「ねぇ、私泳ぎたいな。」






甘い声でこんな風に言われてしまっては、断る事なんて出来やしない。







ああ、むしろ君を海に連れて行きたい。






さんさんと輝く太陽の下で、一緒に泳ごうじゃないか。







ただ欲しいと思っただけ







クラウド達一行は、現在コルタ・デル・ソルへやって来ていた。

目的は休息を兼ねた海水浴。の提案だった。

まさかセフィロスを追っている最中にコルタ・デル・ソルへと戻って来るとは思わなかったが、

丁度良い休息になると決定した事だった。

今日は太陽の光も強く、そして暑い日だ。海水浴には持って来いの日である。

クラウド達は、宿屋ではなく別荘に泊まることにした。


「ね、せっかくだからクラウドも泳ぎに行かない?」

クラウドが別荘のベットの上で寝転がっていると、水着姿のがやって来た。

白い肌に水色のビキニがよく似合っている。

滑らかな肩、スラリとした腕、くびれた腰、長く伸びた美しい生足。

クラウドは目を見開き、顔を真っ赤に染めるとくるりと寝返りをうった。

は首を傾げている。

「お・・・・俺はいいよ、泳ぐんだろ?」

「えー?でもクラウドがいないとつまらないよー。ヴィンセントは泳がないって言ってるし。」

ティファやユフィは既に泳いでいる。もすぐに向かおうと思ったのだが、

やはりクラウドがいないとつまらない。

「ねっ、行こうよ!水着くらい持ってるでしょ?」

「えっ、いや、その。」

持っている。確かに持っている。だが、クラウドはそれどころではなかった。

滅多にお目に掛かれないの水着姿。可愛い、可愛過ぎる。

クラウドは理性を抑えるのに必死だった。

「クラウド〜〜。私、クラウドがいないと不安なんだけどなぁ。」

「へ?」

クラウドは頓狂な声を上げた。は指をこめかみに当て、悩む仕草をしている。

「海と言えばナンパじゃない?ほら、ティファやユフィがナンパされた時、男の人がいないとちょっと心配。」

待て。激しく待て。

自分がナンパされた時のことは考えていないのかっ!?

クラウドは考え直す。こんなに可愛いなのだ。ナンパをされない方がおかしいに決まっている。

つまり、ほぼ確実にはナンパされると考えていいだろう。

まだされてないようだが、水着姿の女の子に話し掛けない男などいない。

まずい。非常にまずい。

このままではがナンパされ、男に連れ去られてしまうかもしれない(考え過ぎ)

「・・・わかった。じゃあ、着替えてから行くから・・・先に行っててくれ・・・。」

「ほんと?ヤッタネ!それじゃ、先に行ってるから早く来てね!」

は嬉しそうな笑みを浮かべると、宿を出て行った。

クラウドは溜息をつく。そして、水着を取り出して着替え始めた。



は浜辺でティファとユフィを眺めていた。パラソルの下で、水平線を見つめている。

ティファとユフィは水を掛け合いながら楽しげな声を上げていて、微笑ましい光景だ。

「ねー、カーノジョっ。ナニ?一人??」

上から声が降って来て、は顔を上げた。

そこには、日に焼けた黒い肌の青年が3人、笑顔を浮かべてを見つめていた。

は笑みを返した。

「今は一人だけど・・・」

「なに?マジで?こんな可愛いコほっとくなんて、他の男ら全然駄目だねー。」

「ねぇねぇ、俺らと一緒に泳がない?ダイジョーブだって、優しくしてあげるからさ★」

の言葉を遮って男達が言った。

は困った。一体何が言いたいというんだろう?この男達は。

「いえ、あの、結構です。」

「寂しいこと言わないでさぁー。ほら、俺らと行こうぜ。」

「は、放してくださいっ。」

男はの手を掴んだ。そのまま無理矢理引っ張ろうとする。

はその手を振り解こうとした。けれど、男の力は思った以上に強く、放してくれない。



「邪魔。」

低い声がした。ふと振り返ると、すぐ後ろにクラウドが立っていた。

腰に手を当て、男達を睨み付けている。

「あぁ?人様の恋路を邪魔してんのはオマエの方だろーが。」

「人様の女に手を出してんのはあんたらだろ。の手を放せ。」

男達はクラウドを睨み付け、渋々手を放した。だが、まだ去ろうとしない。

「・・・まだ何か用か?もう一度言う。邪魔だと言ったんだ。」

「けっ・・・やってらんねーぜ。」

男達は吐き捨てるように言うと、その場を去って行った。

クラウドは軽く溜息をつき、の隣に座り込む。

「大丈夫だったか?」

聞かれて、はハッとクラウドを見た。

そうだ、今クラウドは助けてくれたのだ。呆然としてしまってすっかり忘れていた。

「ごめんっ。ありがと、クラウド。助かったよ。」

にっこりと微笑むに、クラウドも笑みをこぼした。


やっぱり案の定、馬鹿なナンパ野郎が気安くに話し掛けて来やがった。

・・・まぁ当たり前か。この可愛さだもんな、そうだよな。

そんなことをクラウドが考えていると、赤いマントをはためかせヴィンセントがやって来た。

「やっほー、ヴィンセント。暑くないの?」

蒸し暑いというのに、黒い服に赤いマントまで羽織っているヴィンセントを見て、が苦笑を浮かべる。

自分がこんな格好をしたら、きっと暑くて気が狂ってしまうに違いない。

「別に・・・暑くはない。それよりも、大丈夫だったか?」

「何が?」

「先ほど男どもに声を掛けられていただろう。」

ああ、とは苦笑を浮かべた。遠目で見えていたのだろう。

大丈夫だと告げると、ヴィンセントはそうか、と返した。

素っ気無い返事だが、心配していたのだろう。ヴィンセントはクラウドを睨み付けた。

クラウドもヴィンセントを睨み返す。

「間抜けが。もっと早くを助けてやれなかったのか。」

「遠目で見ていたあんたに言われたくないね。」

ただでさえ蒸し暑いのに、そんな中で白熱した睨み合いが繰り広げられている。

はそんな二人を見て、やはり苦笑するしかなかった。




ヴィンセントは一足先に別荘に戻ると言い、去って行った。

はクラウドの手を取り、浮き輪を片手に海へと乗り込む。

海に入ると軽く水が飛んだ。浮き輪を浮かべ、その浮き輪の中に入る。

浮き輪の端に腕と顎を乗せると、クラウドも浮き輪の外側から腕と顎を乗せた。

顔が近い。互いの吐息が掛かる距離だ。

浮き輪は揺れ、その度にチャプチャプと水面が音を立てている。

「・・・こうしてると、気持ちいいな。」

「・・・うん。」

太陽の暑さと海の冷たさがとても気持ち良い。気を抜くと眠ってしまいそうだ。

「こういうのも、たまにはいいよね。」

「ああ。」




「ありゃー?あの二人、なんか良い雰囲気だよー?」

浜辺に上がったユフィが達を見て言った。ティファも視線を移し、ユフィに同意する。

「ホント・・・。なんかすっごく良い雰囲気。」

「クラウドやるじゃん。いつもは素直になれなくて一歩手前で悩んでるくせにさー。」

ティファは笑った。

そうなのだ。いつもクラウドは一歩手前で悩み、そして諦めている。

だから滅多にと良い雰囲気になることはないのだ。

けれど、今はとても良い雰囲気。もしかすると、もしかするのかもしれない。

「クラウド行けー。このままを落とせー!」

「ちょっとユフィ、クラウドに聞こえるわよ?」

かなり距離は離れている。恐らく聞こえることはないだろう。

けれど、もしもクラウドに聞かれたとしたら、後でユフィはタコ殴りの刑になるに違いない。

「大丈夫だって。二人の世界に入っちゃってるんだし、聞こえるわけないよ。」

確かに。

相変わらずとクラウドは良い雰囲気のまま、海に浮かんでいる。

ユフィとティファは静かにそんな二人を眺めていた。




「・・・ねぇ?ティファ。」




「・・・何?ユフィ。」




「あのさ・・・アタシ、今あの二人が恋人同士に見えるんだけど・・・。」




「・・・同じコト考えてた・・・。」





新しいカップルが誕生するのも、近い未来だろう。

ユフィとティファは顔を見合わせ微笑んで、別荘へと引き上げていった。




吐息が掛かるほど近くに顔があって。





でもそれは、ただ欲しいと思っただけ。






<完>

=コメント=
まぁた良くわからない内容じゃのー(汗
最後の終わらせ方が無理矢理なんだよな・・・。
こんなので良かったのだろうか・・・。
むーん・・・満足出来ぬぞえ!!(何語?)
リクエスト内容は逆ハーのクラウド落ち、
水着、ナンパ、別荘でお泊り要素を入れてギャグ、最後は甘く。
・・・だったのに・・・(汗
これは甘くない・・・ような・・・(汗
すみません・・・・(汗汗汗

飛鴻サマのリクエストでしたっv [PR]動画