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あの時より一歩強くなれた?第二十章







「あっ、お客さん。」

クラウド達がゴールドソーサーを出るためにロープウェイに乗ろうとした途端、係員に声をかけられた。

「申し訳ございません。ロープウェイが故障してしまいまして。」

なんという悪いタイミングだろう。

ロープウェイの修理が終わるまで、ゴールドソーサーから出られなくなってしまった。

係員が必死に頭を下げている。そんな姿を見てしまうと「仕方ないか」と思ってしまう。

と、そこへケット・シーがやって来た。

「どないしたんですか?」

ケット・シーは事情を聞くと、頭をかいた。

「しゃあないな〜。ときどきあるんですわ。

・・・せや!ここのホテルに泊まりましょ!ちょっと、顔きくんですわ 話つけてきます〜。」

勝手に決めてケット・シーは行ってしまった。

まぁそれ以外にどうすることも出来ないのだからいいのだが。

係員はクラウド達の背中に「修理が終わり次第お知らせします。」と呼びかけた。
 




ゴーストスクウェア。

何故だか知らないがゴールドソーサーのホテルはお化け屋敷形式になっている。

上から首吊り人形が降って来たり、フロントのテーブルに透けているお化けが座っていたり・・・。

とにかく、妙な空間だった。

そんな空間に、クラウド達一行、全員が集まっていた。

「そういや、全員そろうのは滅多にありませんよ。」

ケット・シーが言った。

「クラウドさん、どうやろう。この辺でここまでのまとめやってもらえませんか?

ボクは、途中参加やからよぉわからんとこあるんです。」

それはいい考えだった。

最近急に仲間が増えたため、内情をよく知らない人が多かったのだ。

最初からいた人でも、あれこれ複雑な流れだったのでわからなくなってしまったりしている。

クラウドは静かに「やってみよう」と言った

「ふう・・・。」

クラウドは一回深呼吸をし、話し出した。

「俺たちはセフィロスを追いかけている。セフィロスは約束の地を目指しているはずだ。」

そこですぐに突っ込みが入った。

「約束の地だぁ?」

突っ込みを入れたのはシドだ。

「魔晄エネルギーに満ちあふれた豊かな土地。・・・これは神羅の考え方だ。

実際にはどんなところなのか、どこにあるのかすらわからない。」

「セトラの民は約束の地へ帰る。至上の幸福が約束された運命の土地。」

エアリスが呟くように言った。

バレットが眉をしかめる。

「セトラノタミ?なんだ、それ?」

「古代種は自分達のことをそう呼んでいたの。

ねえ、コスモキャニオンで長老たちの話、聞かなかったの?

・・・古代種も約束の地、どこにあるか知ってる訳じゃないってこと。

求めて、旅をして、感じるの。ああ、ここが約束の地だ、ってね。」

「エアリスも・・・わかるのか?」

クラウドが聞いた。エアリスは頷き、「多分」と付け加えた。

「セフィロスが世界のあちこちを歩き回ってるのは、約束の地を見つけるため・・・。

ううん、それだけじゃない。きっと、他にも探してるものがあるわ。」

が言い、それにクラウドが答える。

「黒マテリア・・・だな。」

「ディオさんから、聞きましたで。黒マントの男が黒マテリア探してるって。」

ティファが頭を振った。

「その黒マントもわからないわ。数字のイレズミがある黒マントの人達。何人いるのかしら?」

そこに、おずおずとレッド13が口を挟む。

「・・・あのさ。オイラのイレズミは13なんだけど。」

「そのイレズミ・・・どうしたんだ?」

聞くと、レッド13は少々黙り込み、言った。

「・・・宝条にやられたんだ。他のは戦士の魔除けだけど数字だけは宝条がやったんだよ。」

「ということは・・・。」

「最低でも13人!?」

ティファが叫び声にも似た声を上げる。

「・・・あのね」

エアリスが言った。

「黒いマントの人達は宝条に何かをされた人達だと思うのね。

セフィロスとの関係・・・それ、よくわからないけど。

・・・だから、セフィロス本人だけ追いかければいいんじゃないかな?」

「それ、賛成だぜ!ややこしくてしょうがないからな。」

バレットが声を上げる。だが、エアリスの心は沈んでいた。

「それにね・・・・。

・・・・ゴメン、なんでもない。私、疲れちゃった。部屋、行くね。」

エアリスはそのまま階段を駆け上がり、部屋に入ってしまった。

「なんやねん、急に!」

「おっ!終わり?アタシも寝るよ!」

エアリスに続き、ユフィも部屋に戻って行った。その場に残された全員は伸びをしたり、首を回したり、全身の力を抜いた。

「もう、お終いですか?黒マテリアの話は、どうなったんです?」

「話したって何もわからないさ。」

「行動あるのみ、よ。明日、きっと何かわかるわよ。」

ケット・シーにが言った。

「クラウド・・・。オイラ、ナンバー13だ。オイラもおかしくなっちゃうのかな?」

は首を振ってしゃがみ、レッド13の目線に自分の目線を合わせた。

「大丈夫。レッド13。弱気にならないで。」

「でも・・・。」

「平気よ。レッド13がおかしくなるとしたら、その前に私がおかしくなると思うから。」

「え・・・?」

レッド13は聞き返そうとした。だが、は既に立ち上がって後ろを向いていた。

「ねぇ、・・・今の、どういう意味?オイラわからないよ・・・。」

「何でもな〜い。あーあ、私も疲れちゃった。私部屋戻りま〜す。」

何故だかわざとらしく聞こえるような言い方。レッド13は、それ以上聞くことが出来なかった。

は伸びをしながら階段を上り、部屋へと帰って行った。

「なんや知らんけど変なことになってしまいましたな〜。」

「おい、シド。部屋に戻るぞ。」

ヴィンセントはシドの体を揺らしながら言ったが、シドは起きようとしなかった。

「グー・・・グー・・・」

 



クラウドは眠れずにいた。

これから一体どうなるのだろう。そんなことを考えていると、飽きないのだ。

一番窓寄りのベットに腰掛け、窓の外を見ていた。

時折ジェットコースターからの悲鳴や、ゴールドソーサーの音楽が聞こえてくる。

ゴールドソーサーは眠らない。


と、ノックが聞こえた。

「クラウド・・・起きてる?」

?」

クラウドは体を起こし、ドアに歩み寄って開けた。が立っていた。

「どうしたんだ?」

一応聞いてみるが、は俯いたまま何も言おうとはしない。

クラウドは首を傾げた。

「・・・・駄目だ。ちゃんとセリフ考えてきたのに、忘れちゃった。

ねぇ、クラウド。今から二人でデート、しない?ね、いいでしょ?行こう!!」

「お、おい!」

はクラウドの腕を取ると、そのまま引っ張って部屋を出て行った。



 


「さあ、今夜はマジカルナイト!全てのアトラクションは無料になってるよ!!」

係員の声が響く。二人の姿が目に入ると、係員は言った。

「あっ、どうです、そこのお2人さん。今から、こちらイベントスクウェアで楽しいショーが始まりますよ!」

「行ってみよ、クラウド。」

二人はイベントスクウェアの門をくぐった。

 


「おめでとうございます!!」

イベントスクウェアに入った途端、いきなりそう言われた。

「あなた方が本日100組目のカップルです!!!」

なんだかとても面白いことらしい。これから始まるショーの主人公に、自分達が選ばれたようだ。

「はぁ?」

クラウドは素っ頓狂な声を発する。係員は普通に営業スマイルを見せながらクラウドとの背中を押した。

「難しいことはありません。あなたは好きにしてくださればショーのプロが話をまとめますので。ささ、こちらへ。」

「お、おい」

「なんだか面白そう。行こうよ、クラウド。」

二人は舞台上へと上がって行った。 





『平和なガルディア王国に突如として襲いかかる、邪悪な影・・・。

ああ、悪竜王ヴァルヴァドスに攫われた姫君ルーザの運命はどうなってしまうのではありましょうか・・・。

しかし、その時!伝説の勇者アルフリードがガルディア王国に現れたのであります!!』

クラウドことアルフリードが舞台中心に現れる。兵士が回転をしながらクラウドに近寄り、言った。

「おお〜、あな〜たこそ〜伝説の勇者〜、アルフリ〜ド!・・・ちょっと、アンタだよ。」

クラウドは自分を指差し目で「俺?」と聞いた。

「そう、アンタ。」

兵士は咳払いをひとつし、再び歌い出した。

「おお〜、あな〜たこそ〜伝説の勇者〜、アルフリ〜ド!

何故かわかりま〜す、わかるので〜す。どうか〜、どうか、ルーザ姫をお救い、くださ〜〜〜い。

さあ〜、王様に〜、おはな〜しを〜〜!!」

すると今度は王様が現れた。兵士と同じように回転しながらクラウドに近寄り、歌い出す。

「おお〜、勇者アルフリ〜ド〜、私の愛しいル〜ザを救うために〜やってきた〜。

悪竜王ヴァルヴァドスの住処は〜はるか険しい山の上〜。哀れル〜ザは捕われの身〜。

しか〜し、今のお前では悪竜王には勝て〜ん!お前の力とな〜る者に語りかけよ〜。」

と、今度は魔法使いが出て来る。目の前にいるのは兵士と魔法使い。

どちらに話しかけるか考え、クラウドは魔法使いに近寄った。

「わた〜しは大魔法使いボーマン〜。お前〜は何を知りたいの〜?」

クラウドは恥ずかしさを堪え、歌った。

「悪竜王〜の〜弱点〜。」

「ああ〜悪竜王の弱点 それは〜、それは〜・・・そう!それは真実の〜愛!!!

愛しあ〜う2人の力こそが〜悪竜王の邪悪な〜る牙に打ち勝つただひとつの武器〜!」

「なんということで〜ありましょう〜!おお!勇者よ〜、あれを見よ〜!」

今度は悪竜王が現れた。悪竜王はを抱えている。

「ガハハハハ〜!我こそは〜、悪竜王ヴァルヴァドス〜!攫った姫に〜何もしないで待っていたぞ〜!」

「お助け〜ください〜勇者さま〜!・・・・こんな感じでどう?」

は楽しそうに歌っていた。

「ガハハハハ〜!いくぞ勇者アルフリ〜ド〜!なんで〜名前を知っているかは気にするな〜!」

魔法使いが歌う。

「さあ〜勇者よ〜!今こそ汝の〜愛する者に〜口付けを〜!真実の愛の〜力を〜!!」

クラウドは迷う事なくに歩み寄り、そして跪いた。の手を取り、その手に口付ける。

「クラウド・・・じゃなかった、アルフリ〜ド〜」

がほんの少し頬を赤色に染め、歌った。

「ウギャアア〜 俺は〜愛の力に弱〜いんだあ〜!!」

「おお見よ〜! 2人の愛の〜勝利〜だ〜!さあ皆の者〜戻って〜祝いの宴を〜」

『ああ、何と強い愛の力でありましょう・・・伝説の勇者アルフリードの物語はこうしてめでたく幕を閉じるのであります。』

 



劇が終わった後、頬を赤く染めていたのはクラウドだった。どうやら相当恥ずかしかったらしい。

「ふふ、楽しかったね。」

「そうだな・・・。」

「・・・でも、次はお芝居の中じゃない方がいいな・・・」

「え?」

「クラウド!次はゴンドラに乗ろう!」

はゴンドラ乗り場に駆けて行った。クラウドがその後を追い駆ける。

 



ゴンドラ乗り場のラウンドスクウェアでがこっちを見て笑っていた。

「はーやく!」

クラウドはの隣に立った。

「2人お願いします。」

「はい、お2人様ですね。では、ゴールドソーサーの景色をごゆるりとお楽しみ下さい。」

二人はゴンドラに乗り込んだ。

 




「わぁ・・・、綺麗・・・。」

ゴンドラの窓から見る景色はすごかった。

楽しげな音楽が聞こえてきたり、ライトの色がランダムに変わったり。

時折風船が飛んで来たりして、見ていて飽きないものだった。


「ね、クラウド見て。」


がクラウドに語りかける。 


「クラウド、ほら」

 
クラウドは窓の外の景色を見ながら、のことを考えていた。




「・・・綺麗だね・・・。」

その時、花火が上がった。

色とりどりの花火は黒い空に散り、一瞬の花を咲かせた。

クスリとは笑う。だが、その笑いにはどこか哀しさが混じっていた。





「・・・クラウド。」





「・・・ん・・・?」





「私ね、この旅が終わるのが・・・怖い。」





「・・・俺が・・・皆が、ついてるだろ?」






「・・・そうだね・・・。でもね、きっと・・・この旅が終わったら・・・。」






「・・・・?」






「この旅が終わったら・・・・・・私・・・・・・・・・・・。」









 
































―――――――――――――――――。」









 
































ゴンドラを降り、は振り向いて言った。

「今日はありがとう。・・・すごく、楽しかったよ。」

クラウドはかすかに微笑み、「別に構わないよ」と言った。

「そういえば さっき何て言ったんだ?」

ゴンドラの中でが呟いた言葉。花火の音にかき消され、聞こえなかった言葉。

花火に、消された言葉。

「・・・へへ、一回しか言わないよ。」

はからかうように舌を出し、ニッと笑って見せた。

「?」

クラウドは首を傾げた。

「本当に今日はありがとね。また・・・一緒に来ようね。」

「・・・ああ。」

「あ、もうこんな時間だ・・・。そろそろ戻ろっか。」

クラウドは頷いた。




・・・・先に歩き出したの背中を見て、ふと思った。





何故だか、が消えてしまうような気がして・・・・・・・。





クラウドは、の手を握った。

は少し驚いて振り返ったが、すぐに優しく微笑んでクラウドの手を握り返した。






『この旅が終わったら・・・・・・私・・・・・・・・・・・。』













        ――――――――――――――――きっと、消えてしまうから・・・・。









<続く>


=コメント=
よっしゃぁぁ!!!
やっとデートイベントまで終わったよ!!
この後だよね、ややこしくなってくるのは(笑
古代種の神殿を回り〜、忘らるる都へ〜vv(何
さぁ、そこでもさんにはクラウドと
イチャついてもらいましょ〜vv(何
ではではv