何がどうなってこんなことになったんだっけ?







確か私は何人かの女の子に呼び出されたんだよね?






心の鎖






「ちょっと、聞いてるわけ?」

女子のキツい声がかかる。は少々重い気持ちを抱えながら、

女子達の言葉に耳を傾けていた。

「ねぇ、ふざけるのもいい加減にしろよ。あたしらホントにマジムカついてるし。」

ふざけているつもりなどさらさらない。こっちは大真面目で話を聞いているのに。

女子の人数は5人。5人に囲まれて、は散々なことを言われまくっていた。

何故?自分がこんなところに呼び出されて、散々なことを言われなくてはならない?



事の始まりは放課後の掃除の時だった。

教室の掃除をしていると、何人かの女子達が紙飛行機をに向かって飛ばしたのだ。

頭にコツンと命中した紙飛行機は、の足元に落ちた。

は訝しげな表情で首を傾げたが、紙飛行機を手に取り、中を開いて見てみた。

中は手紙になっていた。間違いなく宛だ。

『話があるから体育館裏まで来い』

これだけの短い文面である。

絶対に何かをされる。そうは思ったが、シカトをして寮に帰る気にもなれなかったは、

仕方なく掃除を終わらせた後体育館裏へ向かったのだった。



そして現在に至る。

女子達の言い分はこうだった。

曰く、「クラウド先輩とスコール先輩、ジタン君とティーダ君には近付くな」という在り来たりな話で。

何故だと聞き返せば「あんたなんてあの人達につり合わない」とのこと。

つまりはヤキモチを焼いているようである。

「ねぇ、さっきから何にも言わないけどさ、あんたマジでちゃんと聞いてる?」

「あー・・・もちろん。」

は曖昧に頷く。実はいろいろと考え事をしていて、ちゃんと聞いていなかったりする。

「もう一度言うけどさ、あんたとクラウド先輩とかスコール先輩とか、全然つり合わないの。」

「そうそう。ジタン君とかティーダ君とかとも全然つり合ってないから。」

「いつもいつもあの4人の傍をハエみたいにうろついてるけどさ、いい加減にしてよね。」

ハエみたいに、とは、随分とキツい言い方をする。

は小さく溜息をついた。

「自分とあの4人とがつり合ってるとか勘違いしちゃってるでしょ。」

「勘違いすんなっつーの。あの4人は特別なんだから。」

今までのなら、こんなことを言われたらすぐにヘコんでしまっていただろう。

だが、今のは以前のではない。

クラウドとスコール、ジタンとティーダにたくさんの勇気をわけてもらった。

だからもうヘコんだりしない。

「・・・つまりは、私にヤキモチを焼いている、と。そういう意味だって取ってもいいんですか?」

鳩が豆鉄砲を喰らったような表情をして、5人の女子が沈黙した。

まさか自分達がいろいろと説明したことを、「ヤキモチ」という一言で片付けられるとは

思わなかったのだろう。

「つ、つけ上がるんじゃないわよっ!!!」

「別につけ上がってなんかいません。あの4人は、私の大切な友達です。」

「友達っ!?ハッ、ふざけんなよ!どうせあの4人に近付いてちやほやされるのが目的なんでしょ!」

それはアンタだろ、とはさすがに言えなかった。

「・・・どうでも良いですけど、私に八つ当たりとかしないであの4人に話し掛けてみればいいどうです?

くだらないことにヤキモチ焼いて、こんなところで寄って集ってると、余計に嫌われますよ。

あの4人、こういう陰口とか袋叩きみたいなこと、一番嫌うから。」

ぐっと言葉に詰まり、女子達はを睨み付けた。

どうでも良いが、早く解放して欲しい。

「・・・それじゃ、私今日用事がありますので。」

行こうとするを、女子達は腕を掴んで引き止める。

相当悔しいらしい。

「うるさいっ!!いいから約束しろよ。あの4人には今後一切近付きませんって!!」

「・・・。」

は黙ったまま自分の腕を掴んでいる女子を睨み付ける。

女子は一瞬たじろいだが、すぐにの視線を受け止めて睨み返した。

「・・・もう一度言います。あの4人は私の大切な友達です。近付くとか近付かないとか、

それであなた達は満足出来るんですか?近付くなって言われて

そう安易に出来るようなことじゃないと思いますが。皆、私の友達ですから。大切な、友達ですから。」

「黙れっ!!」

女子5人の平手打ちが飛ぶ。はそれを受けても尚、睨み付けたままだった。

「お前みたいなハエ女が、一番ムカつくんだよっ!!!」

「ヘェ、ハエ女ってのことかよ?」

女子達の表情が凍り付いた。後ろから聞こえた声に、凍り付かずにはいられなかった。

はキョトンとした顔で女子達の背後を見つめ、やはりキョトンとしながら言った。

「ジタン。ティーダ。」

そう、そこに立っていたのは、ジタンとティーダだった。

ジタンは腕を組み、足を鳴らしている。

ティーダはズボンのポケットに手を突っ込み、壁に寄り掛かっていた。

女子達はどうしたら良いのかわからない、といった顔でジタンとティーダを見つめ、顔を青くしている。

「こういうのって、俺達から見てもかなりムカつくけど?」

「そうそう。寄って集ってさ、子供みたいなことするんスね。」

女子達は必死に言い訳を考えているようだ。

「わ、私達はただっ・・・ジタン君とティーダ君のためを思ってっ・・・。」

「そうか。なら俺達はそういうのがうざったいだけだと言っておく。」

今度はジタンとティーダが立っている場所とか逆方向から低い声が聞こえた。

女子達は泣きそうな顔で振り返る。予想は的中した。

「ク、クラウド先輩・・・スコール先輩・・・。」

逆方向からやって来たのは、クラウドとスコールだった。

ジタンは軽く手を上げてクラウド達に言う。

「よー、遅かったじゃねぇか。」

「お前達の到着も遅かったと俺は思うが。」

呆れたようにクラウドは言い、改めて女子達に向き直る。

女子達は5人で寄り添い、涙を浮かべてクラウド達4人を見比べている。

「・・・俺、うざいヤツって嫌いなんだ。」

「・・・陰口を叩くヤツも嫌いだな。」

「同感。」

「同じく。」

クラウドとスコールが言い、ジタンとティーダが同意した。

4人のキツい一言に、女子達は「うわーん!」と泣き声を上げながらその場を立ち去って行った。

残されたはポカンとその後ろ姿を見送り、首を傾げた。

、大丈夫ッスか?」

ティーダがに歩み寄りながら声をかける。は振り返り、コクンと頷いた。

「もちろん。ホッペがちょっと痛いけどね。」

平手打ちを受けた頬は赤い。けれどさして気にした様子も見せず、は言った。

ジタンとティーダは「おお、よしよし」と言いながらの頭を撫でる。

クラウドとスコールは安堵したように小さく溜息をついた。

「全く、マジでセコイことするよなぁー。」

「ホントッスね。正直、あいつらは前々からうざかったんだ。」

4人の話では、あの女子5人組は随分と前から自分達に近付こうとする生徒を

と同じように呼び出し、いろいろとしていたらしい。

陰でそんなことをされれば、誰だってうるさく思うだろう。

今までは我慢していたが、が呼び出されたのを見て堪忍袋の緒が切れたらしい。

「ま、何はともあれ無事で良かったッスよ。」

「大袈裟だよ、皆。」

ティーダの一言に、は苦笑を浮かべた。

ただ呼び出されて在り来たりなことを言われただけなのに、とは思う。

「・・・そうとも限らないぞ。」

スコールが言う。

「以前あの5人にユウナとガーネットも怪我をさせられている。」

は眉をしかめた。

何故ユウナとガーネットが?

が首を傾げていると、ジタンが言った。

「ホラ、ユウナとガーネットって俺達と仲良いだろ?クラウドとスコールはともかくとして、さ。」

「俺とスコールはともかくとして、の部分は余計だ。」

眉間にシワを寄せてクラウドが突っ込んだ。

ジタンは苦笑を浮かべ、再びに語り出す。

「なんだかわからないが、ユウナとガーネットも前にあいつらに呼び出されて、

コンパスの針で怪我をさせられたんだ。やっぱり「ジタンとティーダに近付くな」って

話だったらしいがな。」

淡々とスコールは語る。

そんなことを言われて、ユウナとガーネットも困っただろう。

困るに決まっている。ユウナとガーネットはジタンとティーダの幼馴染なのだから。

仲が良くて当たり前である。

「そんなことが・・・あったんだ・・・。」

「ああ。で、ここだけの話なんスけどね・・・。」

ティーダがチッチッと指でを誘った。

は首を傾げながらティーダに耳を貸す。

「その時、ジタンがマジギレしたんだぜ。俺もあそこまで怒ったジタンを見たのはあれが初めてで、

あれ以来あんなに怒ったジタンを見たことはないッスね。」

いつも温厚なジタンが、そこまで怒るとは、相当な怪我をさせたのだろう。

話によると、その怪我の所為で女子5人組は一週間の停学を申し渡されたらしい。

そこまで大事な話だったとは、も思わなかった。

「だからきっと、今回のことで一番安心してるのはジタンッスよ。

が大怪我しなくて良かったって思ってるんじゃないかな。」

ティーダの一言に、はハッとジタンを見つめる。

ポケットに手を突っ込み、首を回しながら立っている彼。

そんなジタンが、何故か一瞬とても大人びて見えた。

「ま、惚れた弱みってヤツッスね。」

「はい?」

ぼそっと呟いたティーダの一言に、は首を傾げて振り返る。

ティーダはニカッと笑いながら「なんでもないッスよ」と付け加える。

は最初眉をひそめていたが、やがてポンッと手を打つと言う。

「あぁ、ユウナとガーネットのこと?もしかしてジタンって二人のどちらかのコト好きなの?」

ティーダは笑顔のまま硬直した。

なんて鈍いんだ。

急に動かなくなったティーダを見て、は不思議そうに首を傾げた。

「??どうしたの?」

「・・・い、いや・・・なんでもないッス・・・。」

駄目だ。方向音痴の上、まさか天然だったとは。

ここまでは、ティーダも予想しなかった。

は眉間にシワを寄せ、頭の上にハテナマークを浮かべてティーダを見やっている。

「あっ!!!いけないっ!!!」

突然が大声を上げた。

ジタンとティーダ、クラウドとスコールは何事かとを見つめる。

「どうした!?」

何かあったのかと、クラウドが問う。

は切羽詰った様子で言った。



「今日、スーパーの安売りの日ってこと、忘れてたっ!!」






商店街。

自転車のベルやら、店の人達の声やら、賑やかな通りである。

は無事スーパーで目当てのものを買い、寮へ向かっているところだった。

幻想学院の寮では、朝と夕の食事しか出ない。

幻想学院は給食ではなく各自弁当を持ってくることになっているため、

寮生活をしている生徒は自炊をしたりパンやらおにぎりやらを買って行くのだ。

大概の生徒は皆金持ちの家の出だ。弁当は買って行くことが多いが、

は出来るだけ金を節約するため自分で弁当を作っている。

「はぁ・・・。」

自炊しなければならない自分が何故だか虚しく思えてしまう。

だが、きっと料理の腕もいつか役に立つ時が来るだろう。・・・多分。

が気持ち的に沈んでいる時だった。ソイツに話し掛けられたのは。

「ヘイ・ユー!暗〜い顔してますな〜!」

声を掛けられ、はふと振り返る。

そこには、色とりどりの風船を持った一人の・・・・

「・・・着ぐるみ?

「ってちょい待ちや。いきなり「着ぐるみ?」はないんとちゃいまっかー?」

大阪弁をしゃべる着ぐるみ。

白い何かの動物の上に、猫のぬいぐるみが乗っかっている。

そして、大阪弁は猫のぬいぐるみがしゃべっている。

どういう仕組みになっているのか実に興味深い。

「どないしたんや?そんなに暗い顔してると、せっかくの可愛さが台無しやで。」

「いや、別に・・・。」

「その制服を見ると、あんさん幻想学院の生徒やろ?贅沢なやっちゃなー!」

「・・・そうですか?」

鬱陶しいと感じるが、それと同時に憎めないような気がする。

着ぐるみは言った。

「あ、ウチはケット・シーって言いますねん。よろしゅーな。」

「あ・・・こちらこそ。」

とりあえずペコリとお辞儀をしておく。ケット・シーは満足そうに笑うと、ひとつの風船を差し出した。

「何に沈んでるんか知らんけど、元気出しや。あと、ラグナによろしく言うといてーや。」

は首を傾げた。

「ラグナ?」

「ん?あんさん、自分の学校の校長も知りませんのん?あっちゃー・・・そらアカンわ。」

「い、いえ。知ってますけど、校長先生とあなたは知り合いなんですか?」

「ま、古い知り合いっちゅーとこやな。」

「そうなんですか・・・。」

ケット・シーは笑顔のまま言う。は風船を受け取り、笑顔を返した。

「あんさん名前は?」

です。」

「ほな、はん。また会えるとええな。」

ケット・シーは笑顔でに言うと、手を振りながらその場を去って行った。

はその後ろ姿を見送り、微笑む。

楽しい人だった。ケット・シー。

次に商店街に来た時、彼の姿を探してみよう。

きっと、また商店街で風船を配っているだろうから。









「けっとしぃ?って、もしかして商店街で風船配ってる着ぐるみのこと?」

寮に帰り、部屋に戻ったを出迎えたのはティファだった。

が商店街でのことを話すと、ティファは目を丸くした。

「あのキャラ人気なんだよね。なんかわからないけど子供受けするとかで。」

「へぇ・・・。」

ティファは部屋に備え付けの小さな冷蔵庫からアイスを取り出しながら言う。

はベッドに腰掛け、その様子を見つめていた。

「でも、ケット・シーがラグナ校長の知り合いだってことは知らなかったな。

そういえば、はラグナ校長に会ったことあるの?」

聞かれ、は首を横に振る。

「ない。」

「だよね。」

答えが元々わかっていたかのようにティファは言う。

「ま、ラグナ校長ってあんまり校内とか歩き回らないしね。

あ、初等部の校舎はよく歩き回ってるみたいだけど。子供には人気みたい。」

「へー・・・。」

「初等部の校舎を歩き回ってたら、多分会えるんじゃないかな。

クジャ先生とかなら、そこらへんのことよく知ってそうだね。」

「なるほどね。」

はごろんとベッドに横になった。

ティファは自分のベッドに腰掛け、テレビの電源を入れる。

寮のテレビだけあって普通のテレビと比べたら小さいテレビだが、別に差し支えがある訳でもない。

≪昨日の銀行強盗事件ですが、犯人は未だ逃走中です。≫

テレビから流れてくるニュースキャスターの声。無感動な声は、嫌でも耳に入ってくる。

ティファはアイスを舐めながら、ベッドに腰掛けてぼーっとテレビを見ている。

だが、次のニュースに二人は関心を示した。

≪では、次のニュースです。今日の午後3時半ごろ、●●町の○○市で殺人事件がありました。≫

「えー・・・ちょっとヤだ。この近辺じゃない?」

「本当だ・・・。」

もベッドから身を起こし、テレビを見つめる。

≪殺されたのはジェルガ・さん。犯人は未だ捕まっていません。≫

「・・・・っ!?」

は驚愕した。

?どうしたの?」

「お父さん・・・!?」

は口を押さえている。

ティファはテレビを見て、そして初めてが何に驚いているのかを察した。

「ま、待ってよ・・・・・・。」

「そんな・・・嘘よっ!!」

はベッドから立ち上がる。

何も信じたくない、とでも言うように、わなわなと拳を震わせている。

「嘘よっ!!絶対に嘘よ!!」

っ!!!」

は部屋を飛び出して駆けて行った。

ティファは止めようと手を伸ばしたが、思いも虚しくティファの手は空を切る。

がどこに行ってしまったかなんて、予想も付かない。

もう時間は11時を回っている。こんな夜中に飛び出して行った

ティファは青褪め、慌てて携帯を取り出した。

リダイヤルでユウナの番号を呼び出す。

『はい、もしもし?』

「ユウナっ!?私、ティファ!!」

『あれ、ティファ?どうしたの?こんな夜遅くに。』

「お願い、ジタンかティーダの携帯番号おしえて!!」

『・・・何か、あったの?』

切羽詰った様子のティファに、ユウナは冷静に問い掛ける。

が飛び出して行っちゃったの!詳しいことは後で話すわ、お願い!!」

余程大変なことだと察したのだろう。ユウナは冷静にティーダの携帯番号をおしえた。

ティファは礼を言い一度電話を切る。そして、すぐにティーダの携帯に電話をかけた。

しばし呼び出し音が響き、そして青年の声が電話の向こうから聞こえてくる。

『もしもし?』

「ティーダ!?私、2年C組のティファ!」

『ティファ?あ、もしかしてと同室の?』

「そうよ!!ティーダ、お願い、を探して!!」

しばしティーダは沈黙した。

・・・どうかしたのか!?』

「今、ニュースを見てたの!!この近辺であった殺人事件を見て、が飛び出して行っちゃったのよ!

どうやら、殺されたのはのお父さんらしいの!!どこに行ったか予想も付かないわ!

こんな夜中だし、危険よ!!」

ティーダが息を飲んだ音が聞こえた。

だが、ティーダはすぐに了解してくれた。

『・・・わかった。それじゃ、俺は今からジタンとクラウド、スコールに電話かけて、

とにかくを探してみるッス。そっちは、が帰ってきたらこっちに電話してくれ。』

「わかったわ・・・。」

そう言い、ティファは携帯を切る。

パタンと携帯を閉じ、そして膝を抱え込んだ。

・・・。」






「ティーダっ!!」

ティーダは校門前を集合場所に指定した。

最初に到着したのはクラウドとスコールの二人組だった。

ティーダは手を振り、二人に駆け寄る。

がいないって、どういうことだ!?」

「どうやらの親父さんが殺されたらしいんスよ。それで飛び出して行ったらしいッス!」

慌てた様子のクラウドに、ティーダは簡単に説明をする。

クラウドとスコールは顔を見合わせ、小さく呟く。「まさか」と。

「何か心当たりがあるんスか?」

「いや違う。・・・さっき、俺達もニュースを見てたんだ。

その時、「ジェルガ・が殺された」ってニュースがあって・・・。

同じ名字だとは思ったけど、まさかの父親だとは思わなかった。」

クラウドは俯く。スコールもそれにつられ、視線をそらした。

「おーい!」

「ジタン!!」

ジタンがこちらに向かって駆けて来る。ジタンは息を切らせて立ち止まり、現在の状況を聞く。

、一体どこに行っちまったんだ!?」

「わからない。ここに来る前、の家を訪ねてみたがが来た様子はなかった。

俺達の心当たりはの家だけだ。そこが違うとなると、探しようがないぞ。」

スコールが言う。ジタンは唇を噛み、吐き捨てるように「くそ」と呟いた。

が行きそうな場所。

そんなもの、すぐには思い付かなかった。

もう時間は12時を回っている。

ティファから連絡がないということは、まだは戻っていないのだろう。

「・・・とにかく探すっきゃねぇだろ!そう遠くには行ってないはずだ。」

「ああ。方向音痴のあいつが遠くに行けるとは思えないな。」

今は、の方向音痴さが救いだ。

「なぁ、俺達は走ってでしかを探せないけど、先生達なら車で探してくれるんじゃないか?」

ジタンが言い出す。ティーダとクラウドはギョッとしたが、スコールは頷いた。

少しでも早く見つけるための手段だ。

「いいかもしれない。ヴィンセント、セフィロスに連絡を取れれば・・・。」

「・・・って、なんでその二人なんだ?スコール。」

「ヴィンセントは俺とクラウドの担任。セフィロスはお前らの担任だろう。」

ジタンとティーダは顔を見合わせ、そしてしっかりと頷いた。

その頷きを見て、スコールはヴィンセントとセフィロスの電話番号をメモに書いて手渡す。

「それじゃ、俺とスコールは先に行く。お前達も先生に電話したらすぐに探してくれ。」

「わかった。任せろ。」

ジタンとティーダが携帯を取り出すのを見て、クラウドとスコールは駆け出した。








それぞれの想いを、胸に抱いて。









<続く>


=コメント=
またまた急展開(爆笑
ぅおえー、マジかい!?(汗
まさかこんな方向に話が進むとは思わなかった(爆
アハハ。
さんが今現在どこにいるのか、私にもわからないや!
唐突に書くからこういうことになるのよ、私!!(笑
先生達も出動ー!どうなるんだ、この先!(笑 [PR]動画