うん、わかってる。








わかってるよ。だから、約束なの。








・・・いい、でしょう?








もしも許されるなら








「今日で一年目、ね。」

ぽつりと、はそう呟いた。

何が二年目なのか、主語のないの言葉ではわかるはずもない。

けれど、彼女の言葉を聞いたクラウドはすぐにわかった。

今日が“何の日”から“一年目”なのか。

クラウドはリビングのソファに腰掛けたまま、目を閉じ、静かに頷いた。

「・・・ああ。」

「時間が経つのって、早いね。」

遠く、懐かしい記憶を探しているかのようなの瞳。

クラウドはをちらりと見て、視線を落とす。

はゆっくりと歩を進め、リビングのソファ、クラウドの隣に腰を降ろした。

「・・・時間というのは、そういうものだ。」

「うん。」

は自分の髪を触り、そしてクラウドの頬に触れた。

クラウドは不思議そうな視線をに投げ掛ける。

「・・・セフィロスを倒してから一年。・・・星を救ってから一年。・・・皆と別れてから一年。

・・・たくさんのことがあったな、って思って。」

クラウドは優しく微笑んだ。そして、自分の頬に触れているの手を右手で握る。

「ああ。・・・たくさんのことがあった。命を危険にさらしたこともあった。

けど・・・俺達は、生きてる。一人だけの犠牲を残したけれど・・・俺達は、生き残った。」

は頷いた。

クラウドの言う『一人だけの犠牲』というのが、誰のことかは言わなくてもわかる。

聖なる魔法で星を救ってくれた張本人。

セフィロスに命を奪われた、悲運の人。

けれど、心の中に生き続けている思い出の人。


エアリス。


この名前が、自分達の心にどれだけ深く刻まれたことだろう。

彼女に嫉妬したこともあった。ずっと悔しい想いを抱いていた自分のことも忘れていない。

でも、あの笑顔を思い出すと、そんなに小さなことはどうでもよくなってしまう。

憎しみなんて拭い去ってしまう、エアリスの白い心。

普通の笑顔なのに、とても優しい笑顔で。そして、嫌なことを忘れさせてくれる。

それが、エアリスの不思議なところだった。




あの時の哀しみを忘れることなんて出来るわけない。

セフィロスに刺されて、人形のように崩れ落ちた彼女の体。

その体から溢れていた、赤。


あまりに呆気なく命を落としてしまった彼女だけど。

うん、ちゃんと覚えているよ。

エアリスが唱えてくれたホーリーの輝き。真っ白で、一点の汚れもない綺麗な魔法。

その魔法で、エアリスは星を救ってくれた。自分達を守ってくれた。

絶対に、忘れない。




ふと、赤ん坊の泣き声が2階から聞こえてきた。

は慌てて立ち上がると、2階へと駆け上がって行く。

クラウドは苦笑しながらそんなの姿を見送り、静かに目を閉じた。




エアリス。俺達が星を救った日からもう一年が過ぎた。

相変わらずはおっちょこちょいで、俺は素直になれなくて、けど平和に暮らしてる。

全て、エアリスのおかげだ。エアリスがいてくれなかったら、きっと星は消滅してただろう。

俺達も絶望の中で死んで行ってただろう。

けれど、エアリスのホーリーが俺達の心の中に希望の光をさしてくれた。

だから、今俺達は平和に生きている。

エアリス。俺は今、最高に幸せだよ。

と一緒に生活している。そんな自分が今でも信じられなくて。

けれど、に「信じられない」と言うと、はにっこり笑って俺の頬をつねるんだ。

すごく痛くて赤くなるけど、は笑顔のまま「現実でしょ?」と問い掛けてくる。

いつもに救われてる。無意識のうちの一言が、小さな小さな一言が、心に染みてくる。

恥ずかしいけど、俺には必要なんだって思ってしまう。

こんな幸せな生活は、エアリスがもたらしてくれたんだ。

感謝してる。ありがとう。






赤ん坊の泣き声はやまない。も相当てこずっているのだろう。

だが、大泣きしている我が子に一番良いあやし方を、クラウドは知っている。

クラウドはひとつのマテリアを手に、2階へと上がって行った。



「はいはい、大丈夫だよ〜・・・。」

赤ん坊を抱きかかえながらは溜息をついた。

なかなか泣き止んでくれない我が子に苦笑しつつ、ちゃんとやるべき事はしている。

どうせ怖い夢でも見たのだろう。赤ん坊だって、夢は見る。

と、急に子供が泣き止んだ。

は不思議に思い、後ろを振り向く。

そこには緑色のマテリアを持ったクラウドが立っていた。

「クラウド?」

「フィアが泣いた時には、回復のマテリアを見せるのが一番良いんだ。」

クラウドはそう言うと、フィアに回復マテリアを持たせてやった。

驚いたことにフィアはマテリアを両手に持つと、キャッキャと笑い声を上げている。

これにはも驚愕の表情を浮かべた。

「なんで?」

「さぁ・・・。回復以外のマテリアじゃ駄目なんだ。雷でも駄目、氷でも駄目、炎でも駄目。

ちなみに蘇生や治療でも駄目。全部同じ色なのに、回復マテリアの時だけ泣き止むんだ。」

は改めて我が子、フィアの表情を見た。ニコニコしていて、とても喜んでいる。

は少々膨れながらクラウドを見た。

「クラウド、随分前からこのこと知ってたのね?なんでおしえてくれなかったのよ・・・。」

「言うのを忘れてただけだ。」

クラウドはしれっと答える。はそんなクラウドに苦笑した。

「まぁ、クラウドらしいと言えばクラウドらしいんだけどね。」

「なんだそれ。」

二人は笑い、視線を我が子に落とした。


フィアは笑いながらクラウドとの視線を受け止めている。

生後2ヶ月の娘。未熟児で、死にそうになった我が子。

旅が終わって、すぐにの妊娠がわかって。そして生まれた大切な子供。

「フィア。」

が呼ぶと、フィアはまた声を上げて笑った。

今はもう未熟児だったことなんて思い出させないくらい元気だ。




本当に、平和だと思った。

この平和が崩れなければ、どんなに幸せだったことだろう。

家族三人で、ずっと静かに暮らせていたら、どんなに良かっただろう。

もしも許されるなら、平和を、幸せを、壊したくはなかった。

もしも許されるなら、フィアの成長をクラウドと二人で見守って行きたかった。



けれど。




「そんな・・・・まさかっ!!!」


信じたくなどなかった。



「私が・・・、私が・・・・?」



は自分に襲い掛かった病を夢だと思った。


そう、これは悪い夢なのだ。だから、現実は幸せで平和なのだ。




けれど、夢などではなかった。




―――――――――――――“星痕症候群”・・・・。






新たな脅威。

新たな敵。

もう、何も起こらないと思っていたのに。



もしも許されるなら・・・これが、悪夢で終わって欲しい。









うん、わかってる。








わかってるよ。だから、約束なの。








・・・いい、でしょう?




「クラウド・・・。お願い、死なないで・・・。」






泣いた。

彼を思って、泣いた。








=コメント=
短けぇなぁ、おい!(爆笑)
えっと、これはFFZアドベントチルドレン夢連載の
予告編みたいなもんですね。
ってか、コレを書いてる途中で自分を恨んだ(笑
まだ具体的なストーリーが発表されてないってのに、
こんなストーリーにしていいのか!?と(笑
後から変更する可能性大!
でも、とりあえずはこんなカンジ・・・です。
ってか、星痕症候群ってどんな病気なんだろう?
アドチル公式HPでは「新たな脅威」としか出てないし(笑
しゃべれなくなるような病だったらどうすんだよ!!(大爆笑)
あぁ、早くアドチル発売にならないかなぁ〜vv(おい
(ってかその前にZの連載を終わらせろよ) [PR]動画