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急にセフィロスとかいうヤツに呼ばれて来たこの世界。

右も左もわからないこの世界で、私は素敵な人達と出会った。

優しいティファ。頼りになるエアリス。

そして・・・。

コバルトブルーの瞳に、金色の髪。驚くほどの美青年、クラウド。

見た目は最高に良いのに、性格はどこかひねくれていて無愛想。

いわゆる、どーしよーもない性格ってヤツ。

少しは優しいヤツなのかな、なんて思ったけど。

前言撤回。

優しさのカケラすらありゃしない。








I love my life.









「準備の方は?」

男が言った。

神羅カンパニー社長、プレジデント神羅。

見事な太鼓腹を持つ肥満男だが、世界を動かす神羅カンパニーの社長というだけあって、

威厳や指示の速さでは右に出る者はない。

「ガハハ!! 順調順調!実行部隊はタークスです。」

治安維持部門総括のハイデッカーが言う。

それに反論するように、一人の男の声が響いた。

「プレジデント! 本当にやるのですか?たかが数人の組織をつぶすのに・・・・・・」

「今更ナニかね、リーブ君。」

リーブを見ようともしないでプレジデントが言う。

リーブは一瞬言葉につまり、声のトーンを落とした。

「・・・・・・いいえ。しかし私は都市開発責任者としてミッドガルの建造、

運営の全てに関わって来ました。ですから・・・・・・。」

「リーブ、そういう個人的な問題は朝のうちにトイレで流しちまうんだな!」

リーブの言葉を遮り、ハイデッカーが下品な笑いとともに口を開く。

「市長も反対しているわけであり・・・。」

「市長!?このビルの中でボソボソとメシを食ってるあいつか!?あいつを、まだ市長と呼ぶのか?」

ハイデッカーはさも驚いたとでもいうように目を見開き、大袈裟な身振りでリーブに問う。

リーブは何も言い返すことが出来ず、苦い顔をして俯いた。

「それでは失礼します!」

ハイデッカーはプレジデントに敬礼をし、その場を去っていった。

ハイデッカーを止めようとしたリーブの手は空を切り、行き場をなくす。

プレジデントは呆然としているリーブに近寄り、その肩に手を置いた。

「君は疲れているんだよ。休暇をとって旅行でも行ってなさい。」

リーブはしばし沈黙していたが、やがてしぶしぶ頷くと、その場を去っていった。




「7番街を破壊。アバランチの仕業として報道。神羅カンパニーによる救助活動。フフフ・・・・完璧だ。」




一人切りの社長室で、プレジデントはそう呟いていた。










「いたたたたた・・・・。」

体を起こしながら、は呟いた。

コルネオの部屋から急に穴に落とされ、そして何が何だかわからないうちに地面に強かに腰を打ち付けた。

そして、自分が今座り込んでいる場所に肝が冷えた。

「・・・・げ、下水道・・・。」

そう、が座り込んでいたのは、下水道の真ん真ん中。

錆びた空き缶などが、汚い泥水に乗って流れてゆく。

服はどろどろの上、髪はぐしゃぐしゃだ。

傍にはクラウドやティファ、エアリスも倒れている。

クラウドは体を起こすと、「大丈夫か?」と声をかけながら

ティファとエアリスに手を貸し、立ち上がらせた。

へぇ、意外と紳士なんだ。

そんなことを思いながら、その光景を見つめる。

と、クラウドがこちらを向いた。てっきり手を貸してくれるものだと思ったのに。

「・・・酷い顔だな。」

一瞬、クラウドの顔に鉄拳を飛ばそうかと思った。

そりゃ今の自分の顔はどろどろだろうし、傷だらけだろうし、髪もぐしゃぐしゃかもしれないけど。

よりによって、第一声が「酷い顔だな」とは!

少しは優しいヤツなのかな、なんて思ったけど。

前言撤回。

優しさのカケラすらありゃしない。

「・・・悪かったわね。どうせ私はティファやエアリスみたいにおしとやかに着地なんて出来なかったわよ。」

「随分と強気だな。さっきまでボロボロ泣いてたくせに。」

今その話を出してくるか、普通!!

はぐっと唇を結び、自分の力で立ち上がって洋服の泥を落とした。

服は露出度の高い黒いドレスのままだ。早くどこかでお風呂に入りたい衝動に駆られた。

服の泥を落としながら、チラリとクラウドを見やる。

ティファやエアリスには優しいのに、どうして自分には憎まれ口ばっかり。

クラウドはもうの方を見てはおらず、ティファやエアリスと話をしていた。

「もう! サイテーね、これ。」

ティファは苦い顔をして言う。エアリスはそんなティファを見て苦笑を浮かべた。

「ま、最悪の事態からは逃れられた・・・・」

エアリスが言いかけたとき、どこからか何かの雄叫びのようなものが聞こえた。

4人の動きがぴたりと止まる。

「・・・・・でもないみたい。」

情けない声で、エアリスは言った。





雄叫びを上げながら現れたのは、全身水色の気味の悪いモンスターだった。

もちろん平和な日本で育ったにとって、モンスターなど見たこともなかったし、

むしろモンスターの存在を考えたこともなかった。

弟がやっているRPGゲームで少し見たことがあるくらいだ。

まさか目の前に現れるなんて思いもしなかったは、ペタンとその場に座り込んでしまった。

「てゆうか・・・、まともじゃないわ、この世界・・・。」

「おいっ!そんなところに座り込むな!邪魔だ!そこにいるのなら少しは戦え!」

クラウドの声が飛ぶ。

は慌てて立ち上がろうとしたが、腰が抜けてしまっていて立つことが出来ない。

はっきりと、クラウドの舌打ちが聞こえた。

今、自分が足手まといになってしまっていることくらい、すぐにわかった。

クラウド達は、このモンスターを倒すつもりなのだ。

けれど。

こんなモンスター、見たこともないのに。

そんなモンスターの前で、勇敢にも戦え、なんて無理な話だ。

今のは、立ち上がるさえ出来ないというのに。

足手まといになんて、なりたくないのに。

は、目の前に迫るモンスターを呆然と見つめていた。







―――――――――― 炎を・・・・・ ――――――――――







声が、聞こえた。

誰?

は問う。

返事は返って来ない。

炎?

は問う。

返事は、返って来ない。





「ファイアッ!!!」

は、両手を前に突き出し叫んでいた。

瞬時に光が自分の手の先に集まったかと思うと、その光は炎と化し、モンスターを襲った。

赤い炎がモンスターを包み込む。

そんな光景を、は呆然と見つめていた。

いや、だけではない。

クラウドも、ティファも、エアリスも。

今目の前で起こった光景を、呆然と見つめていた。

モンスターの雄叫びが下水道内に響き渡る。

クラウドはハッと気付くと、大きな剣を両手で掴み、声を上げながらモンスターに切り掛かった。

ものすごい衝撃。

モンスターの雄叫びは更に大きくなり、クラウドは剣をもう一度振り上げ、モンスターを切り付けた。

グロい光景だと、素直に思った。

は少し眉を寄せ、モンスターが消滅するのを見つめていた。




モンスターが完全に消滅すると、クラウドは振り返ってを見つめた。

そして、口を開く。

「お前・・・、どうして魔法を?」

「あれって魔法だったの?」

はキョトンとしたまま答える。

意図的に言葉を口にしたのではない。誰かが自分に何かを伝えた。

その言葉が、するりと口から出て来ただけなのだ。

確か自分は、ファイアと唱えた。

なるほど、だから炎が手から放たれたのか。

「今が唱えたのは炎の呪文だわ。マテリアもなしにどうして・・・。」

ティファが呟く。

エアリスはに近寄り、の耳を見つめてから言った。

「これ、マテリアよ。ほら、の耳のピアス。私達が使ってるマテリアよりも随分小さいけど、

間違いなくマテリアだわ。両耳についてる・・・見た限りでは、炎と氷のマテリアだと思うけど。」

マテリア。またわからない単語だ。

「ねぇ・・・マテリアって、何?」

・・・マテリアを知らないの?」

ティファが訝しげに尋ねる。はこくんと頷いた。

マテリアどころか、魔法というものの仕組みだってよくわかっていないのに。

ティファは不信そうにを見つめ、口を開く。

「・・・・・・聞いていい?」

「何?」

「・・・は・・・どこから来たの・・・?」

は一瞬ティファを見つめたまま硬直した。

SFみたいな経路。そんな経路を、素直に話せるだろうか。

交通事故に遭って、気がついたら異世界にやって来てました、なんて。

ティファの目は真剣だ。誤魔化せるものではない。

が返答に困っていると、エアリスが言った。

「・・・とりあえず、その話は歩きながらにしましょう。柱の方も心配だし、ね。」

エアリスが言うと、ティファはハッとして顔を上げた。

「そうだわ・・・マリン・・・バレット・・・スラムの人達・・・・」

「諦めない、諦めない。柱、壊すなんてそんなに簡単じゃない、でしょ?」

エアリスが励ますと、ティファは幾分安心したような表情を見せて、頷いた。

クラウドがチラリとを見ると、は不安そうな顔をしていた。





下水道を出るために梯子を上がると、そこには廃棄処分になったたくさんの列車がある場所に出た。

まだ列車のところどころの電気はついているものの、もう役目を果たし終えた列車だということは

一目瞭然だった。

列車は、車輪が壊れていたり、屋根が壊れていたり、必ずどこかが壊れている列車ばかりだ。

・・・話してくれるよね?」

ティファがに問う。

はしばらく迷っているように視線を彷徨わせていたが、やがて諦めたように頷いた。

頷いたとき、耳のピアスがキラリと光った。

「・・・話すけど、お願い、笑わないで欲しいの。多分私の話・・・信じられないと思うから・・・。」

「笑ったりしないよ。」

エアリスが優しく言うと、は少し笑みを浮かべて話し出した。

「私は・・・こことは違う、別の世界から来たの。

交通事故に遭って、そして気がついたらコルネオの屋敷にいた。

こんなことになるなんて、全然考えもしてなかったわ・・・。」

「別の・・・世界?」

はこくんと頷く。

「モンスターとか、魔法とかがこの世界にはあるみたいだけど、私の世界にそんなものなかった。

皆平和に暮らしてて、そりゃ犯罪とかは毎日絶えずあったけど・・・

この世界ほど危険な場所じゃなかった。」

エアリスもティファもクラウドも、何も言わずにの話を聞いていた。

黙って、ただを見つめていた。

「どうやったら元の世界に帰れるのか、とか、全然わからなくて・・・。」

声のトーンが少し下がる。不安は隠し切れない。

と、エアリスが尋ねた。

「ひとつ聞きたいんだけど・・・、の世界には、魔法とかないって言ったよね?

さっきどうして魔法のことを知らないのに、魔法が唱えられたの?

それに、そのピアス、マテリアはどこで手に入れたの?」

「このピアスは、私が小さい頃に母からもらったものよ。

魔法が唱えられたのは・・・、声が、聞こえたの。」

「声?」

は少し考える素振りを見せる。

「なんて言うんだろう・・・、ざわざわしてる中から、誰か一人が私に「炎を」って伝えた。

それで、気付いたら私は魔法を唱えてた・・・って感じかな。」

ティファとクラウドは顔を見合わせている。

が、エアリスは少し驚いたような顔をしてを真っ直ぐに見つめている。

エアリスは言った。

「ねぇ・・・、そのざわざわって音・・・どこか、透き通ってるような感じはある?」

「うん。なんだろう・・・どこか、神秘的な感じ・・・。」

エアリスは一度目を閉じると、改めてを見つめた。

エアリスの真っ直ぐな瞳に、一瞬は硬直する。

静かに、そっとエアリスは口を開いた。

・・・あなた、もしかしたら古代種・・・かもしれない。」

エアリスの言葉に、よりも誰よりも、クラウドが一番驚いた。

が驚かないのも無理はない。

は、古代種という言葉を知らないのだから。

いや、正確には聞いたことがある言葉だったが、意味までは知らないのだ。

この世界に来る前、セフィロスとかいう人物が言っていた。

古代種の魂を持つ、何も知らない裏切り者・・・と。

セフィロスは、のことをそう呼んだのだ。

「ねぇ、私からも聞いていい?」

は尋ねる。エアリスが頷いたのを見て、は聞いた。

「あの・・・古代種って、何?それから・・・セフィロスって人、知ってる?」

「セフィロスだと!?」

叫んだのはクラウドだった。

は一瞬身を竦ませ、何事かとクラウドを見やる。

「何故お前がセフィロスを知ってる!?」

「私・・・その人に呼ばれてこの世界に来たの。クラウド・・・セフィロスって人、知ってるの?」

が聞くと、クラウドはハッとして罰の悪そうな表情を浮かべた。

そして、小さく呟く。

「・・・お前には関係ない・・・。」

は少し傷付いた顔をして、俯いた。

「古代種っていうのはね、」

エアリスが言う。

「遥か昔、星から星へ旅を続けた民。 別名セトラとも呼ばれているわ。

セトラは星と話をすることが出来たとも言われていて、今ではもう絶滅してしまった民よ。」

エアリスは重々しく頭を振った。



それから、はこの世界の話を聞いた。

この世界は、神羅カンパニーという会社に動かされているということ。

神羅カンパニーは、魔晄エネルギーというものを星から吸い上げ、星を痛めつけている。

その神羅カンパニーのある都市、それがミッドガル・・・今現在自分達がいるこの場所である、と。

ミッドガルは下の町と、上のプレートで出来ている。

そして、今自分達が向かっているのは下の町の七番街で、神羅カンパニーは七番街の柱を壊し、

上のプレートを七番街に落とそうとしているという話も。

プレートが落ちてしまえば七番街は崩れ去る。そこに住む人々も、死んでしまうかもしれない。

それを防ごうとしているらしい。

「それで・・・マテリアっていうのは?」

「魔晄エネルギーが凝縮されたもの。マテリアを使うと、魔法を使うことが出来るの。」

大体この世界のことはわかった。

またわからなくなれば、エアリス達に聞けばいい。



 




列車墓場を抜け、7番街の柱の前へやって来たとき、ティファが声を上げた。

「間に合った! 柱が立ってる!」

全員の視線が上へと向く。そして全員が安堵の息をついた。

柱はしっかりとその姿を見せていた。無事、間に合ったのだ。

だがしばらくして、クラウドがハッと耳をすます。

「待て! 上から・・・・・聞こえないか?」

ティファとエアリスは顔を見合わせる。

はクラウドと同じように耳元に手を当て、軽く目を閉じた。

そして困惑した顔でクラウドを見つめる。

「・・・・銃声・・・・?」

が言った瞬間だった。

柱の上から、人影が降ってきた。

ドスンと音がして、落下した人物は呻き声をもらす。

かなりの高さから落ちたようだ。

「大丈夫か?・・・・ウェッジ!!」

クラウドが驚愕の声を上げる。

上から降ってきた人物は、クラウドとティファの知り合いだったようだ。

ウェッジと呼ばれた人物は苦しそうな表情を浮かべたまま、けれど微笑んでいた。

ウェッジは言った。

バレットが上で戦っている。手を貸してやって欲しい。迷惑をかけて、すまない。

クラウドに、そう告げた。

クラウドは唇を噛み締め顔を上げると、ティファに言った。

「登るぞ!」

ティファは顔を上げ、しっかりと頷いた。

「エアリス! ウェッジを頼む。」

、エアリス、お願い。この近くに私達の店『セブンスヘブン』があるの。

そこにマリンっていう名前の小さな女の子がいるから・・・・。」

ティファが何を言わんとしているのか、すぐにわかった。

は頷き、「必ず安全な場所へ連れて行くから」と告げる。

ティファは安心したようにを見つめ、柱に近寄っている野次馬達に叫んだ。

「ここは危険です!皆早く柱から離れて!7番街から離れて!」

ティファの声を聞くと、皆慌てたようにその場から離れていった。

クラウドとティファは頷き合い、プレート支柱の螺旋階段を登って行く。

その姿を見送ってから、エアリスとは動き出した。

ひとまずティファの言っていたセブンスヘブンへ。

マリンという女の子の救助を。

ウェッジも連れて行こうとしたのだが、本人が「足手まといにはなりたくない。自分は大丈夫だから」と

言うので、しぶしぶながらもその場に安置しておいた。

エアリスとはセブンスヘブンに向かって、走り出した。





ガタンッと乱暴に店のドアを開けると、一人の女の子がびくっと身を竦ませたのがわかった。

柱からそう遠くない場所に、ティファの店セブンスヘブンはあった。

とエアリスは店の中に入ると、女の子を見つめてから顔を見合わせた。

そして、ゆっくりと尋ねる。

「マリンちゃん、ね?」

「お姉ちゃん達、誰?」

否定しないということは、間違いないのだろう。

はしゃがみ込み、マリンの視線に自分の視線を合わせて口を開く。

「私達はティファに言われてあなたを助けに来たの。今、外では大変な事が起こってるのよ。

だから、私達と一緒に逃げよう。」

「たいへんなこと?」

「そう。行きましょう、マリンちゃん。」

が真っ直ぐに訴えかけると、マリンには通じたみたいだ。

マリンは頷くと、差し出したの手をしっかりと握った。

は微笑み返し、マリンの小さな手を握り返す。

、早く!」

エアリスの声に頷き、はマリンの手を引いて駆け出した。






エアリスの案内で到着した場所は、エアリスの自宅だった。

家の中へ入ると、エアリスの母親が驚いて迎えてくれた。

は小さく会釈をし、エアリスを見つめる。

「お母さん、マリンを預かってくれる?」

「いいけど・・・一体何があったんだい?そちらのお嬢さんも紹介しておくれ。」

エアリスは頷き、を見つめて言った。

「お母さん、この人はさん。私のお友達。」

「初めまして。です。」

が言うと、エアリスの母親は少し目を細めた。そして小さく頷く。

「お母さん、7番街が大変なの。神羅が7番街の柱を壊して、プレートを落下させようとしてるわ。」

「神羅が・・・。」

小さく呟くと、エアリスの母親は目を伏せた。

「今クラウド達が戦って、なんとか防ごうとしてる。マリンはクラウド達の知り合いの女の子よ。

7番街は危険だから、安全な場所にと思って連れてきたの。」

「なるほどね・・・。事情はわかったよ。マリンちゃん、ゆっくりしてお行き。」

「うん、ありがとう、おばさん!」

マリンは微笑むと、嬉しそうにエアリスとを見つめた。

エアリスの母親は少し微笑んで見せ、に言う。

「それにしてもあんた酷い格好だねぇ。よっぽど大変だったんだろう?」

言われては自分の格好を見やった。

そして顔を赤くする。

すっかり忘れていた。

コルネオの屋敷で着替えさせられた黒いドレスは、あちこち破けてボロボロになっており、

走り回ったためかどろどろに汚れていた。

おまけに髪の毛もくしゃくしゃだ。

「そのままじゃ何も出来ないだろう?エアリス、服を貸しておやり。」

「うん、、来て!」

「えっ?えぇっ?」

は訳もわからないままエアリスに手を引かれて家の二階、エアリスの部屋へと連れ込まれた。

ふと見ると、マリンもニコニコしながらついて来ている。

エアリスは部屋のドアを閉めると、部屋のタンスへと向かった。

「う〜ん、動きやすい方がいいかな〜?あ、こんなのどう?」

エアリスが取り出したのは、ワインレッドのボトルネックの長袖シャツと、黒いミニスカートだった。

シャツの袖は大きく3本のスリットが入っている。

「うん、似合いそうだよ、ほら!」

エアリスは笑顔でに洋服を差し出す。

だがは洋服とエアリスを見比べて目をぱちくりさせているだけだ。

お姉ちゃん、きっとすっごく似合うよ?」

マリンも言う。

はマリンを見つめ、少し困ったように洋服を手に取った。

エアリスとマリンは笑顔でを見つめている。

そんな様子を見て、はおずおずとその洋服に着替えた。

着替え終わったを見て、エアリスは言う。

「すっごく似合ってるよ!可愛いよ〜?」

「そ、そんなことないよ・・・。」

「そんなことなくない!その服、にあげるよ!とても似合ってるから、プレゼント!

・・・って、私のお古で申し訳ないけど。」

エアリスは苦笑した。

「そんな、悪いよ・・・。ちゃんと自分で服買ったら、返すから・・・!」

はその服、気に入らなかった?」

「ううん、とっても好きだけど・・・。」

「なら決まり。いらないなら捨てちゃってもいいから。ね、もらって?」

は言葉に詰まった。

だが、すぐにクスリと笑って頷く。

「ありがとう・・・。ありがたく、着させてもらうね。」

「靴は下にある茶色いブーツを履くといいよ。比較的動きやすいしね。」

エアリスは櫛を取り出し、の髪を梳かした。

の髪はすぐにサラサラになり、軽くまとまった。

エアリスはに微笑んで、櫛を仕舞う。

と、その時だった。

何やら、下が騒がしいことに気付いたのだ。

エアリスとは顔を見合わせる。

「マリンちゃんはここにいて。」

「うん、わかった。」

マリンは頷く。

頷いたのを確認して、エアリスとは階段を下りた。

「何だい、あんたは!」

エアリスの母親が叫ぶ。エアリスの母親の前には、黒いスーツに身を包んだ男が立っていた。
 
黒スーツの男は肩を竦め、顔に不敵な笑みを浮かべる。

「おや、私のことをお忘れですか。神羅のタークス、ツォンですよ。エアリスを渡していただきたい。

ここに入って行ったのは目撃済みです。反論するというのなら、この家を破壊してもよろしいですが?」

隣のエアリスが小さく息を呑むのがわかった。

エアリスは慌ててツォンの男の前に飛び出す。驚く母親を制し、エアリスは言った。

「やめてっ。私、あなた達と行くから。」

「物分りがいいな。」

「エアリスッ!」

は叫び、エアリスの隣に飛び出した。

エアリスはを見ずに男に言う。

「古代種の私が必要なんでしょう。」

は一瞬動きを止める。

エアリスから、古代種については聞いた。そして、もしかしたら自分が古代種かもしれないということも。

けれど、エアリスが古代種だという話は聞いていない。

驚いてエアリスを見つめるを一瞥し、エアリスは苦笑した。

「・・・良いだろう。この家には手を出さないと約束しよう。」

エアリスは頷く。そして、ツォンに近寄った。

「エアリスッ!」

「大丈夫、心配しないで、。」

エアリスは優しく微笑み、ツォンとともに家を出て行った。

慌ててはエアリスとツォンを追いかける。

が、家の扉を開けて瞬時に目を瞑った。ものすごい風が吹き込んできたのだ。

微かに目を開けて見ると、そこにはヘリコプターに乗ったエアリスとツォンがいた。

は叫ぶ。

「エアリス―――――ッ!!!」

の叫び声はヘリコプターの離陸音にかき消された。










<続く>



=コメント=
今回は全然ラブラブしてません(笑
というより、エアリスとの友情UP?(笑
んー・・・そうだなー・・・。
次回はクラウドとの大喧嘩かな!(爆笑
いや、大喧嘩というより、口論?
・・・いや、やっぱりケンカだ、間違いない(笑
で、多分レノと出会います。
・・・神羅ビル突入まで行ければ、の話だけど(笑