ワタシハ・・・









イマ、ドコニイルノ・・・・?








遠い記憶








何かを感じた。

ただ、それだけのことだったのだ。

何の音もしない場所のはずなのに、鼓動の音が聞こえた。

だから、無いはずの“目”を開けて、辺りを見回した。

辺り一面白の世界。

どこにも何も見当たらなくて、そこには自分しかいない。

しかし。

どうもおかしい。

自分は、あの時セフィロスとともに光の中に葬られ、今では魂だけの存在のはず。

「・・・どうして・・・?」

魂だけならば体などない。

だから目を開けることなど出来ないし、しゃべることなど絶対に有り得ない。

けれど今自分は確かに目を開け、そして無いはずの“口”でしゃべったのだ。

驚いた。

自分には、手があり、足があり、体があり、肩を見てみれば青い髪が見えた。

「・・・人・・・間・・・?」

今、自分は確かに存在していた。魂としてではなく、確かな“人間”として。

そしてその姿は、消えてしまったはずの“”の姿だった。

「私・・・!?」

『そう。、お前は今そこに存在している。』

ハッとして振り返った。

聞き覚えのある低い声。聞き間違いなどするはずもなく。

「セフィロス・・・!」

自分とともに光に消えた人。だが、その人もそこに存在していた。

あの時と全く変わらぬ姿のままで。

『驚いたようだな。』

くつくつと笑いを漏らすセフィロスは、何故か優しいセフィロスには見えなかった。

最後の決戦の時のセフィロスと、同じ表情をしている。

「セフィロス・・・これは、一体どういうことなの・・・!?

確かに私達は、もう過ちは犯さないと誓い・・・そして、ともに消えたはずよね・・・!?」

『何を動揺している?動揺する必要など、どこにもないではないか。』

冷たく言い放つセフィロス。

は、鋭い目でセフィロスを見据えたまま動かなかった。

「話をはぐらかさないで。いいから、私の質問に答えなさい。」

ここで根負けするわけにはいかない。訳もわからないままで負けるわけにはいかないのだ。

セフィロスは嘲笑うような笑みを浮かべ、歩み寄ってきた。

。お前はもう一度生き返ることが出来る。この私とともに。』

一人称が“俺”ではない。ということは、やはり冷たいセフィロスだということだ。

「・・・世界で、何かが起こっているということね?」

『そういうことだ。私達が目覚める世界は、“あの日”から2年の時が過ぎている。

・・・クラウドや、お前の仲間達も健在だ。』

は目を見開く。

もう一度、クラウドに会える・・・!?

『新たな脅威が世界を襲い、それにクラウド達は苦しまされることだろう。』

クックックと笑うセフィロス。は俯き、自分はどうすれば良いのかを考えていた。

クラウド達に会える。皆に、もう一度会うことが出来る。

けれど、何故素直に喜べないのだろう?それは、自分がもう既に死んだ人物だからだろうか。

「クラウドも・・・ヴィンセントも・・・皆・・・生きてる・・・?」

嬉しいに決まっている。けれど、どこかで喜んではいけないとストップがかかっている。

これは悪夢の始まりだ、と。何かが、自分に叫びかけている。

『私とともに復活を遂げるか・・・それとも、ここに残るか・・・。どちらか、だ。』

悪夢などもう見たくもない。

この白い世界で、転生の時を待ってさえすれば、悪夢は見ずに済むだろう。

ただじっと、転生の時を待っていれば良い。何も考えず、ただ白い世界の中で。

そうすることも出来るはずだ。そういう選択をしたとしても、それは間違ってはいない。

しかし。

「・・・あなたと、復活する道を選ぶわ。」

目を閉じて耳を塞いで、逃げることは簡単だ。

しかし、そんな選択をする自分は本当の自分ではない。

自分の選択が間違っていたとしても、これが自分らしい選択ならば構わない。

やはり自分は、として生き返りたいから。

『クックック・・・それで、後悔はしないのだな?』

「しないわ。私は、だから。私は、だから。」

セフィロスは笑っている。きっと嘲笑っているのだ。のことを。

けれど構わない。笑いたいのならば笑え。馬鹿だと思うのなら馬鹿だと思え。

もう一度、クラウドに会いたい。





『覚醒の時は近い。遠い記憶を思い浮かべるのだ。』




遠い記憶。

思い浮かべようとすると、自然に頭の中に流れ込んできた。

そう、例えるなら、走馬灯のように。




「私は後悔しない。・・・行くわ。」






の覚醒はもうすぐ。

そして、クラウドや仲間との再会も。


だが、悪夢の始まりも、それと同時に平行線の上を行っていた。





全ての始まりまで、あともう少し。








=コメント=
セフィロス編のアドチル予告です(笑
一度消えてしまったなので、セフィロスとともに覚醒していただこうかと。
・・・アドチルでセフィロスが復活しなかったらどうすんだゴルァ(笑
まぁ、その時はだけ覚醒ってことで(勝手だなぁ
・・・書き直すかもしれません・・・;; [PR]動画