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あの時より一歩強くなれた?第十章




「さあ、話を続けましょう。」

が言った。もちろんのこと、その意見に同意しない者はいなかった。




「ねぇ、ティファ、あなたはずっと外で待っていたの?」

「・・・ええ。」

そう。ティファは魔晄炉の中には入らなかった。外でずっと待っていたのだ。

「俺達はニブルヘイムに戻った。セフィロスは宿屋にこもり誰とも言葉を交わそうとしない。

話しかけても無反応だった。ずっと無視をしていた。でも・・・・・」

「私にだけは、少しだけ反応を示してくれた。と言っても、

【ほっといてくれ】とか【俺に構うな】とかしか言わなかったけど・・・ね。」

クラウドの語尾をが繋いだ。その顔はどこか辛そうだ。

「・・・・ああ。にだけは反応を示していた。けど、俺達には全く反応を示さなかった。」

「そして・・・いなくなった。」

ティファが言った。クラウドとは頷く。

ある日、忽然とセフィロスの姿が消えたのだ。宿屋にはもちろん、村のどこにもいなかった。

「セフィロスが見つかったのはニブルヘイムで一番大きな建物。

村の人達は「神羅屋敷」と呼んでいた。・・・俺や、ティファが生まれたときにはもう空き家になっていた。

その屋敷は昔神羅カンパニーの人間が使っていたものだったんだ。」




俺は「セフィロスが神羅屋敷にいる」と聞いて、すぐに神羅屋敷の前にやって来た。

屋敷の前には何人かの人間がいて、その中にの姿も見受けられた。

「クラウド。セフィロスが神羅屋敷の中に入っていくのを見た人がいるんだ。

ボクも一緒に行くよ。行こう、クラウド。」

今まで「クラウドさん」と呼んでいたのに、はその時から俺を呼び捨てにするようになった。

俺とは神羅屋敷の中に入って行った。

歩くと床がギシギシと軋み、屋敷の中は埃だらけだった。

「クラウドは知ってる?この屋敷に、秘密の地下室があるんだ。」

「秘密の地下室?」

俺は聞き返した。

「そう。壁に隠し扉があって、そこから地下に通じる階段があるんだ。

これだけ探してもセフィロスがいないなら、恐らくはその地下室にいると思うよ。」

俺はに案内され、ひとつの部屋にやって来た。神羅兵の一人が立っている。

「セフィロスさんの姿が見えないんだ。確かにこの部屋に入って行くのを見たんだけど・・・。」

「本当にセフィロスはこの部屋に入ったんだね?だったら答えはひとつだよ。」

は部屋の壁の前に立ち、そこをコンコンと叩いた。

すると意とも簡単に地下室への入り口が浮かび上がった。壁が一瞬にして消えたのだ。

「さ、行こう。」

に導かれ、俺達は地下室へ踏み込んだ。

そこはまるで図書室のようで、今までに研究されたたくさんの資料が納められていた。

「・・・2000年前の地層から見つかった仮死状態の生物。

その生物をガスト博士はジェノバと命名した・・・・・・。

X年X月X日。ジェノバを古代種と確認・・・・・・。

X年X月X日。ジェノバ・プロジェクト承認。魔晄炉1号機使用許可・・・・・」

セフィロスは書物を読み上げた。 

「俺の母の名はジェノバ・・・・・ジェノバ・プロジェクト・・・これは偶然なのか?

ガスト博士・・・・どうして教えてくれなかった?・・・・どうして・・・死んだ?」

「セフィロス・・・。」

俺は呟いた。そこにいたのはセフィロスに見えなかった。

今までの堂々とした英雄セフィロスではなかったんだ。

「セフィロス・・・。あなたは人間だよ・・・・。」

「一人にしてくれ」

にセフィロスはそう答えた。痛々しくて、見るに耐えなかった。



それ以降セフィロスは神羅屋敷にこもり切りになった。

まるで何かに取り憑かれたかのように書物を読み漁り、地下室の明かりは決して消える事はなかった・・・。



そして・・・・。



俺とはいつものように神羅屋敷に足を運んだ。

部屋の前で神羅兵が言う。

「セフィロスさんの様子が変なんだ。」

俺とは顔を見合わせ、急いで地下室に下りて行った。

いつもより冷えた地下。嫌な予感がした。

「セフィロスっ!」

「誰だっ!!」

がセフィロスを呼ぶと、セフィロスは振り返った。セフィロスの声を聞くのは久し振りだ。

セフィロスは俺達の姿を見ると、ニヤリと笑った。

「フッ・・・裏切り者達め。」

「う、裏切り者・・・?」

俺達には意味がわからなかった。それに、セフィロスに裏切り者と言われることもしていない。

「何も知らぬ裏切り者よ。おしえてやろう。」

いつものセフィロスの声じゃなかった。堂々としているところは、かつての英雄セフィロスを思わせた。

だが、なんだか違う。英雄という感じではなかった。どちらかと言うと、「神」という感じだった。

「この星はもともとセトラのものだった。セトラは旅をする民族。旅をして、星を開き、そしてまた旅・・・。

辛く、厳しい旅の果てに約束の地を知り、至上の幸福を見つける。

だが、旅を嫌う者たちが現れた。その者は旅することをやめ、家を持ち、安楽な生活を選んだ。

セトラと星が生み出したものを奪い何も返そうとしない。

それがお前達の祖先だ。」

「セフィロス・・・」

意味がわからなかった。どうしてセフィロスがこんなことを言うのかもわからなかった。

「昔、この星を災害が襲った。お前達の祖先は逃げ回り・・・隠れたおかげで生き延びた。

星の危機はセトラの犠牲で回避された。その後でのうのうと数を増やしたのがお前達だ。

セトラはこうしてレポートの中に残るだけの種族となってしまった・・・。」

「それが・・・セフィロス、あなたとどういう関係がある?あなたは人間だ・・・少なくとも、ボクはそう思う。」

「人間?ハッ・・・馬鹿め。わからないのか。

2000年前の地層から発見されたジェノバと名づけられた古代種。

そしてジェノバ・プロジェクト。

ジェノバ・プロジェクトとは古代種・・・つまりセトラの能力を持った人間を創り出すことだ。

・・・創り出されたのは俺だ。」

俺とは息を飲んだ。

「つ、創り出された・・・・・・?」

「そう。ジェノバ・プロジェクトの責任者天才的科学者ガスト博士が俺を創り出した。」

セフィロスの声に、以前の暖かみはなかった。

「そんなこと・・・一体どうやって!!セフィロス!!」

「邪魔をするな。俺は母に会いに行く。」

セフィロスはゆっくりと歩を進め、地下室から出て行った。

俺達は動かなかった。いや、動けなかった。

以前のセフィロス、そして今現在のセフィロスを思うと、どうしても動くことは出来なかった。

「・・・・・・?」

が上を見上げた。部屋の天井の隅から煙が漏れて来ている。

随分と古い屋敷だから、部屋の隅にも穴が開いていたんだろう。

「煙・・・・・?」

俺達はハッと気付いて顔を見合わせた。

「まさかっ!!!!」

俺達は全速力で階段を駆け登り、神羅屋敷を出た。

村まで駆け出そうとして慌てて立ち止まる。目の前は火の海に包まれていた。

「う、嘘・・・・・。」

が呟いた。俺達は再び村に向かって駆け出す。

村の人々が何人の倒れている。死体だか瀕死状態だかわからない。

「おい!お前ら!!」

声がして降りかえる。確か宿屋にいた男だ。

「お前達は正気だろうな!?俺はザンガン!旅の武道家だ!お前達正気ならこっちに来て手伝ってくれ!

俺はこっちの家を見てくる!お前達はそっちの家を!」

ザンガンに言われ、俺は自分の家に飛び込んだ。家の中も火の海だった。

・・・人が焼ける匂いがしていた。・・・・母さんは・・・・もう死んでいたんだ・・・・。

涙が出そうになるのを怒りで押さえ、俺は外に出た。

は倒れた神羅兵に必死に呼びかけていた。

「大丈夫!?しっかり!!」

「・・・セフィロ・・・ス・・・・・。」

どうやら気絶しているだけで命に別状はないようだった。

俺達は立ち上がる。

「酷い・・・・。セフィロス・・・酷すぎる・・・・。」

が呟いた。

ニブル山に向かおうと振り返ると、そこにはセフィロスの姿があった。

炎の中で、緑色の目を光らせ、村の人々を殺していた。

「セ・・・・セフィロス・・・・。」

が呟く。セフィロスは俺達を見やり、ニヤリと笑うと、炎の向こうのニブル山へ消えて行った。

俺達はそのセフィロスの後を追った。



「セフィロスねっ!!」

魔晄炉の中。一番奥の部屋の前でティファが父の亡骸を抱いて泣いていた。

「セフィロスがやったのね!!」

ティファは泣きじゃくっていた。

「セフィロス・・・ソルジャー・・・魔晄炉・・・神羅・・・全部!!!」

ティファは叫んだ。

「全部大キライっ!!!!」

ティファは傍に落ちていたセフィロスの剣を拾い、そのまま奥に進んで行った。


「母さん、会いに来たよ。この扉を開けておくれ・・・。」

セフィロスは尋常じゃなかった。

「よくもパパをっ!!よくも村の皆をっ!!!」

ティファは剣を振り上げ、セフィロスに斬りかかった。だがセフィロスは難なくかわし、剣を奪い、

逆にティファを斬り付けた。ティファの体が大きく弧を描いて階段の下に転がり落ちる。

セフィロスは特に気に止めた様子も見せず、扉の向こうへ行ってしまった。

「ティファ!」

俺は大声を上げた。ティファは気を失っていた。

ティファを抱え上げ、そっと階段の隅に寝かせる。


もう許せなかった。


「セフィロスッ・・・・・。」

どうしてこんなことに。俺は思った。

「どうして・・・・。」

が呟く。は顔を上げると、剣を構えて扉の奥へ入って行った。

「やめろっ!!待つんだっ!!」

遅かった。俺は慌てて扉の前へ立った。

「グッ!」

ものすごい衝撃が俺の体を襲い、ふと気付くと俺の腕の中にがいた。

セフィロスに吹き飛ばされ、その先に俺がいたから無意識のうちに抱き止めていたらしい。

「おいっ・・・おい!」

も気を失っていた。俺はをその場に寝かせ、剣を構えた。

「母さん、一緒にこの星を取り戻そうよ。

俺、、いいことを考えたんだよ。約束の地へ行こう。」

セフィロスは言った。

「セフィロス・・・。俺の家族を!俺の故郷を!よくもやってくれたな!」

俺は叫んだ。本当に許せなかったから。

「クックックッ・・・母さん、また奴らが来たよ。

母さんは優れた能力と知識、そして魔法でこの星の支配者になるはずだった。

けどアイツラが・・・・・・・

何の取得もないアイツラが

母さん達からこの星を奪ったんだよね。

でも、もう悲しまないで」

ふざけている。俺は怒りに震えた。

「俺の悲しみはどうしてくれる!家族・・・友だち・・・故郷を奪われた俺の悲しみは!!あんたの悲しみと同じだ!」

俺はこの一言でセフィロスが元に戻るかと思った。だが、甘かった。

「クックックッ・・・俺の悲しみ?何を悲しむ?

俺は選ばれし者。この星の支配者として選ばれし存在だ。

この星を、愚かなお前達からセトラの手に取り戻すために生を受けた。何を悲しめというのだ?」

ああ、もうダメなんだ。俺は悟った。

「セフィロス・・・信頼していたのに・・・。

いや、もうお前は俺の知っているセフィロスじゃないっ!!!ただの化け物だっ!!」

俺は剣を構えてセフィロスに向き直った。





「・・・この話は、ここで終わりなんだ。」

唐突に言い出したクラウドを見て、皆呆気に取られた。

「ちょっと待てよ!続きはどうなったんだ??」

「・・・憶えていないんだ。」

クラウドはかぶりを振った。

「セフィロスはどうなったの?」

エアリスも聞く。

「実力から言って、俺がセフィロスを倒せたとは思えないんだ。

俺がセフィロスにやられた後にが気を取り戻し、そして立ち向かって行ったとしても、

あの化け物みたいなセフィロスの力に敵うとは思えない。」

は頷いた。

「公式記録ではセフィロスは死んだことになっていたわ。新聞で見たもの。」

「でも・・・新聞は神羅が発行している。信用出来るかと言われたら難しいわね。」

ティファは新聞で見たと言った。だが、の言う通り信用は出来ない。

「俺は確かめたい。あの時、何があったのかを。

セフィロスに戦いを挑んだ俺は生きている。セフィロスは何故俺を殺さなかったのか?」

「私も・・・それにティファも生きているわ。」

クラウドは頷く。

エアリスは表情を変えた。

「何だかいろいろ変。ねえ、ジェノバは?神羅ビルにいたのはジェノバ、よね?」

クラウドは頷く。

「神羅がニブルヘイムからミッドガルへ運んだのは確実だな。」

「そのあと、また誰かが持ち出した?神羅ビルからもなくなってたわよ。」

全員の頭の中に一人の人物が浮かび上がる。

「セフィロス・・・?」

そう。セフィロスがジェノバを持ち出したとしたら、全ての辻褄が合う。

「が〜〜〜っ!訳がわかんねえ!」

バレットが大声を上げた。

「オレは行くぜ オレは行くぜ!オレは行くぜ!!考えるのはお前達に任せた!

おい、クラウド!! 出発の準備を整えろ!」

クラウドはため息をついた。既に呆れている。

「・・・わかったよ・・・。」

「よっしゃ、行こうぜ!」

バレットは一番乗りといったように、階段を駆け下りた。

レッド13もため息をつきながらその後に続く。

「やれやれ・・・。」

クラウドは肩をすくめた。

「・・・・。」

ふと隣を見ると、ティファが黙り込んでいる。は気になって聞いた。

「・・・どうしたの?」

「・・・ねぇクラウド、。」

話しかけたら逆に話を振られ、とクラウドは首をかしげた。

「セフィロスに斬られた私はどんなふうだった?」

聞かれて二人はあの時のことを思い出す。肩から血を流し、息も荒く、涙を浮かべていたティファのことを。

「もうダメだと思った。・・悲しかったよ。」

クラウドはティファに告げた。ティファは少し顔を朱に染める。

「私・・・・。」

エアリスが呟いた。三人はエアリスの方をチラと見る。

「古代種・・・セトラ・・・ジェノバ・・・セフィロス・・・私・・・」

エアリスが何やら呟いている。ティファは少しエアリスの顔を覗き込み、言った。

「行きましょう。バレットが待ってるわ」


 


「はい、クラウド。これを渡しておくわ。」

ティファに手渡されたもの。クラウドは受け取り、それを見つめた。

「これってもしかしてPHS?」

が呟く。ティファはコクンと頷いた。

「PHSがあればいつでもクラウドとに会えるね!」

エアリスが悪戯っぽく言った。クラウドとは顔を見合わせ、苦笑した。

「じゃあ、先に行くわね。次はジュノンでね!」

ティファとエアリスがにこやかに手を振って宿から出て行った。 

クラウドと、そしてレッド13はその姿を見送り、ため息を漏らした。 

「なんだか疲れちゃった。あれだけ長い間話してたもんね。」

が言う。クラウドも少し疲れたようだ。肩を軽く回して再びため息をついた。

「次は・・・ジュノンで・・・って言ってたよね。ティファ・・・。」

「ああ。あいつらと次に会うのはジュノンでってことになるな。」

「・・・そっか・・・。」

少し戸惑い気味に言う。少し不思議に思ったクラウドだったが、

「さ、私達も出発しよ!」

がそう言ったので、気にしないことにした。


一行はジュノンへと向かう。




<続く>



=コメント=
前回が長かったので今回は少し短め(汗
とは言え、まだ大分長いですね・・・。
皆さん長いのと短いのとどっちがいいですか!?(おい
おしえてほしいのぉ・・・・。
では、次回は・・・洞窟からジュノンにかけてですねv
ワーイ!ジュ、ノーンっ!(おい
ではではv