今日は特別な日。







だから頑張って、腕によりをかけるのよ!!








ピアノ








「はぁっ!?お前今どこにいるんだよ!」

幻想学院高等部のある教室で、ジタンが携帯電話に向かって怒鳴った。

その怒鳴り声は教室に響き渡っている。だが、幸い今この場にいるのは事情を知っている者だけだ。

事情を知っているとティーダとスコールは、全員でため息をついた。

重々しいため息は、部屋の壁に吸い込まれて消える。


携帯電話の向こうからは、クラウドの声が聞こえている。

『どこにいるって・・・家にいる。』

「はぁ?なんで家?」

ジタンは素っ頓狂な声を上げ、

『・・・寝てた。』

そのクラウドの一言で、全員がずっこけた。

ジタンは気を取り直し、携帯電話に向かって更に怒鳴りつけた。

「お前なー!某恋愛シュミレーションゲームの王子みたいなセリフ言ってんじゃねぇよ!」

『・・・なんだ、その恋愛シュミレーションゲームって・・・。』

「そりゃ、とき○モGSに決まってんだろー?大体前から思ってたんだよな。お前王子に似てるし。」

『俺が知るか・・・。』

二人の会話を横目に、はこっそりとティーダに聞いてみる。

「・・・ねぇ、と○メモGSって、何?」

「ちょっと前に流行った恋愛シュミレーションゲームッスよ。それの王子が葉○珪っつんだけど、

その葉○がクラウドに似てるって話。」

「へぇ・・・そりゃ是非やってみたいゲームね。

・・・目の色が違うッス・・・。」

明らかに目の色が違うに脱力しつつも、ティーダはジタンとクラウドの会話に耳を傾ける。

ジタンはジタンで説得しようとしてるし、クラウドはクラウドで抵抗しているようだ。

「いいから今すぐ学校に来い!5号館の音楽室!」

『おいちょっと待て・・・今すぐか!?

だからそう言ってんだろーがっ!!

仮にも先輩にこの言い方はどうかと思った。

まぁ、今回は訳アリなのだ。仕方ないと言えば仕方ない。

「とにかく来い!いいなっ!」

『おいっ!ちょっと待ッ・・・』

ブチ。

ジタンは無理矢理携帯を切ると、無造作に携帯をポケットに突っ込んだ。

そしてに言う。

クラウド今から学校来るって。とにかくやろーぜ。

私には電話を無理矢理切ったように見えたけど。

クラウドは一言も「学校に行く」とは言っていない。

ジタンはアハハハと笑うと、「気にしない気にしない」と連呼した。

まったく、ジタンはお気楽人である。

「こうでもしないとクラウドだって学校に来ないだろ?いーんだって。」

「まぁ・・・そうだけど。」

納得してしまう辺り、ジタンの方がやや上手だったようだ。






「ったく・・・一体何だって言うんだ・・・!」

クラウドが学校の校門をくぐったのは、ジタンとの電話が切れてから約20分後のことだった。

夏休み真っ盛り。とはいえ、することもなく。

クーラーをガンガンにかけた部屋で、気持ちよく昼寝していたというのに。

急にジタンから電話がかかってきて、彼が言うには「とにかく学校に来い」とのこと。

叩き起こされた側としては、あまり寝起きが良いとは言えない。

ユフィは家でごろごろしたまま、「いってらっさい」の一言。

悔しいことこの上ない。

クラウドは少々ご機嫌斜めのまま、5号館への通路を歩いていた。

音楽室は5号館の3階。つまり、一番上である。

階段がやけに長く感じるのはどうしてだろう。



音楽室が近付いてきた。長い廊下を歩き、音楽室の扉に手をかけ、開ける。




パパンッ!




「うわっ!!」

大きな音が耳元でして、視界は色とりどりの紙ふぶきと紙テープで彩られた。

クラウドは驚きのあまり声を上げ、目を白黒させている。

「「「「ハッピーバースディ クラウド!!」」」」

よく辺りを見てみると、ジタン、ティーダ、スコール、そしての笑顔。

何がなんだかわからず、クラウドは呆然と突っ立っていた。

「クラウド、お誕生日おめでとう!」

が駆け寄ってきて言った。




そうか。

今日は何かの日だと忘れていたが、自分の誕生日だった。

夏の暑さのせいか、はたまたそれともただの思い過ごしか。

すっかり思い出せずにいた。




「クラウド?」

がクラウドの顔を覗き込む。

クラウドはハッとして気付き、辺りを見回した。

「え・・・あ・・・」

「なんだよ〜、クラウド、自分の誕生日も忘れてたんスか?」

図星を突かれて、クラウドはウッと言葉に詰まった。

そんなクラウドの様子を見て、達は吹き出して笑った。

「ほら、クラウドこっち!」

に手を引かれ、教室の真中に連れて来られる。

クラウドはまだ混乱したままだが、皆お構いなしだ。

「これは俺からな!」

ジタンが最初にクラウドにプレゼントを手渡す。

クラウドは受け取り、プレゼントをまじまじと見つめた。

「腕時計。クラウド、前の腕時計が壊れたって言ってただろ?」

細かいところに気付くのは、ジタンの良いところだ。

「次は俺ッス!」

ティーダがプレゼントを差し出した。

「銀の十字架のアクセサリー。これは一応首飾りッスよ。」

「ティーダぁ、首飾りって言い方変だぜ?普通ネックレスだろ?」

「ネックレスって言うと、なんかやけに女性っぽくないッスか?」

冗談を言い合い、笑う。

クラウドもそれにつられ、微笑んだ。

「次は俺だな・・・。」

スコールが一歩前に出て、無表情のままクラウドのプレゼントを渡した。

「・・・マグカップ。この前お前のとこでマグカップ一個割っちまったから。

「ってちょっと待て!あのマグカップを割ったのはお前だったのか!?」

クラウドの家であったマグカップ破損事件。犯人はスコールだったらしい。

その場は爆笑の渦に巻き込まれた。

一頻り笑った後、全員の視線がに集まる。

は困ったような表情をして、ジタン達に問い掛けた。

「ねぇ・・・本当にやるの?」

「何言ってんだよ、やるって決めただろ?」

うーん、と唸り、は「よし」と意気込んだ。

クラウドは首を傾げる。何をするというのだろう。

はくるりとクラウド達に背を向けると、傍のグランドピアノに腰掛けた。

そして、息をついてからピアノの鍵盤に手を置き、美しいメロディーを奏で始めた。

クラウドはハッと息を飲み、メロディーに聞き惚れた。

どこかで聞いたような、美しい旋律。

懐かしいような、どこか遠くから流れてくるような、そんな旋律。

その場で、クラウドは佇んだまま旋律を感じていた。




がピアノを弾き終わり、4人からは拍手がかかる。

は微笑み、クラウドに一枚のMDを渡した。

「はい。今弾いた曲が入ってるMD。最近クラウド忙しそうだったから、

ストレスたまってるんじゃないかと思って。この曲聴いて、リラックスしてもらえたらいいなぁ。」

苦笑にも似た笑いを浮かべる。「こんなプレゼントでごめんね」と言うに、

クラウドは首を横に振る。

「いいよ。・・・すごく嬉しい。ありがとう、。」

「おーい、俺達には礼の言葉もナシかよー?」

「そこー、二人の世界を作らないようにー!」

ジタンとティーダの茶々が入り、クラウドとは顔を赤く染める。

そして、互いに吹き出して笑った。


「よし、それじゃこれから皆でどっか行こうぜ!」

「ゲーセンにでも行くッスか?」

「まずは何か食べに行こうよ。」

「何食べに行く?」

「ファーストフードでいいだろ。」

5人はそれぞれに言いながら、音楽室を出て行った。




今日は8月19日。

大好きな人の誕生日。







<完>



=コメント=
というわけでクラウド誕生日ドリームでした(意味不明
それにしてもクラウドの誕生日って11日?19日?(笑
それとも兄弟?(爆笑
ちなみにが弾いた曲は、FF7ピアノコレクションズのFF7メインテーマです。
明希妃もこれに挑戦中なんだけどね・・・なんと言っても難しい!
なんだいこのオクターブは!!三連譜の嵐がキツイし!!
だからところどころアレンジ入れてみたり(笑
あと戦う者達も難しいよねー・・・。
CD欲しいよー!CD聴きながら練習したいな・・・。
そういえば、何故誕生日ドリームがFF7ではなく幻想学院なのか。
アンサー 幻想学院の方がやりやすいから(爆
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