[PR]動画
 





あの時より一歩強くなれた?第二十一章






クラウドは夢を見ていた。

神秘的で、幻想的な森の中で、エアリスの声を聞いた。

《クラウド、わかる?》

クラウドは頷いた。

《ああ、わかるよ。さっきはすまなかったな》

《気にしないほうがいいよ》

《・・・・そんなのムリだ》

クラウドは頭を振った。先ほど、混乱していたとは言え、

エアリスとを殴ってしまったのだから。

が止めてくれなければ、自分はもしかしたらこの手で二人を・・・?

そう考えると、怖くてたまらなかった。

《そっか・・・・》

エアリスが呟く。

《じゃ、思いっきり気にしちゃえば?》

エアリスがクラウドに近付く。

いつもの可愛らしい動作で、クラウドの顔を覗き込んだ。

《セフィロスのこと、私に任せて。

そして、クラウドは 自分のこと考えて。

自分が壊れてしまわないように、ね?》

優しいエアリスの声だった。

《ここは・・・どこだ?》

森の中。それでは答えにならない。

エアリスは森を見回して言う。

《この森は【古代種の都】へ続く・・・【眠りの森】と呼ばれているの。

・・・セフィロスがメテオを使うのは時間の問題。

だから、それを防ぐの。それはセトラの生き残りの私にしか出来ない。

その秘密、この先にあるの。

・・・ううん・・・あるはず。そう、感じるの。何かに導かれている感じ、するの。

・・・じゃ、私、行くね。全部終わったらまた、ね?》

《エアリス?》

エアリスの不思議な笑顔。エアリスは駆け出す。

その姿を追い駆けようと、クラウドは必死に走ろうとした。

走っている。なのに、エアリスとの距離は縮まるどころか離れるばかりだ。

やがて、エアリスの姿は見えなくなった。

沈黙が降りた。

《おやおや・・・私達の邪魔をする気のようだ。困った娘だと思わないか?》

セフィロスの声だった。

ふわりと、上からセフィロスが現れる。

《そろそろあの娘にも・・・》

セフィロスの笑い声。クラウドは、動く事が出来なかった。

 

 






気がつくと、自分が見ているものは天井だった。

木で出来た質素な天井。そして、その視界にふとが現れた。

「うなされてたよ・・・。調子はどう?」

クラウドは上半身を起こして額に手を当てた。

少々気分が悪い。だが、気分がいい、とか、悪い、とか、そういう感覚じゃなかった。

「・・・・よく、わからない。」

「・・・そっか。そうだよね。でも、あんまり気にしないようにね。ここ、ゴンガガの宿屋なの。」

「さっきは・・・すまなかった・・・。」

は一瞬不思議そうな顔をしたが、古代種の神殿での出来事と受け取ったのだろう。

やわらかく微笑んだ。

「大丈夫だよ?私全然大丈夫だから。ね?」

クラウドは小さく頷いた。

「あのね、クラウド。エアリスがいなくなっちゃったの。皆はエアリスを探してるわ。」

クラウドはハッと顔を上げる。

エアリスがいなくなった。クラウドは夢でエアリスが言っていたことを思い出す。

「・・・古代種の都。エアリスはそこに向かっている。メテオを防ぐ手段があるらしいんだ。」

「エアリスが、一人で!?なんで一人で・・・・?私達も行こう!」

クラウドは頭を振った。

「メテオを防ぐことが出来るのは古代種・・・エアリスだけだ。」

「それなら尚更でしょ?エアリスにもしものことがあったらどうするの?セフィロスが気づいたら大変だよ・・・。」

クラウドは手で顔を隠す。

「セフィロスは・・・もう、知っている。」

は驚く。

「行こう、クラウド。エアリスを一人で行かせちゃダメよ・・・。」

「嫌だ・・・。俺、またおかしくなるかもしれない。セフィロスが傍に来ると、俺はまた・・・。」

「クラウド、何弱気になってるの!?クラウド、あなたは元ソルジャー1stなんでしょ?

セフィロスに憧れてソルジャーになったんでしょ?クラウド、英雄になりたかったんでしょ?

そんな弱気な姿見せないで・・・。怖いのは、クラウドだけじゃないのよ・・・・。」

クラウドは顔を上げる。

「クラウド、あなたが色んな問題を抱えてるのはわかってる。

・・・自分のこと、よくわかってないもんね・・・。・・・でも、

私達が乗ってしまった旅の列車は、途中下車なんて出来ないのよ?」

バレットの受け売りだけどね、と付け加える

「クラウド、ここまで来たんだよ?セフィロスと決着をつけるんでしょ?」

「嫌だ・・・。俺は、怖いんだ。このままじゃ、俺は俺でなくなってしまうかもしれない。」

ひたすら、怖いという単語を口にする。も、こんなクラウドは今まで見たことがなかった。

今クラウドは、かなり追い詰められている。

確かに古代種の神殿でのクラウドは尋常じゃなかった。

けれど、それは全てセフィロスの所為だとは考えている。

クラウドが怖がる理由はわかる。けれど、仲間がいるということを考えて欲しかった。

「・・・クラウド、自分のことを全部わかってる人、世の中に何人くらいいると思う?

私だって自分のことわからないよ。自分がどうしたいとか、気持ちとか、全然わからないよ。

・・・だから、皆どうすればいいのかわからないから、色々悩むんじゃないの?

・・・そうして、皆生きてる。逃げたりなんかしないで。・・・・そうじゃないのかな?」

「俺は・・・どうしたらいい?ここから引き返す?・・・引き返す?・・・どこへ?」

「・・・クラウド・・・。来てくれるよね、私、信じてるからね・・・。」 

はそのまま宿屋から出て行った。

この問題は、クラウドがクラウド自身で決着をつけなければならないことだ。

に出来るのは、彼を信じて待つことだけなのだから。

 


「・・・俺は、真実を、知るのが、怖い・・・?・・・でも・・・それは・・・何故だ?」

「気がついたかい?」

宿屋の主人に声をかけられた。主人は宿屋の入り口を見て、そしてクラウドを見た。

「あの姉ちゃん、えらく心配してあんたが気付くまで、ずっと傍にいたよ。

あんたの恋人かい?まぁ友達だったとしても、いい友人を持ったね。」

クラウドは一言礼を言い、ベットから立ち上がった。

どうすればいい?

自分は今何をすればいい?

そんなことを考えてもわからなかった。

とりあえずこうしてここにいても仕方ない。

クラウドは宿屋を出た。

「クラウド・・・。」

宿屋を出ると、そこにはヴィンセントとが立っていた。

クラウドは俯く。

「気分はどうだ?」

クラウドは答えない。いや、答えられないのだろう。

「・・・少し聞きたいのだが、お前はどっちなんだ?

自分のことをもっと知りたいのか?それとも、知るのが怖いのか?」

わからなかった。気持ちに整理がつかない。

「・・・どちらだとしても、ここにいたって悩んで頭抱えてるしかないんだぞ。

もし、セフィロスと会って、再びお前がおかしくなってしまったら、その時はその時だ。

私がお前の面を引っ叩いて正気に戻してやる。」

「クラウド、大丈夫だよ。皆がついてるじゃない。」

「・・・でも・・・。」

今のクラウドに決断は難しかった。ヴィンセントが言う。

「なるようにしかならないんだ。ずっと悩んでいるつもりか?」

ずっと悩んでいる訳になんかいかない。自分は一人じゃないのだから。

「・・・そう・・・だな。・・・そう・・・だよな?」

は微笑み、無言で頷いた。

「さあ、エアリスを探そう?」









タイニー・ブロンコで真っ直ぐ北に向かう事数時間。

クラウド達は、眠りの森と呼ばれる森の前、ボーンビレッジという村にいた。

ボーンビレッジの村人に古代種の都のことを聞いてみると、

古代種の都は通称【忘らるる都】と呼ばれているそうだ。

エアリスのことを聞いてみると、エアリスらしき女の子が眠りの森に入って行ったという。

そして眠りの森のことを聞いた。

ルナ・ハープという楽器があれば、眠りの森は目を覚ますらしい。

目を覚ませば、森は道を開くと言われている。

エアリスもルナ・ハープを使い森を抜けたそうだ。

「まずはルナ・ハープを手に入れないと話が進まないな。」

クラウド達はルナ・ハープを手に入れるために色々と情報収集をしてみた。

ルナ・ハープはこの土地の地下に眠っている。発掘をしなければ手に入らないそうだ。

とにかく発掘だ。クラウド達はルナ・ハープを発掘しようと村人に話を聞いてみた。

すると、村人は気軽に発掘を手伝ってくれた。

なんと簡単にルナ・ハープは見つかった。

クラウドの手にルナ・ハープが渡される。

「これがルナ・ハープ・・・。」

「それじゃ、行きましょう。」

クラウド達は眠りの森に入って行った。







眠りの森に入ると、何故だか不思議なカンジがした。

そう、凍った氷が溶けていくような・・・そんなカンジだった。 

「眠りの森が目覚めた・・・・。」

クラウドが呟く。

夢でエアリスと会話をした場所。間違いなくこの森だった。

眠りの森を抜け、サンゴの谷に差し掛かる。

眠りの森とサンゴの谷。

神秘的でかつ幻想的な空間。

とても不思議なカンジだった。

何か、ひとつの旋律が聞こえてきそうだった。

 

サンゴの谷を越え、忘らるる都へと辿り着いた。

「・・・ここが、忘らるる都・・・・。」

が呟く。

サンゴで創られた家、道。古代種達がここに住んでいたと考えると、頷けた。

ひとつの民家で足を止める。

誰も住んでいない。なら、ここで少し休んでいけるだろうか。

クラウド達は民家に上がった。

「ラッキーかもしれない。ベットが三つあるよ?」

がひとつのベットに飛び乗りながら言った。

ヴィンセントは軽く微笑む。

「一休み、していくか?」

クラウドは頷く。

ベットはしばらく使われていなかったらしく、少々埃っぽかった。






夜。



クラウドは何かに呼ばれたような気がして目を覚ました。

「・・・感じる・・・・。」

「クラウド・・・どうしたの・・・?」

クラウドが起きた物音でも起きてしまったのだろうか。

は上半身を起こし、クラウドを見ている。

ヴィンセントも起きているようだ。

「ここに、エアリスがいる。・・・・そしてセフィロスも。」

が息を飲んだのがわかった。

「セフィロスが・・・・。」

「でも、どうしてそんなことがわかるの?」

クラウドは頭を振る。

「・・・理屈じゃない。感じるんだ、俺の心が。」

「それって、・・・もしかして、すごくマズいんじゃない・・・?」

クラウドは頷く。

「・・・・ああ。早くエアリスを探そう。」

三人は急いでベットから起き上がり、それぞれ武器を持って民家を出た。







「エアリスの声の聞こえた方向・・・あっちか?」

忘らるる都の入り口から真っ直ぐ伸びている道。どこかの中心に向かっているような道。

クラウド達は、その道をひたすら走っていた。

エアリスの声を求めて。

しばらく走ると、美しい泉に出た。

水に一切の汚れはなく、光さえ浮かんでいるように見える泉。

その泉の奥に、ひとつの建物があった。

巻貝のような建物。クラウド達はその建物に向かって走った。

建物の中は見たところ普通だった。

階段を上り、巻貝の中心に来ると、そこには下へ降りるガラスの階段が伸びていた。

この先にエアリスがいる。

誰も何も言わなかったが、そういう風に感じた。

クラウドを先頭に、、ヴィンセントとガラスの階段を降りて行く。

ガラスの階段の先には、小さな城のようなものがあった。

城と呼ぶには小さ過ぎる、宮殿のようなもの。

クラウド達は階段を降り切る。

視線の先には祭壇があり、そこにはエアリスの姿があった。

必死に何かを祈っている。

クラウドがとヴィンセントの方を向くと、とヴィンセントは無言で頷いた。

ここはクラウドが行かなければならない。

クラウドも二人に頷き返し、エアリスへと向かってゆっくりと歩き出した。

「エアリス?」

小さく呼びかけてみるが、エアリスは気付かない。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 。




頭が割れそうになった。

クラウドは無意識のうちに剣を手に持つ。そのままゆっくりとエアリスに近付く。

体が思い通りに動かなかった。

セフィロスだ。

頭でわかっていても、体はセフィロスの命令を聞いている。

剣を構え、持ち上げ、そして・・・・。

「クラウド!」

「何をしている!!!」

ハッと気付く。とヴィンセントの声で正気に戻った。

危なかった。もう少しでエアリスを・・・。

「くっ・・・俺に何をさせる気だ・・・。」




































どくんっ




































エアリスが、優しく笑ったのがわかった・・・・・。



















「エアリス―――――――――――――――――――――――ッ!!!!」























の悲痛な叫び声で何が起こったのかを理解した。

クラウドの足元に赤い液体が流れてくる。

顔を上げる。

セフィロスが、エアリスに剣を突き立て、満足そうに笑っていた。
 
エアリスのつけている白マテリアが透き通るような音を立てながら、水の底へと沈んで行く。

全てがスローモーションのようだった。

セフィロスが剣をエアリスから抜いた。

エアリスの体が崩れ落ちる。

クラウドは駆け寄り、エアリスの体を抱きかかえた。

呆然としていて、何を言ったらいいのかわからなかった。

「・・・・エアリス」

喉がかすれていて、上手くしゃべれない。

「・・・・ウソだろ?」

なんて情けないんだろう。自分にそう思った。

こんな言葉しか出て来ないなんて。

セフィロスは笑っていた。

「気にすることはない。間もなくこの娘も星を巡るエネルギーとなる。

私の寄り道はもう終わった。後は北を目指すのみ。雪原の向こうに待っている『約束の地』。

私はそこで新たな存在として星と一体化する。その時はその娘も・・・・」




「・・・・黙れ。」




驚くほど低い声だった。

「自然のサイクルもお前のバカげた計画も関係ない・・・!!

エアリスがいなくなってしまう・・・。

エアリスは、もうしゃべらない・・・もう・・・笑わない・・・泣かない・・・怒らない・・・。」

クラウドはエアリスの体を揺さぶる。

「俺達は・・・どうしたらいい?この痛みはどうしたらいい?」

目の前が滲んで行くのがわかった。

「指先がチリチリする。口の中はカラカラだ。・・・目の奥が熱いんだ・・・!!」

セフィロスは何事もなかったような表情で立っている。

「何を言ってるのだ?お前に感情があるとでも言うのか?」

カッと体が熱くなった。

「当たり前だ!俺がなんだというんだ!」

「クックック・・・悲しむフリはやめろ。怒りに震える演技も必要ない。

何故ならクラウド。お前は・・・・・・」

セフィロスは空高く舞い上がった。

そして空から降って来た言葉。






















何故なら、お前は・・・・・・人形だ


























俺が・・・・人形?

 








はセフィロスがいなくなると同時にエアリスに向かって駆け出した。

エアリスに抱き付き、自分がエアリスの血で汚れるのにも構わず泣き続けた。

ヴィンセントがに近付き、の肩を軽く叩いた。

はそれに頷き、エアリスから離れる。


クラウドはエアリスを抱き上げ、歩き出した。











神秘的な泉。

エアリスにはピッタリの場所だった。

は涙でくしゃくしゃだった。

ヴィンセントは黙って見ている。

クラウドは、エアリスを泉に沈めた。

沈んで行くエアリスの姿は、泉の雰囲気と同じで、神秘的だった。







<続く>



=コメント=
エアリス〜〜〜〜!(涙
さよならでした・・・。
えっと、今回は短めだと思います。
あと、次回はさんの大ピ・ン・チ!みたいな?(何
セフィロス&クラウドと絡んでくださいv
ではでは。