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その日は、いつもよりもずっと寒かった。



暖炉の火はついているというのに、ほとんど意味がないくらいに。




つないだ手





「ふぅ・・・寒い寒い・・・。って、あれ?」

現在クラウド達の一行はアイシクルロッジで休息を取っている。わざわざ寒い所で休息を取らなくても・・・とクラウドは思ったが、

女性陣が「あの綺麗な銀世界が見たい!」と言うので仕方なくアイシクルロッジへとやって来たのだ。

丁度クリスマスの時期と重なり、アイシクルロッジはいつもとは違う色に染まっていた。

一泊二日のアイシクルロッジでの休息。

雪は降ったりやんだりを繰り返しているが、それが幻想的に見えるのは間違いない。

仲間達は皆自由に行動を取っている。ティファやユフィあたりは雪をイメージしてデザインされたアクセサリーを

見に行っているのだろう。バレットやシド、レッド13は武器屋にいるかもしれない。

ケット・シーはいつものことながら部屋でゴロゴロしている。・・・というより、リーブが操作を放棄しているというのが正しいだろう。

クラウドとヴィンセントは・・・・。

「・・・二人とも、遊びに行かないの?」

宿屋のロビーで読書をしていた。

「・・・俺はいい。」

「・・・私もだ。」

「・・・どうして?」

沈黙。

まさか「寒いのが嫌だ」などとは言えないだろう。本心はそうなのだが。

ヴィンセントの場合だと「服が汚れるから嫌だ」なのだという。あの真っ黒と真っ赤な服のどこが汚れるというのだろうか。

「なんか外、楽しいらしいよ?たくさんお店が出てるんだってさ〜。」

楽しそうには語る。ヴィンセントは首を傾げ、に聞いた。

「・・・そういうは行かないのか?ティファやユフィ達ならアクセサリーショップにいるようだが。」

そう。そんなに楽しいのなら、が行けばよいのだ。なのにまだこうして宿屋で待機している。

その理由が知りたかったのだが、の言葉はクラウドとヴィンセントを対立させる大きな理由となる。

「私は寒いから保留。帰る時にちろっと寄るよ。今お金がないから見るだけになるけどね。最近アクセサリー欲しかったんだけど、

まぁ色々と無駄遣いをした私がいけない訳だし仕方ないのよね〜。雪の結晶のネックレス、すごく可愛いんだよ〜!」



ガタンッ



「「さぁ、行こうか。」」

「へっ!?」

急にクラウドとヴィンセントが立ち上がり、互いにの手を取る。クラウドは右手、ヴィンセントは左手を。

クラウドとヴィンセントは無表情だったが、内心では「こんなチャンスを逃してたまるか、マイハニー。」状態だった。

何が起こったのかよくわからないは素っ頓狂な声を上げ、クラウドとヴィンセントを見比べている。

「どどどど、どこに?」

「「もちろんアクセサリーショップに。」」

「えぇぇっ!?!?」

クラウドとヴィンセントの声が見事に重なる。実際、この二人は気が合うのではないだろうか。

だが残念ながら、「ハッピーアイスクリーム♪」と言っている暇など、ましてや余裕など二人にはなかった。

は顔を紅潮させて驚いている。それもそうだ。この状況で「マジマジ!?行く行く!」などと言える訳がない。

そういう性格じゃないし、いきなりのことで頭が混乱しているのだから。

クラウドとヴィンセントはを掴んだまま睨み合う。

「・・・クラウド、寒いから嫌だったのではないのか?」

「ヴィンセントこそ、服が汚れるから嫌だったんじゃないのか?」

無言の圧力。

睨み合っているクラウドとヴィンセントは、どう見ても怖い顔にしか見えない。しかもこんなに怖い顔をした二人を見たのは

ジェノバと戦ったとき以来だ。・・・つまり逆で考えれば、二人は現在無言で戦っているということなのだろうか。

は冷や汗だらだらもんである。この状況でどうしろというのだろう。

心の中で密かに叫ぶ。


――――お願いっ!皆帰ってきて〜!


「あーっ。クラウドとヴィンセントがを苛めてるよ〜!!」

祈りが届いた瞬間だった。

ユフィとティファが帰って来たのだ。三人の姿を見つけるなり、ユフィはそう大声を上げた。

ティファもクラウド達の不思議な姿を見て、呆れ眼になる。

「ちょっとあんたら、何してんのさっ。に何してんの〜!!」

はユフィのお気に入りなのだ。ユフィはクラウド達に近付くと、ばばっとを奪い返した。

そしてを抱き締めながら言う。

「アタシのに手を出そうなんて、100億年早いんだよーっだ。」

ベーっと舌を出しながら言うユフィ。そして、に向かって一言付け加えた。

「アタシ世界が終わるとしても、ぜぇぇったいにのマテリアは盗まないからねっ!」

何だか訳のわからん会話へと導かれてく気がする。

そこへバレットとシド、レッド13が帰って来た。とりあえず皆で食事を取ろうということになり、その場は解散となった。





次の日。

はいつもどおりに起床し、洋服に着替えて髪を梳かしていた。

の綺麗な青色の髪が丁寧に櫛で梳かされていく。もともとサラサラした髪なので、櫛で梳く意味はあまりなかったりする。

まだ少し眠い。目がはっきりと開いてくれないのだ。

部屋の中は暖房で暖められており、外に出るのが嫌なくらいだった。だから覚ましたい目も覚めないのだろう。

と、その時ノックが聞こえた。



コンコン



「はーい。」

まだ集合の時間にはかなりある。一体誰だろうか。

ドアノブを回して開けた扉の先に立っていたのは・・・・・?




金髪ツンツン頭のお兄さん。




黒ずくめの洋服に赤いマントのお兄さん。