こんなに、温かいものだったんだね。







そして、こんなに安らげるものだったんだね。







体温








「温かい・・・。」

「・・・ん・・・・?」

クラウドは、自分の腕の中で呟いたを見つめた。

は顔を上げてクラウドの瞳を見つめると、少し微笑む。

「クラウドの体温・・・。すごく、この温かさが心地良いんだ・・・。」

クラウドの胸に頭を預け、は言う。

そんなが愛しくて、クラウドはを抱き締める腕に力を込めた。





二人は結ばれた。

結婚とか、そういう意味ではなく。

壊れていたクラウドの心がひとつになり、本当の彼が戻ってきて。

そして、離れていた間に出来た溝を埋めるかのように二人は結ばれた。

哀しみも苦しみも、愛しさも。

全てを分け合うかのように、互いに求め合い、そして自分の気持ちを確認した。






私は、クラウドが好き。




俺は、を愛している。






気持ちに偽りはない。

自分の正直な気持ち。相手は、最愛の人。

互いに初めてではないが、やはり久し振りに体を重ねるというのは疲れるらしい。

ベッドの中で、抱き合って眠った。

もう離れたくない。二度と、別れたりしたくない。

その気持ちは、互いに同じだった。







・・・もし、セフィロスとの戦いで・・・俺が自分を見失ったら・・・。」

クラウドが言った。は顔を上げ、クラウドを見つめる。

「その時は、・・・頼むから。」

暴走してしまうかもしれない。

本当の自分は見つけた。もう、作り物のクラウドじゃない。それはわかっている。

だがしかし、わかっていても不安は拭い切れない。

もし暴走してしまったら。もし正気を失ってしまったら。

その時は、に全てを託したい。

「・・・私に、どうしろって言うの?」

困ったような怒ったような表情を浮かべて、はクラウドを見つめている。

クラウドは苦笑した。

「・・・その時は、俺のことはいいから・・・セフィロスを、」

「そんなの嫌。」

クラウドの言葉を遮り、は言った。

その瞳は真剣で、真っ直ぐにクラウドをとらえている。

「セフィロスを倒せばメテオは止まるかもしれない。私達はそのためにセフィロスを倒そうとしてるんだもんね。

世界が平和に戻って・・・復旧作業が始まって・・・。けど・・・」

は不意に目を伏せた。

「・・・けど・・・クラウドは?」

暴走した彼よりも星の平和を優先する戦い。そんな戦い、にとっては無意味。

「世界は平和になるかもしれない。けど、その時・・・クラウドはどこにいるの?」

どこに。

暴走をすれば、恐らくはヴィンセントが自分を殺すだろう。

正気に戻そうと必死になるだろうが、それでも駄目なときは、恐らく銃口を自分に向けるだろう。

そうなれば・・・自分は、きっとこの世にいない。

「・・・俺は・・・。」

「クラウド。私、そんなのは嫌。皆で生きて帰って来たい。皆で無事を祝って、良かったねって笑い合いたい。」

クラウドは言葉に詰まった。

は、クラウドを見つめたままである。

「クラウド、自分を信じて。もう自分を見失ったりしないよ。絶対に大丈夫。

例えクラウドがおかしくなってしまっても、決して見捨てたりしない。

一緒に戦おう。そして、一緒に帰って来よう。」

の言葉が、心に染みた。

が言うと、何故かそうしたくなる。

自分を、信じてみたくなる。

「クラウドは・・・こんなに温かいじゃない。」

クラウドの胸に手を置き、は言った。

鼓動の音。温かい体温。

今、生きている。


自分は、今・・・生きている。







。」

「ん?」

「・・・ありがとう。」






初めて二人が結ばれた日。

の体に新しい命が宿るのは、もう少し先の話。








<完>




=コメント=
あー、やっちゃったよ、ベッド話(爆
今回はかなり短め。
・・・R指定にしようか悩んだ。
元の構成は18禁。
「お前18歳じゃねーだろ!」というツッコミはナシで(爆
とりあえず表に置ける作品にしようとしたら、いまいちベッドだとわかりにくく・・・(汗
んー、R指定が書けるのはいつの日か(爆 [PR]動画