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I love my life.

そんな言葉もあるけれど、私は今、この生活に満足しているわけじゃない。

私は東京都内の大学に通うごくごく普通の女子大生だ。

友達に恵まれ、成績に恵まれ、これ以上の幸せはない、と誰もが言う。

けど私はそうは思わない。

彼氏いない暦21年。生まれてこのかた、彼氏というものが出来たためしがない。

告白は何度ももされた。というか、現在進行形で告白される毎日である。

しかし心が動かない。つまらない。いや、くだらないとさえ思える。

そう、私は恋というものをした事がないのだ。今まで歩んできた21年間、1度も。

私は、男に興味がなかった。

友達は「胸が熱くなるような、そんな感覚」が“恋”だというが、そんな感覚になったことなんて

ないし、恋をしようと思うこともなかった。

けれど、だからなのかもしれない。

つまらない日常。スリルを感じない日常。

恋をすれば、少しは楽しくなるのだろうか。








I love my life.









「俺・・・ずっとのこと、気になってたんだ。」

またいつものパターン。広い校内の一角で、夕暮れの背景で。

ただ、そのシチュエーションが少し違って見えたのは、その告白をしてくれている相手の男の子が

かれこれ13年ほど仲良くしていた幼馴染だからだろうか。

彼とはずっと小さい頃からの友達だと思っていた。家は近所だったし、いつも一緒に遊んでいた

思い出もある。

けど、それ止まりだ。恋愛感情を持つことは出来ない。

当の告白をされていた(21)は、少し溜息混じりに答えた。

「・・・悪いけど・・・。」

「お前が毎日のように告白されてるのは知ってる。それを全部断ってるってこともな。

けど、おしえてくれたって良いだろ。どうして断るのか、くらい。」

真剣な瞳で尋ねてくる幼馴染の顔を見てしまったら、話すしかないではないか。

普通に、本当のことを話してしまえばいい。けど、話したくない。

そんなことを考えながら、は自分の目前の幼馴染を見つめた。

藤倉冬也。

ひとつ年上の、頭良し顔良しの贅沢者。

運動神経もバツグンで、と対になるように告白されまくっているモテモテ君だ。

しかし冬也もと同じで、告白されてもそれを全て断っている。

には、それが疑問だった。

何故冬也は告白を断ってしまうのか。

人のことを言える立場ではないことくらいわかっているが、とても疑問に思っていた。

「・・・冬也だって告白されてるのにいつも断ってるでしょ?どうして?

それをおしえてくれたら、私もおしえてもいいよ。告白を断る理由。」

「俺は以外考えられなかったんだ。それくらい・・・いつの間にか、のことが好きになってた。」

随分とストレートな告白をしてくれる。

しかし、こんなにカッコイイ表情で告白されているというのに、胸のときめきは一向に訪れない。

恋っていうのは・・・胸がどきどきして、顔が熱くなって・・・。

「・・・ごめん。どんなに冬也が私のこと好きでいてくれても、私は冬也の気持ちに応えることが出来ないよ。」

「どうして?」

真剣な瞳。整った目鼻立ちの青年は、今、真剣にの答えを待っている。

の口から出るであろう言葉を、真剣に待っている。

は重々しく口を開いた。

「・・・つまらないって、思っちゃうの。恋って、何が面白いんだろうって。ときめきってなんだろうって。」

わからない。恋とはどういうものなのか。恋とは一体何なのか。彼氏、または彼女とは何なのか。

彼氏といると安心する。そんな相手は、家族だけで充分だ。

辛いときに支えてくれる。そんな相手は友達でいい。

全て、彼氏の代わりになる者は身近にいるのだ。

なのにどうして、皆は恋をしたがる?彼氏や彼女を作りたがる?

「・・・なら、2ヶ月。」

「え?」

冬也の瞳は真っ直ぐにを捕らえて、放そうとはしない。

「2ヶ月だけでいい。俺と付き合ってくれ。2ヶ月間付き合って・・・それでもまだ恋とか、

彼氏や彼女の存在について理解できないっていうのなら、その時は俺もはっきりと諦める。

もちろん、2ヶ月たたないうちに嫌気が差したのなら、その時にの答えを聞かせてくれていい。」

2ヶ月。たった2ヶ月。

その2ヶ月で、は自分で答えを見つければ良い。

もし見つからなければ、その結果を冬也に話せばいい。

もしかしたら、この2ヶ月で自分が変わるかもしれない。

ならば。

「・・・2ヶ月で、いいなら・・・。」

「それじゃ、決まりな。」

夕暮れ。

は、2ヶ月間という期限付きで、幼馴染の藤倉冬也と付き合うことになってしまった。

そのことを弟に話すと、仰天して、けど予想していたように笑っていたけど。







「っ、えーっ!?」

「何、その反応は。」

休日のファーストフード店。

家族やカップル、中高生で賑わっているファーストフード店のひとつの席から叫び声が上がった。

ガタンと音を立てながら彼女は立ち上がり、オーバーなリアクション付きで目の前の友人を見つめている。

「あんた、それマジ!?」

「嘘でこんなこと言うと思う?」

はオーバーなリアクションの友人を見つめ、溜息をついた。そして、ハンバーガーを口へと運ぶ。

島本加奈。高校時代からの一番の悪友・・・失礼、親友である。

加奈はゆっくりとイスに座り直すと、身を乗り出した。

「うそうそっ、本当にあの藤倉くんと付き合ってるの!?」

「2ヶ月限定ね。どうせ断ることになるだろうけど。」

元より付き合う気などなかったのだ。

けれど冬也のあの目を見ていると、少しくらいなら付き合う気になってしまった。

あの目は、間違いなく本気の目だったから。

本気でぶつかって来ている相手に対して、投げやりになるのは失礼というものだ。

だから、2ヶ月間だけでも付き合ってくれという申し出を承諾した。

そして、その告白の日から既に2週間が過ぎている。

親友の加奈には出来るだけ早く話しておきたかったのだが、いろいろと事情もあり

2週間が過ぎた今日になってしまった。

しかし加奈は気にした様子を見せずに、興味津々な顔でを見つめている。

「へぇー、どうりで。最近藤倉くんと一緒にいることが多いなぁとは思ったんだけど。」

ナゲットをかじりながら加奈は言った。

確かに、この2週間は冬也と一緒にいることが多かった気がする。

登下校をともにしたり、昼食を一緒に食べたり。お弁当を作ってあげたこともある。

けれどもやはり、心は動かなかった。

つまらない、くだらない。そんな想いが交差しているだけ。

「好きになろうって努力はしてるの。けど、友達や家族を好きって想う気持ちとどう違うのかわからなくて。

・・・結局、友達と接するのと同じ気持ちなのかもしれないなって思うんだよね・・・。」

「なるほどねー。」

加奈は頬杖をつき、を見つめた。

はそんな加奈を見つめ返し、小さく溜息をつく。

加奈は、にこっと微笑んだ。

の思うようにやってみなよ。それで駄目なら、仕方ないし藤倉くんもわかってくれるって。

断るって前提でものを考えるんじゃなくて、OKするって前提でものを考えてみるのもいいかもよ。」

いつもは子供っぽい加奈なのに、こういうときはドキッとするほど大人っぽく見える。

は同じように少し微笑み、小さく頷いた。

「それはそうと、加奈はどうなの?最近彼と。」

「えへへ、ラブラブ絶好調だよー?」

幸せそうな加奈の顔を見ると、少し羨ましくなる。

これが恋の力なのかなって考えて、少し恋がしたくなる。

「加奈、可愛いよ。」

「えー?何、急に。そりゃ私は可愛いけど。」

冗談に決まってるでしょ、なんて言って二人で笑って。

やっぱり、友達というのはいいものだなって、思った。




夕方になって加奈と別れたは、商店街をブラブラと歩いていた。

デニムのロングスカートに風を孕ませながら歩くのが気持ち良くて、は少し腕を広げた。

長めの黒い髪が風になびく。夕日で髪が赤く輝き、それが自分を少し変える気がした。

「・・・さてと。早く家に帰らなくちゃね・・・。」

それは、がくるりと方向転換をして歩き出した直後に起こった。



――――― ・・・の地が・・・



は振り返る。

何かが聞こえたように思った。しかし、振り返った先は普通の商店街だ。

自転車に乗った主婦や、ランドセルを背負った子供達が目の前を通り過ぎて行く。

は首を傾げた。

「空耳・・・かな?」




――――― ・・・約束の地・・・セフィ・・・は・・・・・




は振り返る。

今度ははっきりと聞こえた。

ノイズ混じりのような、かなり聞き取りにくい声。

だが、はっきりと聞こえた。




――――― ・・・来い・・・




呼んでいる。

誰かが、自分のことを呼んでいる。

一瞬頭の中に映し出された銀髪の人物。

何かを考えたわけじゃない。いきなり、頭の中に鮮やかに映し出されたのだ。

片翼の天使が。闇の神、片翼の天使の姿が。



ふと顔を上げると、横断歩道の向こう側に冬也が立っているのが見えた。

きっと商店街に買い物に来たのだろう。

冬也と目が合う。その瞬間、冬也が驚愕の表情を浮かべたのがわかった。

っ!!!!」

空気を引き裂くような、冬也の叫び声が聞こえた。

どうしたの?冬也。

どうしてそんなに慌てた表情を浮かべているの?

そう疑問に思った瞬間、ものすごい衝撃がを襲い、の意識は暗転した。








――――― ・・・の地が・・・


誰?

は疑問符を投げかけてみる。

姿の見えない相手に。声だけの相手に。

空を掴むような感覚だが、確かに声は耳に届いている。


――――― ・・・約束の地・・・ライフストリーム・・・セフィ・・・は・・・


誰?

再び尋ねる。今まで聞いたこともない単語が連なっている。

約束の地。ライフストリーム。そして、恐らくは人の名前である“セフィ”という単語。

“セフィ”の後にまだ単語の続きがあるようだが、そこまでは聞き取れない。


――――― ・・・この時を待っていた・・・


低い声が、良く響くはっきりとした声で告げた。

異空間を漂いながら、はどこかで理解していた。

先ほど商店街で交通事故に遭い、自分は少なくとも大怪我を負っただろう、と。

だが、大怪我を負ったはずなのに、今自分は無傷で知らない場所を漂っている。

これは、恐らくは何かの始まり。

SFみたいで、信じられないという気持ちは大きいけれど。

けれど、事実は恐らく変えられない。


――――― ・・・お前を・・・待っていた・・・


誰?私に話し掛けているのは、一体誰なの?

は尋ねた。

遠ざかりそうな意識を必死に掴み、声の主に尋ねた。


――――― ・・・我が名はセフィロス・・・。この星の正統なる後継者・・・


私を待っていたって、どういうこと?

は尋ねた。声の主、セフィロスは答える。


――――― 異世界の魂を探していた・・・古代種の魂を持つ、何も知らない裏切り者のお前のことを。


裏切り者?

にはわからないことだった。

知らない単語が耳に聞こえて、やや混乱しそうになる。

古代種。それが一体なんなのか、には見当も付かない。


――――― 約束の地に向かえ・・・全ての魂が集まる場所へ・・・


その最後の言葉を聞き、の意識は完全にブラックアウトした。












――――――――――――― ・・・俺は・・・、お前を・・・・ ――――――――――――













どこかから、セフィロスとは違う男性の声が聞こえた気がした。












<続く>



=コメント=
はい、超中途半端!(爆
FFキャラセフィロスしか出てません(待てコラ)
次回は・・・多分コルネオが出てきます(激しく待て)
クラウド達が出てくるかは疑問・・・。
いや、出すよ!?出さなきゃ意味ないもんねっ、はっはっは(おい
ただ恋愛の方向に進むのはかなり後になってからだと思われ・・・。
最初はクラウドとの仲も悪いかも(笑