任務がなくて。




のんびり出来て。





そんな日が、たまにはあっても良いんじゃナイ?





日常風景







「うーん、ヒマだー。」

は、自分の部屋で窓の外を眺め、呟いた。


青い空。白い雲。輝く太陽。

いつもは任務があってバタバタと忙しい毎日なのに、

こうして珍しく任務がない日は暇でたまらない。

ベットに寝転んで読書したり。そんなのは飽きてしまった。

部屋のテレビでTVゲームでもする?なんだかそんな気分じゃない。

訓練施設でモンスターと戦って自分を鍛える?・・・面倒臭い。

さて、なにか面白い出来事はないものか。

「・・・仕方ない。ガーデン内でもブラブラするか・・・。」

ブラブラしてどうにかなるというわけではないが、きっと面白いことに出会えるだろう。

はベッドから起き上がると、窓を閉めて部屋から出て行った。





「よう、ゼル。」

部屋を出て第一に出会ったのはゼルだった。

ゼルはに気付くと、笑顔で駆け寄ってきた。

「お、じゃねぇか。どうしたんだ?」

「いや、どうしたんだっていうか・・・暇だから、ブラブラしてるだけ。」

ゼルはいつものように笑った。

この男はいつでも元気だ。は内心思い、苦笑した。

「で、スコール知らないか?」

が言う。なんとなくだが、スコールをからかいたい気分だ。

なんと言ってもこのバラムガーデンは広い。人を一人捜すのだけでも大仕事だ。

ゼルは腕組みをして考え込む。

「さぁなー・・・。あいつ、いつもあちこちをフラフラしてるから。」

「だよな。図書館にいると思えば食堂にいたり、保健室にいたり、あちこちをフラフラしてるもんな。」

スコールは出現率が低い(ぇ

「ま、適当にブラブラ捜してみるよ。」

「ああ。じゃあな。」

ゼルと別れ、再び歩き出す。

まずは、図書室にでも行ってみるか。



図書室はいつものことだが静かだった。

まぁ、静かにしなければいけない場所なのだが、話し声ひとつしない。

は図書室に入り、スコールの姿を捜した。だが、見当たらない。

その代わり、リノアの姿を見つけた。それとなく声を掛けてみる。

「よっ、リノア。」

声を掛けると、リノアが振り返った。

「あ、。」

「何してんの?」

はリノア読んでいる本を覗き込んだ。

そして、固まった。

「・・・なに、それ。」

「え?見てわかるでしょ?黒魔術の本vv」

黒い。なんて黒い本なんだ。

よりにもよって何故黒魔術?リノアはオカルトが好きだったのか?(違

「・・・リノアってこういうのが好きだったのか?」

「ううん。ただなんとなく読んでるだけ。」

「あっそ・・・。」

なんとなく少し安心した。リノアが黒魔術ファンじゃなくてよかった。

本気で黒魔術が好きだとリノアが言ったら、一体自分はどういう反応を見せただろうか。

考えたくもない。

「なぁ、スコール知らないか?」

「スコールなら、さっきまでここにいたけど・・・。なんかどっかに行っちゃったわよ。

多分訓練施設じゃないかなー?大抵、スコールっていつも訓練施設にいるし。」

なぬ?

それは初耳だった。スコールはいつもガーデン内をフラフラしていると思っていたのに。

「ほー、訓練施設か。・・・んじゃ俺も行ってみるとするか。」

「うん、行ってらっしゃい。」

リノアと別れ、は訓練施設に向かった。




訓練施設はやはりというか、小人数の生徒しかいなかった。

この訓練施設は随分と強いモンスターが出現する。そのためか、ここで出る怪我人も少なくない。

もっと奥にスコールはいるのだろうか?

そう思いながら、とりあえずガンブレードを構えておく。

どこからモンスターが飛び掛かって来てもすぐに対処できるように、だ。

別に警戒するほどにとってモンスターは強くないが、(いや、むしろ雑魚だ。)

油断をすると怪我に繋がりかねない。

と、見知った人物の後姿が目に入った。

「スコール」

声を掛ける。人物は振り向いた。

顔にある大きな傷。スコールだった。

「・・・か。」

スコールはいつもの無感動な顔で言った。

別にスコールに「じゃないか!」と目を輝かせて言って欲しいわけではないが、

愛想がなさ過ぎるのもなんだか寂しい。

まあ、それがスコールらしいところなのだが。

「やっほー。何してんの?」

「見てわからないか?」

「モンスター相手に訓練?」

スコールは無言でガンブレードを構え直す。

はそれを肯定と受け取り、苦笑いを浮かべた。

「なぁ、スコール。せっかくの休日なんだしさ、もっと時間は大切に使えよ。」

「・・・大切に使っているつもりだが。」

いやそうじゃなくて、と突っ込みを入れ、は腰に両手を当てた。

「もっと有意義に使おうぜ。ってなことで、昼飯でも食いに行かねぇか?」

「・・・・」

スコールは呆れた眼差しでを見つめている。

どう話が飛んで昼食の話になるのだろうか。はニッと笑っている。

「・・・お前がただ食いたいだけだろう。」

「だから、お前も一緒に行こうぜって言ってんだよ。俺が奢ってやるからさ。」

スコールは溜息をついた。

その溜息を肯定と取り、は再び苦笑を浮かべた。





「いやー、ホントに暇だね、任務がない日ってのは。」

食堂のイスに座り、ハムサンドを頬張りながらが言った。

向かい側ではホットコーヒーを飲んでいるスコールの姿もある。

「・・・たまには、こういう日もいいだろう。」

「おろ?スコールにしては珍しい意見だね。どうかしたのか?」

スコールはカップを口に運びながら視線を逸らした。

・・・まさか、「と一緒に昼食が出来るから・・・」とは言えないだろう。

は首を傾げた。

「おぉ!息子よ!!こんなとこにいたのか〜〜vv」


ぶっっっ


スコールが噴き出した。

聞き覚えのある、間の抜けた声。はキョトンとして視線を食堂入り口の方へ向ける。

そこには、スーツに身を包んだ“あの男”が立っていた。

「ぃよう、ラグナじゃん。」

が片手を上げて言った。ラグナは爽やかな笑みを浮かべてこちらへ歩み寄ってくる。

「お、もいたのか。元気そうだなー。」

「ラグナは相変わらずみたいだな。大統領の仕事はいいのかよ。」

がケタケタと笑いながら言う。

スコールは黙ったまま俯いている。表情は読み取れない。

「でさ、ラグナは一体何をしに来たわけ?」

ラグナは「よくぞ聞いてくれた!」とでも言うように腰に手を当て、言った。

「ふふふ。将来のスコールのお嫁さんに花束を持って来たのだよ。」

「へーぇ。」

沈黙が流れた。

「・・・もしもし?スコールのお嫁さんだよ?」

「うん、それが?ってか、スコールの嫁って誰?」


鈍い。


鈍過ぎる。


「あー・・・うん・・・。」

返答が出来なくなってしまったラグナ。は首を傾げている。

「・・・・はい。」

ラグナはとりあえず、に花束を差し出した。

はキョトンとしたままとりあえずその花束を受け取り、黙っている。

「・・・は?」

「いや、だから」

は理解をしていない。

多分頭の中では、何故自分に花束を渡す?何の意味がある?などと考えているのだろう。

「・・・あー・・・。」

ラグナは困ったように視線を泳がせた。

は全く理解しておらず、眉をしかめながら首を傾げている。

「まっ!そういうことで!後は頼んだぞ、息子よ!!」

ラグナは「スチャッ」とブイサインを見せると、そそくさと去って行った。



「・・・ってちょっと待て!!この後俺にどうしろって言うんだ!!」

スコールは慌てて叫んだが、ラグナは既に姿を消していた。

は花束を見つめながら、頭の上にハテナマークを並べている。

スコールは脱力した。

どうしてここまで恋愛事になると鈍いのか。

いつもはモンスターの気配やら人の気持ちやらを察知出来るほど鋭いというのに。

「・・・ラグナ、一体なにしに来たんだろうな?」

「・・・俺が知るか。」

ま、いいか。花綺麗だし。

が笑って言った。


その笑顔を見て思う。

・・・今はまだ、この花束の意味は知らせなくても、いいか。

いつかきっと、俺の口から花束の意味を告げよう。

は、意味を聞いてどんな顔をするだろう?

殴られるかもしれないな。でも・・・。


俺は、そんなが好きだ。




「っ!?!?!?な、な、なっ・・・・////」

が驚いて飛び退いた。

「どうした?」

「どうしたじゃねぇだろ!!今、お前、な、何した?」

照れる。スコールはふっと微笑んだ。

微笑みと言っても、イタズラな笑み。は口をパクパクさせている。

「何って・・・頬にキスをしただけだが?」

「ばーろー!!何するんだよ!!全っ然意味わかんねぇ!!///」

真っ赤になりながら言われたって、怖くなんてない。

スコールは噴き出して、笑った。



≪スコール・レオンハート、・イオザム。シド校長がお呼びです。

至急、3階校長室まで来てください。≫


呼び出しの放送が入った。

とスコールは立ち上がる。

恐らく明日の任務の知らせだろう。明日からまた忙しくなりそうだ。

「そんじゃま行くか。班長!」

「・・・その呼び方はやめてくれ。」


そんな他愛ない会話をしながら、二人は校長室へと向かった。





<完>


=コメント=
うぉらーーーー!(何
どうだぁぁぁ!(何
ほのぼの&のんびり&甘・・・だったのに・・・(汗
これは・・・甘いとは言えない・・・よね?(汗
ごめんなさい・・・。ホントごめんなさい・・・。
しかも何故か途中でラグナが登場してるし(笑
満足できないよー!ホントごめんね!

依音ちゃんのリクエストでした♪ [PR]動画