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あの時より一歩強くなれた?第十二章




「あの・・・。」

老夫の家に向かって歩いていると、途中で中年の女が声をかけて来た。

クラウドとレッド13にではない。散々自分達が酷いことを言い放ったに対してだ。

「・・・何か?」

「あの、あたし達ずっとあんたのこと誤解してたよ。」

急に思いもしなかったことを言われ、は目を丸くした。

「ごめんなさい。プリシラちゃんが助けられたってじいさんに聞いたんだよ・・・。

、あんたの仲間達が何人かさっきこの村に辿り着いてね、はそんな人じゃないって色々説明してくれたのさ。

もう神羅とは関係ないって・・・。それを理由も何も知らないあたし達が勝手に思い込みで酷いこと言っちまって・・・。」

は少し顔を綻ばせた。

「・・・いいのよ、おばさん。あんな事件を起こした私が元々と言えば悪いんだから。」

女は顔を横に振る。

「いや・・・。あの事件のことだってちゃんと考えれば理解出来ることだったんだ。

あの子が死んだのはあんたが殺したからじゃない。神羅の嘘だったんだろ?

あんたはあの子を・・・プリムを、かばったんだろう・・・・?」

は俯く。

「・・・違うよ。・・・もうこんなこと、私がプリムを殺したのと同じコトだよ。

直接殺したんじゃなくても、私はプリムを見殺しにした・・・。神羅がプリムを殺そうとするのを黙って見てたんだから・・・。」

女は涙を浮かべ、の肩に手を置いた。

「ごめんね・・・。本当にあたし達が馬鹿だったんだ。

今までずっと辛かっただろう?ちゃんと本当のことを話してくれたらよかったのに・・・。

もう村の皆もあんたを怨んだり誤解したりしていないよ。皆本当の理由を知ったから、安心していいんだよ。」

は小さい声で「ありがとう」と呟いた。





達は老夫の家にやって来た。扉の前で老夫が立っている。

「おお、来たか。。すまんね、プリシラは少し休ませなくちゃならんのじゃ。」

「そうですか・・・。でも命に別状はないんですね?」

「ああ。時期に目を覚ますじゃろう。それと、今まですまんかったな。誤解をしていたようじゃ・・・。」

は笑顔を浮かべる。

「いえ・・・。もう大丈夫です。色々とご迷惑を・・・。」

「いや、迷惑をかけたのはこっちじゃ。ほんにすまんかったの。ばあさんのところに行け。床の用意を頼んでおいたからの。」

は老夫に頭を下げ、クラウド達を促した。

家の外についている階段を下り、言われた通りに老婆の家に向かう。

老婆も老夫と同じように家の前で立っていた。

かい。さあ、お入り。」

老婆は家の中に入るように促した。三人は家に入る。

中では、ティファやエアリス、バレットが既に待っていた。

「話は聞いたよ。プリシラが世話になったね。あんた達も疲れただろう?休むんならここを使っておくれ。」

老婆はそう言い残して外へ出て行った。

それを見計らってティファが口を開く。

「ねぇ、どういうことなの?村に入った途端、「の仲間かっ!」って言われて。」

それに続けてエアリスが言う。

「うんうん、で、詳しく聞いてみると「に騙されたんだよ、あんた達!」とか言われちゃった。」

バレットも言う。

「どういうことかちゃんと話してくれよな。」

は苦笑いを浮かべ、けれどゆっくりと話し出した。

過去を思い出し、それを口にするように。話すというより、語るという方がいいかもしれない。

そんな心地好い語り。

「・・・私の両親がね、ジュノンに引っ越して来てすぐに病気で亡くなったの。

ずっと落ち込んでたんだけどね、そんな私を励ましてくれたのが、ここで親友になったプリムって子だったの。

私とプリムは本当に仲が良かった・・・。」




!なーに?また落ち込んでるの?」

朝日が登る早朝の海岸。私は潮風の中、海岸の岩に座って海を眺めていた。

プリムがいつもの元気で私に話しかけて来た。私は苦笑を浮かべて、

「違うよ。夢のこと考えてたの。」

肩をすくめて見せた。プリムは私の隣に座り込んで聞いて来た。

「夢?」

「そう・・・。私ね、タークスかソルジャーになりたいの!」

プリムは驚いていた。その時の間抜けな顔、今でもしっかりと憶えてる。

「タークスっ?ソルジャーっ!?」

「そ。私・・・神羅で働きたいの。でもね、私、前住んでたところの友達に嘘ついちゃった。

神羅もソルジャーも大嫌いって。・・・ホントはそんなことないのにね、その友達がソルジャーになるって言ってたから・・・。

自分もなりたいのに先越されちゃったって・・・私嘘ついちゃったんだ。」

プリムはそれっきり黙り込んだ。波の音だけが響いていた。

「・・・うん、いいかもしれない!」

「え?」

唐突にプリムは言い出した。

ってスポーツ万能だし、すごくそういうのって似合うと思うよ!頑張りなよ!

嘘ついちゃってもいいじゃない!ちゃんと話せばその友達だって理解してくれると思うよ?」

プリムはいつでもそういうふうに私の背中を押してくれた。

そんな少しの気遣いが私にはとても心地好かった。

プリムにソルジャーになれって言われたこの時が6年前。





そして私はタークス・・・もとい、隠れソルジャーになった。





そして事件は今から2年前に起こった。

「えっ・・・。どうして!?」

私は叫んだ。ツォンが冷たい瞳で私に言い放った。

「お前にはプリムという友達がいるそうだな。神羅で働く者に友達など不必要だ。始末しろ。」

「いくらなんでもその命令は聞けません!私はちゃんと働いているじゃないですか。

仕事に邪魔になっているとも思えません!!勝手なこと言わないでください!失礼します!」

私はツォンを睨みつけながらその場を後にした。

その時に・・・すぐにジュノンに行けばよかったんだ・・・・。




私がジュノンに行ったのは、ツォンと言い争った日から二日たった時だった。

エレベーターで下に降り、ジュノンに踏み入った。

「あっ!だぁ!」

ジュノンに入った途端、小さな男の子と女の子が私の元に駆けて来た。

その子達の頭を撫でてから、私はプリムの家に行こうとした。

!」

大声で呼ばれて私は振り返った。村の皆が手に武器を持って私を睨み付けてた。

「み、皆どうしたの?そんな武器を持って・・・。何かあったの?」

「何かあったの、じゃねぇ!!てめぇがこんなに酷い奴だとは思わなかったぜ!!」

「え・・・?ねぇ、ちょっと待って!言ってることがわからないよ!」

皆じりじりと私の方へ歩いてくる。私の周りには誰もいない。

「昨日神羅兵が村に来たんだよ・・・・。それでプリムが銃殺されたんだ!!」

一瞬何のコトだかわからなかった。頭が真っ白になって、私の思考回路は完全に停止した。

「こ、殺されたって・・・。」

「お前の命令だったって言ってたぜ!それでもプリムはお前を信じてたんだ!!

はそんなこと言いません』って、最後の最後までおまえを信じてたんだぞ!!

なのにお前はそんな心優しいプリムを殺しやがって!!許さねえ!!!」

私の命令?そんなはずはない。あの命令はツォンからの命令だった。

私はそんなこと誰にも命令してはいないし、その前にプリムを殺す気なんてさらさらなかった。



やられた。



ツォンの作戦だ。

きっと私とジュノンの皆の仲を切り裂こうとしたんだ。

そうすれば神羅はこのジュノンの村を占領出来るから。恐らく私とジュノンを繋げるプリムが邪魔だったんだ。

許せない。

私は走り出していた。もちろんツォンの元に向かって。

後ろから罵声が聞こえた。でも止まっている暇なんて、ましてや余裕なんて私にはなかった。




「ツォンッ!!!!」

「おやおや、そんなに慌ててどうしたのだ?我が頼もしいパートナーの君。」

次の瞬間、小気味のいい音が鳴り響いた。私の右手は、私が命令する前にツォンの頬を叩いていた。

「っ・・・あんたがそんなに酷い奴だとは思わなかったわ!どうしてプリムを殺したのよ!!

プリムが邪魔だったなら、私はプリムをもっと安全な場所に連れて行ったわ!!

しかも私が命令したなんて・・・。でたらめもほどほどにしなさいよっ!!」

ツォンは何も言わなかった。ただ、にやにやと笑うだけだった。

「そんなに私を殺人鬼に仕立て上げたいのならいいわよっ・・・。最後の道化として演じてやろうじゃないの!

その代わり私はもう神羅に戻らない!タークスにもソルジャーにも、私はもう戻らないっ!!」

私は踵を返して走って行った。後ろから、ツォンの嘲笑うかのような高笑いが聞こえた。



「見ろ!が戻って来たぞ!」

私の姿を見るなり、村の皆は武器を構えて立ち塞がった。

「お前を行かせる訳にはいかねぇ!ここでくたばっちまえ!」

「出来るもんならやってみるといい。でもね、アタシはお前達みたいなザコにやられるほど弱くないんだよ!」

私は言い放った。その言葉にムッとしたのか、村人全員が私に襲いかかって来た。

「「「うぉぉおぉぉぉぉぉ!!!」」」

私は皆の頭上に飛んで攻撃をかわし、そのままジュノンを出て行った。

これで私の役目は終わった。

神羅に戻るつもりはない。けれど、帰れるところはどこにもない。

ニブルヘイムはもう燃えてしまった。頼れる人は、もうどこにもいなかった。





「それから私はコンドルフォートで戦士として戦っていた。

今でもコンドルフォートは戦っている。だから、私にとってはとてもいい場所だったのよ。」

が話し終えても誰も口を開かなかった。

ただ、の話した物語を噛み締めるように俯いていた。

「そんな・・・ことがあったんだ・・・。」

エアリスが最初に沈黙を破った。

「そう。それでね、プリシラちゃんが・・・プリムの妹なの。」

「「「えぇっ!?」」」

「皆そんなに驚かなくても・・・」

は苦笑いを浮かべた。

「そうだったのか・・・。」

皆驚いていたにも関わらず、何気に納得しているようだった。

「そろそろ休みましょ。」

ティファがそう切り出した。皆長旅で疲れていたため、全員意見一致でその日は休むことにした。





「クラウド。」

声が聞こえた。

「ねぇ、クラウドったら。」

また聞こえた。

「ほら、起きて。」

クラウドがゆっくりと瞼を開ける。そこには、の顔があった。

・・・・。」

「もう皆起きて先に行っちゃったよ?プリシラちゃんが目を覚ましたんだって。クラウドも行こうよ。」

クラウドは体を起こした。昨日の疲れがすっかり取れていて、気持ちがいい。

クラウドとは外に出た。なんだか行進曲のようなメロディーが聞こえる。

「なんだか上の方が騒がしいわね・・・・。」

ふと見ると、プリシラがこっちに歩いて来ていた。

「あのぅ・・・助けてくれてありがと、お姉ちゃん。」

「もう大丈夫なの?」

プリシラはコクンと頷いた。

「神羅の奴らと間違えちゃって、その・・・ごめん。」

は笑顔を浮かべた。

「別に構わないわ。でも、あなたを助けようって言い出したのは私じゃなくてこのお兄ちゃんよ。」

はクラウドの手を引っ張ってプリシラの前にずずいっと出した。

「お兄ちゃんにもお礼言った?」

が聞く。するとプリシラはフルフルと首を横に振って、笑顔で言った。

「ありがとう!お兄ちゃん!お兄ちゃんとお姉ちゃんにいい物あげる。海のお守りなの、大事にしてね!」

プリシラはポケットから赤い玉を二つ取り出すと、クラウドとに手渡した。

シヴァの召喚マテリアだ。これはいい物をもらった。

「ねぇプリシラちゃん、この音楽は何だか知ってる?」

「これは神羅の新しい社長の歓迎式のリハーサルだと思う。」

新しい社長と言ったらルーファウスしかいない。ルーファウスは海を越えるつもりなのだろうか。

となると、セフィロスは既に海を越えてしまったことになる。

「何とかして上の町に行きてぇな。柱でもよじ登るか?」

バレットが呟く。

「ダメダメ!柱の下は高圧電流が流れてるの無闇に近づいたらキケンよ。

でも・・・・イルカさんの力を借りればなんとかなるかな。ちょっと来て。」

プリシラが海岸に走って行ってしまった。クラウドとは顔を見合わせる。

「高圧電流の柱ねぇ・・・。」

「こういうことは、クラウドがうまくやってくれるのよね。」

エアリスとティファが勝手なことを言い出す。

「そうね、あの子のことはクラウドにまかせましょ!」

なんと二人で勝手に結論を出してしまった。

「オッ、オイ!ちょっと、待てよ!」

クラウドはたまったもんじゃない。だが、この状況では仕方ない。

クラウドはため息をついて海岸に歩いて行った。もクラウドと一緒だ。 

「あんまり気を落とさずに。私も一緒だから。」

子供をなだめるようにが言った。




「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ちょっと見ていて。」

プリシラが持っていたホイッスルを吹いた。するとイルカが見事な大ジャンプを見せてくれた。

「見せてもらったぜ、イルカのジャンプすごいもんじゃねぇか!」

いつからいたのかバレットが大声を上げた。

「すごいでしょ! このホイッスルを吹くとイルカさんがジャンプしてくれるの。ハイ!ホイッスルをお兄ちゃんにプレゼント!」

ホイッスルを手渡されるクラウド。だが、クラウドは混乱している。

「プ、プレゼントって・・・・どうしろっていうんだ!?」

プリシラは笑顔で答える。

「海に入ってホイッスルを吹くとイルカさんが柱の上までジャンプさせてくれるわ!」

「柱の上までジャンプだって!?」

「柱の上の方に、棒が突き出しているの。位置を合わせてジャンプすれば棒に乗って、上の街まで上れるはずよ。」

「クラウド、頑張れよ!!お前が上手くやったら俺達も行くからよ!

おっと、それにPHSを預かっておいたぜ。濡れたら壊れちまうからな。」

バレットもプリシラも乗り気だ。クラウドは慌てる。

「ちょ、ちょっと待て、俺一人でやれっていうのか!?」

バレットが胸を張って言う。

「当たり前だろ。それともと一緒にやる気なのか?」

クラウドは、うっ、と息詰まった。

「いいよ、私も一緒にやるわよ。」

があっさりと言う。少しクラウドは安心してため息をついた。

「イルカさんとジャンプしてみる?」

プリシラが聞いて来た。とクラウドは顔を見合わせ、答えを出した。

もちろん答えは「YES」だ。



ピッ!



クラウドがホイッスルを鳴らした。まずはクラウドからだ。

イルカがクラウドに寄って来て、そのまま思いっきりジャンプした。

クラウドは棒に飛び移り、足場に乗る。そしてホイッスルを下にいるに投げた。



ピッ!



今度はの番だ。ホイッスルを鳴らすと、イルカが寄って来た。

さあ、大ジャンプだ。イルカがジャンプし、はクラウドのいる位置に飛び移った。

二人共成功だ。下ではプリシラが喜んでいる。

二人はプリシラに一回手を振ると、そのまま柱をつたって上に登って行った。




<続く>



=コメント=
ルーファウス歓迎式典まで行けなかったよ(汗
今回はさんの過去編!
いや、私としては
たださんのタークス姿を妄想したかっただけ(おい
ってなことで次回に続きます(笑)