅兵が命令を待っている。もちろん、「戦闘開始」の命令だ。

レノはずっと考えている。ここで今戦闘をすべきか、はたまたここは戦闘をやめるべきか。

「ここで戦ってほしくない!お花、ふまないでほしいの!出口、奥にあるから。」

エアリスが言った。

それを合図にクラウド、、エアリスは教会の奥に向かって駆け出した。

「あっ!逃げる気かっ!と!」




クラウド達はひたすら教会の奥に向かって走っていた。

、エアリス、こっちだ。」

クラウドが戦闘に立ち、二人を誘導する。

教会の屋根の上に上がり、屋根に開いた穴から中の様子を覗う。

「ふふ・・・まだ探してるね。」

エアリスが言った。

「その言い方からすると、あの人達が来たのは初めてじゃないのね?」

「まあね。」

エアリスの答え方からも、大分慣れているように感じる。

「あの人達はタークスよ。タークスは神羅の組織で、ソルジャーの人材を見つけ出し、スカウトするのが役目なの。」

の説明に、クラウドが顔をしかめた。

「こんな乱暴なやり方で?まるで人攫いみたいね。」

「裏じゃもっと汚いことやってるわ。スパイに暗殺・・・殺し屋なんかもね。」

クラウドは益々顔をしかめた。どうして神羅と無関係のが、こんなに内面的な事を知っているのだろうか。

「でも、どうしてエアリスが狙われるの?何か訳があるんでしょ?」

「どうかなぁー。あ!もしかしたら私、ソルジャーの素質があるのかも!」

「そうかもね〜。なりたいの?」

「わからない・・・。でも、あんな奴らにつかまるのはイヤ!」

「それじゃ、さっさと奴らから離れましょ。行こう、エアリス、クラウド。」

とエアリスが立ち上がる。ずっとと神羅の関係について考えていたクラウドは、慌てて立ち上がった。




あちこちの屋根を飛び移り、クラウドと、そしてエアリスは、エアリスの家に向かっていた。

「ちょっとっ!待ってよ!はぁ・・・はぁ・・・、二人で先に行っちゃうんだもの!」

後ろからエアリスの声がして、二人は振り返った。エアリスは屋根を飛び移るのに苦労している。

「あれ?エアリスって、ソルジャーの素質があったんじゃなかったの?」

「んもう!いじわるっ!!」

三人は笑った。

エアリスがやっと二人に追いつく。ふう、と息をついて、改めてクラウドとを見た。

「・・・ねぇ、あなた達って・・・もしかして、ソルジャー?」

その言葉に、ビクリとが反応する。

「・・・俺は、元ソルジャーだ。は・・・」

「・・・ううん、私はソルジャーじゃない。でも、何で私達がソルジャーって思ったの?」

エアリスは二人の瞳を見比べる。

「あなた達の目。その不思議な輝き・・・。」

「そう、これは魔晄を浴びた者。ソルジャーの証。でも、どうしてあんたがそれを?」

「ん、ちょっとね。」

は黙っている。

「でも・・・、、あなたソルジャーじゃないんだったら、その瞳は・・・。」

「何でもないわ。・・・私も今まで意識した事なかった。きっと生まれつきなのよ。」

は辛そうに笑った。

クラウドはの言葉に矛盾がある事に気付いた。

七年前は、確かにの瞳は茶色だった。薄い、黄土色に似た茶色だったのだ。

生まれつきでは決してあるはずがない。

だとしたら、は本当にソルジャーだということになる。

だが何故、はそれを隠すのだろう?別に隠す必要などどこにもない。

何か深い、嫌な過去があるのだろうか。

クラウドはそう思い、を深く追求する事はしなかった。

「さ、早く行きましょう!ボディーガードさん!」




しばらく歩いて、やっと五番街に着いた。

エアリスの家は五番街の外れにあり、そこだけはガラクタだらけの五番街と違って神秘的だった。

「ただいま、お母さん。」

エアリスが家の扉を開ける。家に入ると、エアリスの母、エルミナが二人を迎えてくれた。

事情を話すと、エルミナはため息をついた。

「クラウド達、これからどうするの?」

「七番街のティファの店に帰るつもりよ。七番街は遠いの?」

が聞くと、エアリスが「自分が案内をする」と言い出した。

理由は、七番街へ行くには、少し危険な六番街を通らなければいけないからだと言う。

クラウドとは、また危ない目に合わせる訳にはいかないと何度も断ったが、エアリスは聞いてはくれなかった。

今日七番街まで戻るつもりでいたクラウドとだったが、

エルミナの勧めもあって、今日はエアリスの家に泊まる事にした。

エアリスがベットの仕度を整えに二階に上がった時、エルミナが重い口を開いた。

「あんた達のその目の輝き・・・ソルジャーなんだろ?」

「ああ。しかし、昔の話だ・・・。」

「・・・言いにくいんだけど・・・今夜のうちに出て行ってくれないかい?エアリスには内緒でさ。

ソルジャーなんて・・・ またエアリスが悲しい思いをすることになる・・・」

二人は顔を見合わせ不思議そうな表情をしたが、エアリスが悲しむ事になると言うなら、と思い、

二人は少し休み、今夜のうちに出て行く事にした。



「ね、、どうするの?」 

二階への階段を上がる途中、エアリスがに聞いた。

「何が?」

「部屋よ。私と一緒でいいでしょ?一応クラウドは男なんだし・・・。」

とクラウドは顔を赤くする。

「ででででも、エアリスの部屋に転がり込んじゃったら、めめめ迷惑じゃない?」

「そんな事ないわよ。と男のクラウドを一緒の部屋には入れておけないわ。さ、私の部屋に入って入って!」

「え゛っ?ちょ、待ってよ!エアリス〜!」

は必死で抵抗しようとしたが、エアリスの力は恐ろしい。

有無を言わさずに自分の部屋へと入れてしまった。

クラウドは隣の部屋で休むそうだ。

はあれこれ悩んだ末に、「トイレに行く」という口実を使い、クラウドと供に家を出る事にした。

名付けて、『トイレ口実脱出ミッション』だそうだ。




一時間か二時間、軽く仮眠を取ったは、そっと体を起こす。

「どうしたの?」

寝てると思われたエアリスは隣で起きていた。は心の中で、

「つくづく恐ろしい女だ・・・」と思った。もちろん口には出さずにおく。

そろそろミッション実行だ。

「ちょっとトイレに行きたいんだけど・・・。」

「トイレ?私もついてくわ。場所わからないでしょ?」

「え゛」

このままでは何もかも失敗として終わってしまう。しかもトイレにまでついてくるとはどういう女だ。

まさかトイレを覗き見するつもりか?いやいや、エアリスはそんな女性ではない。

くだらない事を考えながら、はトイレ口実脱出ミッションパターン2に移した。(実はパターン5まで考えてあったのだ)

「そんな事ないよ〜。位置さえおしえてくれれば、私一人で行けるって。そこまで子供じゃないわよ?」

「でも私も行きたいから。」

「ぐ」

本当に恐ろしい女だ・・・・・。は冷や汗をたらした。

トイレ口実脱出ミッションパターン2、失敗。トイレ口実脱出ミッションパターン3に移行。

「それじゃ、エアリス先に行ってきてよ。エアリスが行った後私も行くから。」

「それじゃ、トイレの場所がわからないでしょ?」

「う゛」

もはやこのエアリスには何を言っても無駄であろう。はトイレ口実脱出ミッションを諦めた。

「そうね・・・それじゃ一緒に行きましょ。でもちょっと待ってて。クラウドに今渡さないといけない物があるの。」

「今?明日でもいいんじゃないの?」

じゃないとダメなのよ。ほら、このマテリアをクラウドに渡しておかないといけないの。

クラウドに「今日中にマテリアをくれ」って言われてたのすっっっっかり忘れてて。エアリスは知らないと思うけど、

クラウドって怒らすと猛獣のように怖いのよ。怒ったクラウドを見た日は、夜寝れなくなるくらい。

今日私寝れなくなるの嫌なのよ。だからちょっと渡して来たいの。」

恐ろしき嘘だ。エアリスに負けず劣らずは恐ろしい女だろう。

かなり酷い言われようのクラウドは哀れだ。

「そ、そうなの・・・?それじゃ、私ここで待ってるから、クラウドに渡してきなよ。」

「うん、ちょっと待っててね。マテリアの説明もするから、ちょっと遅れると思うわ。」

は無理矢理作った笑顔をエアリスに向けると、エアリスの部屋を出て扉を閉めた。

忍び足でクラウドのいる部屋の前まで行き、そっとドアを開ける。

そしてババッと部屋に入ってドアを閉めた。

「あ、別に忍び足を使わなくてもよかったんだ・・・。」

エアリスには「クラウドの部屋に行く」と言ってある訳だから、隠す必要はなかったのだ。

ふとベットに目をやると、クラウドが寝ていた。

「うわぁ・・・カワイイ・・・・vv」

そっと近寄って見る。よほど疲れていたのだろう。クラウドは夢の中だった。

「・・・・ハッ。カワイイなんて言ってる場合じゃなかった!クラウドっ、クラウドっ!起きてってば!」

自分で自分に突っ込みを入れ、は慌ててクラウドの体を揺すった。

クラウドの瞼がゆっくりと開かれる。

「ん・・・?」

「寝惚けてないで起きてってば!早く家を出て行かなくちゃっ。」

クラウドは体を起こして腕をぐるんと回した。

「・・・そうか、エアリスに変な口実をつけてこの部屋に来たんだな。」

「・・・悪かったわね。変な口実で。私は嘘が苦手なのよ!」

クラウドは笑いを堪えている。

「でも今のうちよ。エアリスに気付かれる前に早く出なくちゃ。」

クラウドは頷くと、ベットから起き上がった。剣を装着し、手の骨をポキっと鳴らした。

はそっとドアを開ける。今度はそっと行かなければならない。

ゆっくり忍び足で階段の前まで行き、そしてゆっくりと下りて行った。

下の階へ下りついた時、はエアリスの部屋を見上げてみた。変化はない。

「・・・成功、みたいだね・・・。」

「よし、今のうちに七番街へ行こう。」

クラウドとは、エアリスに少し申し訳ない気持ちを抱きながら、

エアリスの家を静かに後にした。


<続く>



=コメント=
んあぁ・・・今何時ぃ?(殴)
はい、ふざけるのはやめましょうや(おい
やっとエアリス登場〜vv
エアリスとさんの言い合いがこの話の見所(?)ですね!
トイレ口実脱出ミッション・・・(笑)
自分で考えて笑ってましたもん、私(爆笑)
んでは、次回をお楽しみですv